平成16年第1回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員
 学校週5日制の課題について、教育長にお伺いいたします。
 完全学校、週5日制がスタートしてから2年が経過しようとしております。これまで学校週5日制の問題に関しては、授業内容を3割削減する学習指導要領をめぐる学力低下などの問題や、放課後や土曜・日曜の過ごし方に関するボランティア活動参加による社会性の向上、地域の受け皿づくりなど、様々な角度から多くの議論がなされてまいりました。
 昨年4月に、文部科学省が発表したアンケート結果によりますと、子供達の約7割は「学校週5日制になって良かった」と答えており、子供達には概ね好意的に受け止められているようであります。
 一方、PTA全国協議会の調査によると、親の意識は逆に「良いと思わない」と回答するものが肯定派を上回り、また、7割の親は、学力低下に懸念を抱いており、こういった親の意識が様々な議論を呼んでいると思います。
 いずれをとっても、大変重要な視点だと考えますが、今回私は、「土曜・日曜の子供の居場所づくり」という観点から質問したいと思います。
 先程の文部科学省のアンケート結果によれば、多くの子供達は「学校や家庭ではできない体験をしてみたい」と答えながら、実際には約3割の子供達は、テレビを見たり、コンピュータゲームをしながら、土曜・日曜を過ごしていると回答しております。
 私は、学校週5日制を否定するものではなく、子供達に「ゆとり」を確保し、自ら学び、自ら考える「生きる力」を養おうという高邁な思想には、大いに賛同いたします。
 しかし、この制度を真に実りあるものとするためには、子供達が土曜・日曜を単に家で過ごすだけということになってはいけないと思います。ゲームをする「ゆとり」を与えるばかりで、豊かな人間性を育む「生きる力」が身につかなければ、絵に描いた餅になってしまいます。自ら学び、自ら考える「生きる力」は、自然と触れ合う体験活動や、スポーツ・ボランティア活動などを通じて培われるものであり、現在、県においては、土曜・日曜の居場所づくりに向けて、親と子が一緒になった体験活動など様々な取り組みを行っているところであります。親と子が一緒になって様々な体験をし、それらを共有していくことの素晴らしさは、今さら申し上げるまでもありません。
 しかしながら、特に都市部での核家族化の進展や昨今の厳しい経済情勢において、現実的に親が関わることのできる機会は、必ずしも、そう多いものではないと思います。こうした中で、子供達が自主的に家から飛び出すことは、決して容易なことではありません。
 国においても、こうした状況を踏まえ、土曜・日曜の居場所づくりに向けた新たな取り組みを模索しているとのことであります。
 県としても、こうした国の動向を踏まえ、スクラムを組んで対応していくことが肝要であり、学校・家庭・地域の連携の枠組みをしっかりと構築すると共に、子供達に参加したいと意欲を持たせるような場をつくっていくことが、必要不可欠であると思われます。
 学校週5日制につきましては、早くから議論がなされておりましたが、導入にあたっては、手探りの、状態からの、出発であったかと思われます。これまでの課題を検証し、今後の方向性を考える時期にきているのではないかと思うのであります。
 そこで、導入後2年が経過しようとする中、学校週5日制の現状をどのように評価しているのか、また、土曜・日曜の子供の居場所づくりについて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

川俣教育長
 学校週5日制についてお答えいたします。
 まず、学校週5日制の現状をどのように評価しているかについてでございます。学校週5日制の現状でございますけれども、子供たちが家庭や地域におけるゆとりのある生活の中で、さまざまな体験や活動を通して、豊かな人間性などの生きる力をはぐくんでおるところでございます。
 県といたしましても、子供たちにさまざまな体験活動の機会を提供する元気いばらきっ子「エンジョイ・サタデー」事業とか、土曜日に県立博物館の入館料の無料化等を実施しますとともに、体験活動の体制整備を図る、地域と学校が連携協力した奉仕活動・体験活動推進事業などを実施し、週末における子供たちの体験活動の充実を図っているところでございます。
 このような中、昨年10月に、県内すべての公立小中学校の児童生徒を対象に、土曜日の過ごし方についての調査を行いましたが、その結果、1人で過ごす子供の割合が前年よりも減少し、友達や家族等とさまざまな活動をする子供の割合が増加していることなどから、学校週5日制の趣旨が定着してきていると考えております。
 次に、土曜、日曜の子供の居場所づくりへの取り組みについてでございます。
 子供たちの週末を本当に有意義なものとするためには、学校、家庭、地域が相互に連携、協力し、子供たちが身近な場所でスポーツや文化活動、地域の人々との交流など、さまざまな体験活動を通して豊かな人間性をはぐくむことができるような環境づくりが必要でございます。
 そのため、県では、今後も、週末における子供たちの体験活動を一層推進してまいりますとともに、平成16年度から国が新たに実施する地域子ども教室推進事業を活用し、子供たちが週末等に学校や公民館等において、地域の大人たちのもとでさまざまな活動ができる拠点、いわゆる居場所づくりの整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 今後とも、子供たちに、土曜、日曜のゆとりの中で、生きる力を育成するため、社会全体で子供たちの環境、居場所づくりに努めてまいりたいと考えております。

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