平成20年第4回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員

 次に,科学技術立県を支える人づくりについて,教育長にお伺いいたします。
 エネルギーの8割,そして食料の6割を海外からの輸入に頼っている資源の乏しい我が国おいて,戦後の高度成長を支えてきたのは,付加価値の高い製品を生み出す「科学技術」であります。
 しかし,21世紀に入り,我が国が少子化に伴う人口減少や高齢化社会の到来を迎え,また,長期の景気停滞期にある中,中国を初めとする東アジア諸国の工業力や技術開発力が急激に伸びており,日本の技術の優先性は失われつつあります。
 今後,我が国が世界との競争の中で,これまでのように活力を維持しながら豊かな生活を続けていくためには,これまでも増して科学技術の発展とその活用が必要となります。
 また,私は,本県がそのための大きなポテンシャルを持つ県だと考えております。
 戦後の科学技術の象徴ともいうべき原子力,その原子の火を我が国で初めて灯したのは,今から51年前の本県でのことであり,また,県内には高度なものづくり技術の一大集積地である「日立」,国内有数の素材産業基地である「鹿島」,世界的な研究機関の集積地である「つくば」,さらに今月に大強度陽子加速器施設J−PARCの本格稼働が予定されている「東海」など,多様な産業や科学技術が集積しております。こうした集積を最大限に活用し,本県が科学技術立県として引き続き日本をリードしていく存在であってほしいと考えます。
 そして,そのためには,これからの本県,科学技術の進展を担う人材をより多く育成し,次代につなげていかなければなりません。
 また,本年10月には高エネルギー加速器研究機構の小林誠名誉教授がノーベル物理学賞を受賞され,先に受賞されている江崎玲於奈筑波大学元学長とともに,これからも両先生に続くような本県関係者の受賞が望まれます。
 そして,こうした科学技術分野のスペシャリストを育成していくためには,子供たちに早いうちから科学に対する興味や関心を高めるような教育を推進していくことが必要であると考えます。
 そこで,県としてどのように科学技術立県を支える人づくりに取り組くんでいくのか,教育長にお伺いいたします。

鈴木 教育長 (答弁)

 科学技術立県を支える人づくりについてお答えいたします。
 本県では,平成17年3月に定めた茨城県科学技術振興指針において,科学技術を支える人材の育成と確保を大きな柱として掲げ,各種施策を推進しているところでございます。
 これまで,小中学校においては,おもしろ理科先生派遣事業や科学大好きスタンプラリー,高等学校においてはスーパーサイエンスハイスクール事業等を通じて,科学に対する興味・関心を高めることにより,「科学技術の県いばらき」を担う児童生徒の育成に努めてまいりました。
 今年度からは,これまでの成果をもとに,小学校から高等学校まで,理科・数学のレベルアップを体系化した「未来の科学者育成プロジェクト事業」を実施して,最先端の科学技術による実験等を体験する機会を設けているところでございます。
 来年度は,国際生物学オリンピックや全国物理コンテストが本県が開催されますことを契機として,次の世代を担う児童生徒の理数や科学技術に対する興味・関心を喚起し,科学を学ぼうとする意欲や能力をさらに高めてまいります。
 県といたしましては,県内に研究機関や企業が多数集積しているという優位性を生かしながら,今後とも科学技術立県を支える人づくりに推進してまいります。

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