そこは、主の良い知らせを告げ知らせるために登らなければならない、 
ちょっとしんどい福音坂。 
主は、仰せになる。 
「苦しみを通らなければ、永遠の命に入ることはできない」と。 
  
大通りの信号を右に曲がると、目の前にはだかる急勾配の坂が見える。 
そこを自転車を乗り降りしながら、登らなければならない。 
学校へ向かう小学生のこどもたちが行き交うその坂で、 
親や交通安全係そして先生たちの大人が、こどもたちを見守る。 
桜の花びらが舞う中を、黄色い帽子にランドセルカバーの一年生の姿が眩い。 
  
私もその光景の中に溶け込み、自転車を押しながらその坂をせっせと登る。 
坂の頂上を見ると、気が滅入りそうになるので、 
なるべく坂の頂上を見ないようにして、一生懸命に登る。 
今日も福音に招かれた生徒たちに、良き知らせを告げ知らせるために、その坂を登る。 
  
ようやく、坂の頂上に着いたところで少し下だり右に曲がると、 
桜の花に彩られた並木道の先に校門が見えてくる。 
校庭から、朝練習をしているソフトボール部の女子生徒たちが、 
一瞬動きを止め、こちらに向かって元気よく挨拶をしてくれる。 
「おはようございまぁーす!」 
清々しい朝の瞬間。今日も一日頑張れる元気をもらう。 
  
ここの生徒たちは皆、福音に招かれた者たち。 
だから、この子らのために私はしっかりと、 
主の良い知らせを宣べ伝えなければならない。 
共に学び、考え、行動し、喜び合いながら伝えねばならない。 
あなた方のすべての人が、神さまに愛されていると実感できるまで、 
主の良き知らせを、伝えていきたい。 
  
私は今日もそのために、この福音坂を登る。 
  
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