平成17年第3回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員

(質問前に)
 自由民主党の伊沢勝徳でございます。
 このたび,歴史ある茨城県議会において二度目の登壇の機会をいただきました。本日を迎えるに当たり,日ごろお世話になっております地元の皆様を初め,御指導,御助言をいただきました諸先輩,同僚議員の皆様に,改めて感謝と御礼を申し上げます。
 また,橋本知事におかれましては,県政史上初めての衆議院選と同日投票となりました選挙におきまして,多数の県民の支持のもと,めだたく四選を果たされました。ここにお喜びとお祝いを申し上げます。
 青年会議所の綱領の中で,青年としての英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築きあげようという言葉がございます。私も,次代を担う青年の一人として,歴史ある茨城県議会の一員として,託された責任と挑戦する勇気と茨城を愛する情熱をもってあすの茨城を夢見ながら質問をさせていただきます。
 知事初め執行部の皆様には,確かな未来につながる御答弁をお願いいたします。それでは,質問に入ります。

(質問)
 私は,前回,これからの人口減少社会と地方分権時代の主役となる若者へのメッセージとなる茨城の将来像について質問いたしました。
 今回,これからの人口減少社会と地方分権時代のもう一方の主役である女性に対し,本県で暮らす女性の皆様が,今後の茨城の将来に安心し,茨城に住んで幸せだと感じられるようなメッセージを送っていただきたく,幾つかお伺いいたします。
 平和のために役立つものが必要です。女性が幸福にならなければ世界は平和になりません。これは,22歳の若さでGHQ民政局のスタッフとして来日し,日本国憲法の人権条項の作成に携わったベアテ・シロタ・ゴードンの言葉でございます。
 言うまでもなく,社会は,一人一人の人により成り立っております。その社会を維持し発展させていくためには,何よりも命を産み,はぐくむことが重要でございます。そして,この出産という神秘的で偉大な行為は女性にしかできないことでもあります。また,日本は,古来から近代に至るまで,長い間,農村社会として成り立ち,女性の方も農業に従事し,その上,出産や育児,家庭をこなしてきました。私は,古来から日本における女性の役割は極めて大きかったと思っております。
 今後の日本を考えますと,国立社会保障・人口問題研究所が予測していますように,日本の総人口は2006年度にピークを迎え, 2007年度から減少に転じるとされております。いわゆる人口減少社会が到来するわけですが,人口減少社会の到来は,年金,医療などの世代間の助け合いで運営されている社会保障制度や労働力人口の減少に伴い,経済活動へ深刻な影響を及ぼします。特に,労働力人口の減少については,同研究所の推計によれば,日本の総人口が, 2030年に現在より1,000万人少ない1億1,758万人にまで減少するのに対し,労働力人口は1,050万人減少するとされており,総人口の減少を上回るスピードで進行するとされております。
 このような深刻な労働力減少を伴う人口減少社会の将来像やこれまでの女性の役割を考えたとき,女性の役割と女性の能力を最大限生かした社会づくりが,より一層必要になると考えます。
 そこで,これからの人口減少社会における女性の役割についてどのように認識しているのか,また,それを踏まえ,どのように今後の県の施策を展開していくのか,知事のお考えをお伺いいたします。

橋本知事
 伊沢勝徳議員の御質問にお答えいたします。
 まず,人口減少社会における女性の役割に対する認識でございますが,女性の高学歴化や社会経済の変化,さらには,近年の急速な少子高齢化の進展などに伴って,女性の社会進出が拡大してきており,また,女性に対する期待や役割も一段と高まってきております。
 しかし,最近の国の世論調査や県民意識調査の結果では,男は仕事,女は家庭といった考えについて,回答者の4割以上が肯定している状況にあり,こうした,いわゆる固定的な性別役割分担意識は,依然として高い割合を占めております。
 我が国が,人口減少時代の中にあって,さらに高齢化が進んでいけば,必然的に女性の社会参加が求められるようになってまいりますことからも,私は,女性が男性とともに社会の担い手としての役割を十分に果たしていくことが重要であり,これまで以上に,女性が仕事や地域活動,団体活動などに参画し,個性や能力を発揮していく必要があると考えております。
 また,家庭におきましても,議員御指摘のとおり,女性として,あるいは母親としての役割は大変重要でありますが,今後は,男女が対等なパートナーとして協力しあいながら,家事や育児,介護などを共同して行っていく必要もあり,このようなことを広く国民に普及,啓発していくことが大切ではないかと考えております。
 次に,今後の施策展開でございますが,県では,本年4月に,女性プラザ男女共同参画支援室を開設し,女性がさまざまな活動にチャレンジし,能力を発揮できるよう,その支援に取り組んでいるところでございます。
 この支援室では,技術や能力を身につけたい,事業を起こしたい,育児が一段落したので再度働きたい,地域や団体の活動に参加したいといったような相談に,専任の相談員やアドバイザーが助言や情報提供などを行っているところであります。
 このように,チャレンジしようとする利用者の期待にこたえられるよう,今後とも,支援室の機能の充実を図っていく必要があり,国や市町村など関係機関との連携を強化しますとともに,女性起業家や団体活動などに関する具体的な事例の提供,チャレンジ支援セミナーの拡充などに努めてまいる考えであります。
 また,女性が社会的活動を継続していくためには,育児休業取得時の所得保障,職場復帰後の昇進や評価など,出産・育児によって不利とならない雇用環境の整備,女性が働きながら安心して子育てができる環境づくりなどが大切であると考えておりますので,事業者の理解や協力が得られるよう働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 さらに,社会全体で女性が活動しやすい環境づくりを進めていく必要がありますことから,県民,事業者,関係団体や市町村などとの連携を密にして,男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。

伊沢勝徳議員
 次に,男女共同参画実施計画の達成状況と新たな実施計画の策定状況について伺います。
 女性の能力を最大限生かした社会づくりのためには,何よりも女性の社会進出を支援することが重要であります。女性の社会進出,すなわち男女共同参画の推進であるわけですが,本県では,昭和53年に青少年婦人課が設置され,本県における男女共同参画の推進への取り組みが始まりました。そして,平成11年の男女共同参画基本法の成立や平成13年に茨城県男女共同参画推進条例の制定を受け,県は,平成14年3月に,茨城県男女共同参画基本計画,いわゆる新ハーモニープランを策定し,男女の人権が尊重される社会の構築,あらゆる分野へ参画するための環境の整備,多様な働き方を可能にする環境の整備等に向け,男女共同参画推進のためのさまざまな施策に取り組んでまいりました。
 さらに,県は,男女共同参画基本計画の実施計画に55の関連する主な指標を掲げ,施策の進捗状況がわかるように,それに対する目標値を設定しております。県の施策は,とかく成果がわかりづらいとの声が多く聞かれますが,私は,男女共同参画推進のような施策を展開する場合には,このような目標値を設定し,管理していくことは,非常に有意義であると考えております。
 しかし,平成17年度までの目標値の達成状況を見ますと,県内市町村の計画策定数,仕事と家庭の両立支援モデル事業所数等のように,目標数値を大幅に上回っているものがある一方で,農業協同組合女性正組合員数,休日保育事業の実施数等のように,目標数値を下回っているものも多く見られ,55の指標のうち,目標値を達成しているものは,平成16年度末時点で17項目しかありません。実施計画については,平成17年度までの計画となっており,現在,平成22年度までの新たな実施計画を策定中だと思われますが,私は,新たな実施計画における目標数値を設定する場合には,今回,目標数値の達成状況が決してよくなかったことの要因を十分分析した上で行うことが重要であると考えます。
 そこで,平成17年度までの目標数値の達成状況の総括,それに対する所見,そして,それらを踏まえて,新たな実施計画をどのように策定しようとしているのか,理事兼政策審議監にお伺いをいたします。

小野瀬 理事兼政策審議監
 男女共同参画実施計画の達成状況等の総括及び新たな実施計画の策定についてお答えいたします。
 まず,男女共同参画実施計画の達成状況についてでございます。
 現在の実施計画では,55の指標項目を定め,その達成に向けて努力をしているところでありますが,議員御指摘のように,平成16年度末において,目標を達成しているのは17項目となっております。今後,女性海外派遣事業参加者の地域活動参加率を初め,10の項目について目標達成が見込まれておりますので,平成17年度末には,27の指標項目が目標を達成できる見通しとなってございます。
 残りの28項目につきましては,目標の達成は厳しい状況にありますが,その主な要因といたしましては,当初の目標値の設定水準が高かったことや,民間事業者の参入によって実績が伸びなかったこと,さらには,市町村等の財政が厳しさを増していることなどがあると考えております。
 今後とも,庁内の関係各課や市町村,関係団体等への協力要請を行い,少しでも達成率が向上するように努めてまいる考えでございます。
 次に,新たな実施計画の策定についてでございますが,現在,来年度からの5カ年間を計画期間とする新たな実施計画の策定作業を進めており,今年度末までには計画を策定してまいりたいと考えております。
 この新たな実施計画につきましては,男女共同参画審議会から御意見をいただいているところでありますが,特に,男女が共に働きやすい就業環境の整備や,仕事と家庭の両立支援,あるいは,女性の政策・方針決定過程への参画の促進などに重点を置いて検討を進めているところでございます。
 また,新たな実施計画に掲げる指標項目につきましては,現在の計画の進捗状況を踏まえて見直しを行うとともに,新たな指標を加え,県民の皆様が計画の進捗状況を実感できるよう,また,わかりやすいものとなるよう,検討してまいりたいと考えております。

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