第24回東北地区カトリック学校教育研修会は、杜の都仙台市にある仙台白百合学園中学・高等学校を会場に、「生徒につなぐカトリックの魂」のテーマのもと2009年11月6日(金)〜7日(土)に開かれました。
これで、今年二度目の来仙となりましたが、前回のカトリック教育学会は9月の上旬とあって、まだ夏の暑さの名残がある時期、そして今回は11月の上旬で、仙台の街並みは丁度紅葉が美しく秋色の艶やかな晩秋の頃で、しかも期間中は好天にも恵まれ、雲一つ無い秋晴れのすがすがしい空のもと、気持ちよく過ごすことができました。
さて、研修会の方は近代的ながらも荘厳さと落ち着きのあるロザリオのマリア聖堂にて開会式が執り行われ、仙台白百合中学校の生徒による弦楽合奏の演奏で歓迎を受け始まりました。この弦楽合奏には圧巻させられました。中学生とは思えないほどの技術と表現力を持っていて、「さすがは白百合」といわせるほどの説得力と自校の高等学校の音楽科のものとの格差に、多少の惜敗感のようなものを感じたのも正直な感想でした。まっ、それはそれとして、中学生たちの合奏のお御堂に響く音色は、青森を早朝に発って、いくつかの交通機関を乗り継いできた私の疲れを完全に癒し、これから始まる二日間の研修会に落ち着いた心持ちで参加さする心構えを与えてくれたのでした。
本題の研修会の内容の方ですが、まずは公開授業です。私は中学生の宗教の授業を参観したのですが、まず教室に入り生徒たちを観察するにつけ、その授業対象が1年生であったことにも驚かされたのでした。それは、生徒の雰囲気から私が受けた印象では2年生か3年生ではないかと思ったからです。授業内容も教えるのにはなかなか難しい、「神の国に招かれているものの生き方」という単元で、「神の国とは何か、福音とは何か?」を主題とするものでした。しかし、授業状況を見て、考えようによっては理解することに、いらぬ詮索をしない中学一年生というまだ素直で柔軟性のある時期に教えるのがいいのかも知れない、という感想を持ちました。そして、ここ数年は宗教の授業を担当していない私ですが、本校に奉職して以来20年以上教えていた聖書の授業を、また担当してみたいという気持ちにさせられたのでした。
基調講演で高松司教区長の溝辺司教様がお話になった、『「生徒につなぐカトリック教育」〜キリシタン時代より始まるカトリック教育の理念が、現代のカトリック教育にどのように伝えられているかを考察する。さらに日本国家が目指した理念と比較しつつカトリック学校の特異性を指摘したい〜』は、今まで溝辺司教様のご講演を拝聴したり、研修会に参加する機会は何度もあったのですが、講演の一貫した本旨である「教養主義に立った宗教教育の実践」ということには、初めて疑問点を多く残すものであったというのが率直な感想で、そのことが邪魔をして司教様のお話の内容がうまく思考回路に馴染んでこなかったのでした。それは、特にイエス様が宣教活動をなされた時、人々に教養としてお与えにはならなかっただろうし、もしイエス様が福音を教養としてお与えになったのであればたった三年で死ぬこともなかったであろうと考えるからです。しかし、私もこの度の溝辺司教様の講演を機会に、現代のカトリック学校教育活動の中における宗教教育という観点で、また、平成25年より施行される新指導要領公民科においての宗教教育の充実が唱われるなかで、カトリック学校における福音宣教とはどうあるべきかを考えていこうと思っています。
二日目の分科会は、第5分科会の生徒募集対策部会に参加しました。何処の学校も少子化の波のあおりを受け、生徒募集に必死です。しかし、多くのカトリック学校は、同じ悩みとジレンマを共有しているのではないでしょうか。それは、カトリック学校の本来の使命である宣教司牧ということと、日本社会が学校に求める進路実績や部活動などによる褒賞です。確かにどちらも学習指導や生徒指導そして特別活動の教育活動による結果得られるものなのですが、それを旗印に学校の名を挙げ、生徒数を確保し学校経営を成り立たせるということには、カトリック学校の本来的使命からいって諸手を挙げて賛同するというわけには行かないのです。この点がカトリック学校の学校マネジメントの難しさなのかも知れません。それは、まさに現世的な御利益や幸福と、天に宝を積むというキリスト教的価値観との二律背反からくるものなのでしょう。
しかし、分科会の最後のまとめとして助言者である会津若松ザベリオ学園中学・高等学校長の佐藤大先生のお話になったカトリック学校としての本来的使命を忘れてはならないとのお言葉に、私自身安堵を覚えたのでした。また、八戸ウルスラ学院高等学校の校長であられる中村敬子校長先生の「まず、何よりも生徒が学校で楽しく生き生きと過ごせることが大事です。」とのご意見も印象深いものとして残っています。いずれにせよ、カトリック学校としての生徒募集のあり方の確立は急務ではあるのですが、まだもう少しの時間が必要なのかも知れません。
カトリック学校の研修会の最後を締めくくるのは、ミサです。ミサは、主の晩餐の再現であるとともに、神と人間との契約の更新、そして神の福音を携えて世に派遣される厳粛な宗教儀式です。そういう意味においても、研修会の最後をミサで終えることは、相応しいと思います。その上、ミサの司式は、研修期間中をとおして参加してくださった、仙台教区長の平賀徹夫司教・新潟教区長の菊地功司司教そして高松教区長の溝部脩司教という、三教区の司教様が一同に会してのミサ聖祭で、なかなか与ることの出来ない貴重なミサとなりました。
閉会式が終わり、チャペルの出口でなんと仙台白百合学園オリジナル校地産出・醸造の梅酒がお土産として配られ、研修の開会式の中学生による合奏同様、驚かされ和まされたのでした。帰ってから早速賞味しましたが、まろやかな味わいで大変おいしいものでした。更に、仙台駅までの送迎バスに乗り発車する時には、仙台白百合の先生方全員がそろってのお見送り、その時の先生方々のすがすがしくも温かい笑顔が、とても印象的でした。今回の研修期間中をとおして、仙台白百合の先生方のきめ細やかな心遣いが随所に見られました。特に、大会初日の懇親会やステラマリスでの昼食メニュー、そしてこれも校地でなったブルーベリーを使ったジャムパンのおやつ等々、至れり尽くせりでした。もしかしたら、研修会の一番の成果は期間中をとおして同じカトリック学校に勤める教職員の皆様方と関わり、親交を深めることが出来たということではないでしょうか。 次回二年後の第25回は、本県八戸市にある八戸ウルスラ学院で開かれます。今から楽しみです。では、皆さん、本当にありがとうございました。そして、またお会いしましょう。
+在主平安 神に感謝
第24回東北地区カトリック学校教育研修会
2009年11月6(金)・7日(土) 於仙台白百合学園中学・高等学校
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