平成20年第4回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員

 次に,森林湖沼環境税活用事業の現状と県民への意識啓発の推進について,生活環境部,並びに農林水産部長にお伺いいたします。
 森林湖沼環境税は,本県が有する森林や湖沼・河川といった自然環境の保全を行う目的で今年度から新たに導入されました。この新税は,平成24年度までの5年間を課税期間としており,総額約80億円の税収を見込んでおります。この新税の使途については,これまでの代表質問や一般質問,あるいは委員会などの場において数多く議論がなされ,県民への御理解を求めてきたところであります。
 実際この税が初めて徴収された本年6月には,多くの県民から問い合わせがあったそうでありますが,県から新税の意義や必要性についての説明を受け,現在のところある程度の御理解はいただいているものと聞いております。
 しかしながら,これから期間が過ぎる中,新税が有効に活用されなければ,県民の疑問が増してくるに違いありません。県民はまだ新税が実際何に使われるのかを様子見している段階であり,新税が導入され,その財源の活用が始まったここ数年が非常に重要な期間だと私は考えます。
 新税からの財源により,森林の保全整備や県産材の利活用促進,湖沼や河川の水質保全を充実させていくことはよいことだと思いますが,新たな税を導入して行う事業であるからこそ,それを負担する県民の目に見える事業展開が必要だと考えます。
 現在の新税活用事業の中で「霞ヶ浦湖上体験スクール」は非常にPR効果の高い,目に見える事業だと思います。先日,この湖上体験スクールに児童たちと一緒に参加させていただく機会がありました。その児童たちは目を輝かせ,霞ヶ浦の水質や微生物を観察し,またその水を使っている自分たちがやるべきことや,心がけを実感したようでございました。
 また,この体験を自宅に帰り家族のみんなに話をしてもらい,新税を活用したこんな事業が行われているんだということを広めてもらえれば,県民の御理解,PR効果は絶大であると考えます。こういった森林湖沼環境税が何に使われているのか,わかりやすく税の必要性の理解を得やすい事業展開と積極的なPRが重要であります。
 これと同様に,森林保全の観点からの事業として,例えば間伐材を利用して机やいすをつくり,それを地元の学校や公共施設等で使っていただき,それは新税を活用してつくられたということ示すシールや焼き印を押すなど,その旨のPRをしてはどうでしょうか。また,森林関係機関を周回する体験学習コースの設定や,さらに,森林関係と湖沼関係を両方連携されたような学習コースの設定も検討に値するのではないかと考えます。
 ついては,今申し上げました提案も踏まえ,森林湖沼環境税を活用した事業の現状と県民への意識啓発の推進について,生活環境部長,並びに農林水産部長にそれぞれお伺いいたします。

馬場 生活環境部長 (答弁)

 森林湖沼環境税を活用した湖沼・河川の水質保全のための事業といたしましては,高度処理型浄化槽の設置補助や下水道等への接続補助,霞ヶ浦湖岸の水田やハス田での循環かんがいシステムの構築,さらには,市民活動支援や霞ヶ浦湖上体験スクールなど,さまざまな事業を行っているところでございます。
 これらの事業の県民へのPRにつきましては,例えば,ただいま議員からお褒めをいただいた霞ヶ浦湖上体験スクールでは,現在,船に「森林湖沼環境税活用事業」という横断幕を掲げているところでありますが,議員の御指摘も踏まえ,今後は子供たちに森林湖沼環境税を活用した事業であることわかりやすく説明するなど,家庭に帰ってからも新税が話題となるよう工夫を凝らしてまいります。
 また,そのほかの事業につきましても,新税を活用した事業であることが明らかになるよう,市民活動に貸し出す機材へのシールの張りつけ,各種補助事業のチラシへの説明文の掲載,各事業実施箇所への看板の設置などを行ってまいります。
 森林湖沼環境税が何に使われるているのか,県民の皆様にお伝えすることは大変重要でありますので,これらに加え,各事業について環境審議会による外部評価を経て,その実績と効果を毎年県のホームページや広報紙,新聞などでわかりやすくPRを行うなど,新税の使途やその必要性について,県民の皆様の御理解をいただけるよう努めてまいります。

斉藤 農林水産部長 (答弁)

 森林湖沼環境税活用事業のうち,森林の保全・整備の現状と県民への意識啓発の推進についてお答えいたします。
 事業の現状でございますけれども,小学校高学年の児童とその保護者を対象とした「来て・見て・触れる森林づくり体験」を,子供たちの夏休み期間に実施するとともに,10市町において1,200ヘクタールの間伐
に取り組んでいるほか,39市町村において平地林や里山林の整備を実施するなど,さまざまな事業に取り組んでおります。
 これらの事業に対する県民への意識啓発の推進でございますけれども,森林湖沼環境税がどのように活用されているのかを県民の皆様にお伝えしていくことは,大変重要でありますので,従来から県の広報紙やホームページなどを活用してPRを行ってまいりましたが,11月22日には県三の丸庁舎広場において,約5,000人の県民の皆さん参加のもと,「いばらき森林(もり)の感謝祭」を開催し,森林湖沼環境税についてのPRを行ったところでございます。
 今後,森林湖沼環境税を活用した事業をわかりやすく紹介したDVDや,県内で活動している森林ボランティア団体を紹介する冊子などを作成いたしまして,それぞれ県内の全小学校や関係機関に配布してまいります。
 また,議員御提案のように,間伐などの実施箇所につきましては,森林湖沼環境税を活用した事業である旨を示した標識を設置したり,デザインコンペで最優秀となったベンチの設置や,幼稚園や小学校の机,いすの導入に当たりましても,プレートやシールを張るなどして,森林湖沼環境税を活用した事業である旨のPRをしてまいりたいと考えております。
 さらに,森林関係機関を周回する体験学習コースの設定や,森林と湖沼関係を両方連携した学習コースの設定につきましても,森林湖沼環境税の必要性の理解を得るための大変有効な手段であると思いますので,今後検討してまいりたいと考えております。

次の質問へ         10新聞記事のページへ