今日は、クリスマスについてお話しします。
商店街ではクリスマス商戦と相まって、ショウウィンドウや街路樹などが、煌びやかなイルミネーションに飾られて、賑やかないつものクリスマスの光景が見受けられます。そんなクリスマスの雰囲気には、心も弾み、踊るような気持ちにさせられますね。
さて、クリスマスはみなさんもご存じの通り、神のひとり子、乙女マリアから生まれ、苦しみを受けて死に葬られ、死者のうちから復活したイエス・キリストの誕生を祝う祭日のことをいいます。
クリスマス(Christmas)という英語は、もともと古代英語の「Christes Maesse」つまり「キリストのミサ」という意味で、「Xmas」と表現されているのは、英語の「X」ではなく、ギリシア語の「Χριστο?(クリストス)の頭文字「X=カイ」を表記したものなのです。
では、ミサとは、どのような意味でしょうか。ミサとは、キリストが十字架に懸けられて殺される前夜に行われた、いわゆる「最後の晩餐」の再現であり、私たち人間が、キリストの受難と死によって、罪から解放されて、永遠の命に復活するという「福音」を、新しい契約として約束されたことを、祈念して行われるものです。
ミサは、その意味合いと形式から「主の晩餐」とか「パンを裂く式」、または「感謝の祭儀(エウカリスティア)」ともいわれてきましたが、ミサという言葉自体は、カトリック教会で行われるミサの最後に、「これで感謝の祭儀を終わります。行きましょう。主の平和のうちに。」という意味のラテン語である「Ite Missa est(イテ ミサ エスト)」のミサから由来し、「福音を述べ伝えるために派遣する・解散する」という深い意味合いが込められています。
では、「福音」とは何でしょうか。一言にいうと「福音」とは、私たち全ての人間が「神から愛され、必要とされて生まれ、神の愛によって全ての苦難や困難から救われ、やがてはキリストをとおして永遠の命に与り復活し、父と子と聖霊という神と一致する。」というこの上もない最上のうれしい知らせという「Good News」のことをいうのです。この意味において、クリスマスは、キリストの誕生を記念するのですから、「救いという福音の原点・始まり」ということができます。ですから、その「救い」を希望を持って待ち望むという「アドベント」といわれるのが、待降節という今の期間なのです。
キリストの誕生は、ナザレというガリラヤの町に住んでいた、ダビデ家のヨセフという人の許嫁であったおとめマリアに、神の使いである大天使ガブリエルが、神の子を宿すというお告げに始まります。マリアは、最初、恐れ戸惑いますが、天使の導きと自らの信仰によって、「Fiat(フィアット)仰せのとおり、この身になりますように」と神の不思議な業と御計画を受け入れます。夫になるヨセフもまた、マリアに対して大きな戸惑いと疑いを持ちますが、天使の啓示によってマリアを受け入れ、神の子イエスの誕生と成長に深く参与することになるのです。
神の子イエスの誕生の知らせは、天使によって当時の社会で最も貧しく罪人であるとして虐げられていた人々である羊飼いたちに、真っ先に告げ知らされました。(当時の羊飼いたちは、野営することが多く、闇夜のには悪魔が行き交うとの迷信から、羊飼いたちは悪魔に取り憑かれたいわゆる罪人であるとされていたのである。)実は、このことにも深い意味が込められており、神の福音が、貧しく虐げられた罪人である最も小さな者たちを救うために、もたらされたものであるということなのです。
また、東方の占星術の学者たちが、星に導かれて神の幼子の誕生を祝うためにやってきます。彼らは、ギリシア語で「マゴイ(Magoi)」といわれる聖職者や占星術師であって、異教の国の賢者の代表とされています。この遠い国からやってきた学者たちが、いち早く神の嬰児(みどりご)の誕生を察知したことも、イエス・キリストの福音がイスラエルのみならず、救いを求める全世界の全ての者に、述べ伝えられるものであるということを、既に啓示されていたことを意味するものなのです。 しかも、彼らの持っていた贈り物は「黄金・乳香・没薬」で、それぞれ黄金は王の象徴で、イエスが王であることの証。乳香は、祈りの象徴で、イエスが聖別され崇拝される神であることの証。そして、没薬は、死の象徴で、人類の罪を贖い、神の子として十字架に懸けられて死に葬られ、三日目に復活するということの証であるのです。後に10世紀頃、彼らはガスパール、メルキオール、バルタザールという名前がつけられます。
このように、クリスマスは神の子イエス・キリストの誕生を祝うとともに、その核心である福音の起源・始まりを祈念するものなのです。イエス・キリストの誕生は福音の誕生であり、救いの始まりなのです。
全校のみなさん、今年のクリスマスは是非、教会のミサに与ってみてはいかがですか?クリスマスのミサは特別です。光の祭儀、キャンドルサービスに始まり、言葉の祭儀、感謝の典礼、交わりの儀とつづき、閉祭の儀で結ばれます。聖歌もキリエ(あわれみの賛歌)、グロリア(栄光の賛歌)、クレド(使徒信条)、サンクトゥス(感謝の賛歌)、アニュス・デイ(平和の賛歌)というミサ曲の形式で歌われます。
クリスマスの聖夜、教会の鐘とともに始まるミサに与ることで、きっとイエス・キリストの福音が全身に染み入り、救いと平和で満たされることでしょう。
クリスマスの夜半ミサは、12月24日(金)隣のカトリック浪打教会は、5時30分から、カトリック本町教会は、同日の7時15分から始まります。どうぞお越し下さい。お待ちしています。皆様のもとに主の御降誕の祝福が、豊かにありますことをお祈りいたしております。アーメン。
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