平成16年第1回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員
 演劇を活用した青少年の健全育成について理事兼政策審議監にお伺い致します。
昨今の都市化、核家族化などの進展に伴う価値観の多様化やライフスタイルの変化、さらには、地域社会の連帯意識の低下など、次世代を担う青少年を取り巻く社会環境は大きく変化してまいりました。このような中にあって、少年非行など青少年における問題行動は、依然として深刻な状況にあります。
 こうした一面だけを見ますと、これからの日本は一体どうなってしまうのだろうかという暗澹たる思いがいたします。
 しかしながら、最近、青少年達の主張に接する機会があり、じっと耳を傾けてみましたところ、家族や他人を思いやることの大切さ、社会に対する疑問などを子供達なりに素直に訴えており、大変胸に迫るものがありました。
 私は、このような子供達が育っていることに深い感銘を受けるとともに、翻って、一部の子供達は、自分を表現することができずに苦しんでいるのではないか、また、自分を表現するすべを模索しているのではないかと強く感じたところであります。自己を表現し、他人から理解してもらうことは、何物にもかえがたい素晴らしいことであります。
 折しも、国においては、小泉首相を本部長とする青少年育成推進本部を立ち上げ、去る12月には、今後の国の青少年育成の指針となる青少年育成大綱を策定し、青少年は、保護、教育を受ける存在ということではなく、自立し、主張することができる青少年を育てることを、各年齢層を通じての大きな課題としたところであります。
 今回、私が接した事例は、まさに、このような国の方針と合致するものと考えており、今後、自己を表現する場を多方面に設け、積極的に青少年の声に耳を傾け、コミュニケーションを図る中で、主体性を持つ、次代を担う青少年たちを育てていくことが大変重要であると、改めて認識したところであります。
 このような子供達を育てるためには、様々な方法があるかと思いますが、例えば、土浦地区の高校は、以前から地区単位での合同演劇を行うなど、高校演劇が大変活発であり、特に今年度は霞ヶ浦高校が関東地区大会に出場するなど、実績も豊富であります。演劇は、ひとつの舞台を作っていく中で、協調性や思いやりの心、さらには、創造性や主体性を育てることが可能であり、青少年が自己表現を行う手法として、大変適しているのではないかと思うところであります。
 また、このように地域に根ざした活動であることから、さらに充実させることで、青少年の健全育成においての大きなファクターである地域社会の連帯意識の高揚にも寄与するのではないでしょうか。
 そこで、このような地域の特性を活かし、演劇を活用した青少年の自己主張の場を拡充し、青少年の健全育成につなげてはどうかと私は考えます。御所見をお伺い致します。

金原理事兼政策審議監
 演劇を活用した青少年の健全育成についてお答えいたします。
 私たち大人には、青少年特有の複雑で多様な行動や気持ちを理解し、しっかりと受けとめ、青少年自身が持っている真っ直ぐに成長しようとする力を積極的に導き出してあげることが求められております。
 このためには、青少年が考えていることや思っていることなどを発表したり表現したりする機会を数多く設け、青少年の声に真剣に耳を傾けることも大変重要であると考えております。
 これまで、県といたしましても、自分の考えを発表する少年の主張事業や、日頃思っていることを親子で話し合うふれあいのある家庭・地域づくりシンポジウム事業などへ支援を行ってきているところでございます。
 さらに、今年度から、地域特性を活用した事業として、水と緑の豊かな自然に恵まれた県北地域で、高校生や大学生のサポートと地域の大人たちの見守りを受けながら、小中学生が意見を交わし、工夫して、みずからいかだをつくり、それを使った川下りや源流探検などを行う久慈川アドベンチャーキャンプ事業を実施しております。この事業は,青少年がみずからの力により物事をなし遂げることで得られる達成感や感動を通して、自主性や主体性をはぐくむものでございます。
 また、土浦地区を中心とした県南地域は、議員御指摘のとおり、高校演劇が大変盛んでありますので、この地域の特性を生かし、創造性の発揮や自己表現の場として、演劇が持つ魅力に着目し、16年度からモデル的に県南地域の高校演劇部の中から公募により参加校を選定し、新たに、演劇による青少年の主張事業を行うこととしております。
 この事業は、高校生たちが日ごろ考えていることや思っていることを仲間たちと議論しながら、脚本、舞台づくり、演技までを行っていく中で、お互いの考えや意見の理解を図り、協調性や思いやりの心を育てるとともに、みずからの新たな可能性を発見することも目的として行う事業でございます。
 さらに、この事業の実施に当たっては、地域で活動している演劇の専門家による演技指導や、地域の人たちによる大道具づくりなどの舞台づくりの手伝いを受けることとしておりまして、年代を越えた出会いを通じて、地域社会の連帯意識の高揚にも寄与するものと考えております。
 今後とも、地域の特色を生かした自己表現の場の確保を図り、地域の人たちとのつながりの中で、社会を支える健全な青少年の育成に努めてまいります。

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