平成17年第3回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員

 次に,市町村合併後の消防本部と消防団のあり方について伺います。
 現在,私は,土浦市消防団の一員として,地元の皆様とともに活動をさせていただいております。日ごろ,消防に携わる者として,今回,今後の消防本部と消防団のあり方について,何点かお伺いいたします。
 まず,初めに,市町村合併に伴う消防本部の広域再編の推進についてお伺いいたします。
 市町村合併に伴う広域消防本部の現状については,高萩市・日立市事務組合のように,合併後も従来の一部事務組合が存続するため,日立市が2つ以上の消防本部の管轄区域に分割されたり,逆に,新治地方広域事務組合のように,合併後に一部事務組合が解消され,合併後誕生した市町村が単独で小規模な消防本部を設置することになるなど,問題が生じております。
 これらの問題のうち,市町村合併により小規模な消防本部が生じる問題については,平成17年第1回定例議会で,同僚の坪井議員も質問なされました。そして,坪井議員の,市町村合併により消防組織が分割されてしまうが,県としてはどのような指導,支援を行っていくのかとの質問に対し,国の考え方をもとに助言しており,また,再編パターンを作成し提供してきた,そして,長期的展望に立って,広域再編による消防体制の充実強化を図っていくとの答弁がありました。
 消防問題は,防災という住民の生命,財産にとって最も重要な問題であり,また,長期の問題ではなく,きょう,あすの問題であります。特に,市町村合併の結果,国が適正な規模と考えている管轄区域の人口10万人以上の消防本部の半分程度の消防本部が生じていることに関しては,規模の小さい消防本部が,その財政力から十分な消防機材の整備ができず,また,専門的な消防職員の養成が困難になるなど,多くの問題があると考えます。
 確かに,消防本部の広域再編の推進につきましては,最終的には,当事者である市町村同士の問題かもしれません。しかし,これからの地方分権下での県の役割を考えたとき,そして,何よりも,地域住民の生命,財産を守る防災の役割の重要性を考えたとき,県は,消防本部の広域再編の推進について,市町村に対し,単なる助言や再編パターンの情報提供だけではなく,より積極的に指導,助言を行うべきではないでしょうか。
 この問題につきましては,国からも,都道府県に対し,市町村合併に伴う消防本部の広域再編の推進について,一層真摯に取り組まれ,市町村に対し積極的な助言指導に努められるよう要請するとの通知が出ております。
 そこで,現在の状況に対する認識を踏まえ,市町村合併に伴う消防本部の広域再編の推進については,市町村に対し,どのように指導,助言をしていくのか,生活環境部長のお考えをお伺いいたします。
 
 次に,地域の防災,防犯組織等との連携を含めた今後の消防団のあり方についてお伺いいたします。
 消防団は,数々の地震や災害等における消防団の活躍からもわかりますように,火災消火だけではなく,大規模災害時においても,なくてはならない存在であります。さらに,国民保護法における役割や地域コミュニティーの要としての平時における災害予防の住民への働きかけなど,その役割は増大しております。
 私も,みずからの体験を踏まえ,さらに,地域コミュニティーの要として,より一層の役割に期待をしております。それは,先ほど述べました,平時における災害予防の住民への働きかけだけではなく,自主防災組織や婦人防火クラブなど地域の防災組織等や,最近急速に地域に組織化されている地域の防犯ボランティア団体などとの連携を通しての役割であります。そして,消防団が既に地域の防災組織の指導,助言等を行っていることや,消防団員が特別職の公務員であることを考えましたとき,それら地域の防災や防犯組織等との連携の中心的な役割を消防団が担うべきであると考えます。
 そこで,消防団と地域の防災,防犯組織等との連携のあり方についてどのようにお考えか,生活環境部長にお伺いいたします。
 次に,消防団の入団促進策についてお伺いいたします。
 消防団については,その役割が増大する一方,前回,先輩の山岡議員が御質問なされましたように,消防団員の減少と高齢化が大きな問題となっております。この問題は,サラリーマンの増加,それに伴う地域コミュニティーの欠如,若者のライフスタイルの変化などから,非常に難しい問題であることは,消防団員である私自身が認識しております。
 しかし,私自身の経験から言えば,消防団に入ったことにより,地域住民の方々と緊密性が増し,多くの先輩,友人もでき,また,何より,地域の安全確保に役立っているという充実感が持てました。私は,このうよなすばらしさを多くの人,特に,これからの少子高齢化時代の地域社会にとって中心的な役割を果たしてもらいたい若者に知っていただきたいと考えます。
 前回,山岡議員の質問に対する御答弁にありましたように,現在,県は,消防団の入団促進策として,県を初め多くの公共的団体の職員の方々の入団促進を奨励しております。私は,これらの公共的団体の職員のうちでも,特に若い県職員や市町村職員の方々に入団していただきたいと思っております。それは,若い県職員や市町村職員の方々にも消防団の活動のすばらしさを体験していただきたいと考えるとともに,消防団に入団していただくことにより,地域住民の方々とコミュニティーの機会がふえ,緊密性も増し,その結果として,県や市町村が行っているさまざまな施策の情報発信の役割を担うことができ,逆に,地域の生の声を聞くことにより,今後の施策の立案にいろいろと参考になることもあるなど,県や市町村行政の運営に多くの効果があると考えるからであります。
 さらに,今後の少子高齢化社会において,若い県職員や市町村職員の方々が積極的に地域社会に溶け込んでいくことは意義深いことであると考えます。
 現在,県でも,職員の消防団入団を支援するため,消防団活動の際の特別休暇の制度を創設しておりますが,職員の方々に消防団の重要性,そのすばらしさを知ってもらうために,例えば,職員の初任者研修等において消防団の活動を紹介したり,消防学校で研修を受けるなど,職員に対する防災意識の向上や優遇措置などを検討することも必要ではないかと考えます。
 そこで,消防団員数の減少に対しどのように取り組んでいくのか,私の提案を踏まえ,生活環境部長にお伺いいたします。

高橋 生活環境部長
 市町村合併後の消防本部と消防団のあり方についてお答えいたします。
 まず,消防本部の広域再編の推進についてでございます。
 議員御指摘のように,小規模な消防本部におきましては,財政基盤が弱く,救助工作車や高規格救急車などの整備が不十分であったり,人員体制の面でも救急救命士の確保が困難であるなど,高度な消防サービスの提供に支障を来すおそれがございます。
 このため,国からは,市町村合併により消防組織が縮小して消防力が低下することがないよう,広域再編を促す基本的な考え方が示されております。
 御指摘の新治地方広域事務組合消防本部につきましては,今月1日に八郷町が石岡市と合併し,また,来年2月には新治村が土浦市と合併することにより,かすみがうら市の消防本部が小規模になることが懸念されております。
 消防本部の広域再編につきましては,市町村が決めることではございますが,土浦市とかすみがうら市では市街地が連続して形成されているなど,よりよい消防行政サービスを行うためには,消防の広域化が望ましいと考えております。
 現在,県内には27の消防本部がございますが,消防広域化検討委員会では,10圏域に再編されることが望ましいという方針も出されておりますので,市町村合併後の消防体制充実強化のため,引き続き,関係市町村に対し働きかけて,消防の広域再編を促進してまいりたいと考えております。
 
 次に,今後の消防団のあり方についてお答えいたします。
 消防団は,昨年の新潟・福井豪雨や新潟県中越地震などにおいて,多くの被災者の救出,救助や避難誘導などに大きな功績を残し,地域防災体制の中核的組織として,住民から厚い信頼を寄せられております。
 また,日ごろから,消防団は,自主防災組織や婦人防火クラブなどに対しまして,火災予防の指導に当たるとともに,消防団員の中には,その能力を生かし,防犯組織の一員として活躍されている方もおられます。
 消防団の任務は消防組織法に定められておりまして,火災の鎮圧や警戒を初めとして,地震や風水害時の災害予防や避難誘導,さらに,火災予防の啓発活動などとなっております。このため,一部の制約はございますが,消防団と防犯組織が連携して防犯活動を行うことは可能であり,実際に,防火パトロールや火災予防広報活動の一環として防犯の役割を担っている消防団もございます。
 したがいまして,御提案のように,消防団と地域の防災,防犯組織が緊密に連携を取ることは有意義であり,より一層,安心・安全なまちづくりに寄与できるものと考えております。
 次に,消防団の入団促進策についてお答えいたします。
 消防団は,地域防災力のかなめとして重要な役割を果たしており,地域から厚い信頼を寄せられております。しかしながら,消防団の現状につきましては,若者の新入団員不足による団員数の減少や高齢化,サラリーマン化などにより,地域防災力の低下が懸念されているところでございます。
 このため,県といたしましては,農業協同組合,県,市町村の職員,教職員などの入団促進を図るよう,市町村に依頼するとともに,関係団体に対しても働きかけを行ってきておりまして,その結果,これらの職員の数は,本年4月1日現在の県内消防団員数約2万5,000人に対しまして2,130名と,約1割を占めることとなっております。
 また,サラリーマンの方々が消防団活動に参加しやすくなるよう,県経営者協会を通じて事業所に働きかけを行うとともに,社員が消防団活動に参加するなど,消防団活動へ深い理解と協力をいただいている事業に対しましては表彰することといたしております。
 今後とも,県といたしましては,市町村と連携し,消防団活動の意義や重要性を紹介し,議員の貴重な御提案も踏まえて,消防団員の入団促進を図ってまいりたいと考えております。

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