皆さん、おはようございます。今日は、今読まれている「ルカ福音書」についてお話しします。
まず、驚くかも知れませんが、「ルカ福音書」の中には、これはルカ本人が書いたものであるということは一切出てきません。実は、他の三つの福音書も同様に誰が記したものなのかということについては何処にも書かれていないのです。
では、どうして「ルカ福音書」がルカによって記されたものである、と分かるのかというと、三つの根拠があるのです。一つには教会の伝承。二つ目には当時の文献や写本にルカによって記されたものであると記述されているからです。そして、三つ目の理由には、新約聖書の「パウロの書簡」にルカ自身が登場し、パウロと共に宣教活動をしていることが記されており、ということはパウロやペテロの宣教活動の様子を記している「使徒行録」の著者もルカであるということにつながります。なぜならば、「使徒行録」の最初に「ルカ福音書」と同じ「テオフィロさま」という人物に宛てて書かれたものであることが記されているからです。
ですから、「ルカ福音書」と「使徒行録」は同一人物によって記され、記事の内容から「ルカ福音書」の続編が、「使徒行録」であるということが分かるのです。
さて、ちょっと話がややこしくなってきましたが、「ルカ福音書」は一体何のために、また誰のために書かれたものだったのでしょうか?実は、このことが「ルカ福音書」の最も重要な鍵なのです。
「ルカ福音書」は、はじめの第1章の1節から4節にあるように、敬愛する「テオフィロさま」という人物相手に、「キリストについての全てのことを初めから詳しく調べていますので、順序正しく書いてあなたに献呈するのがよいと思いました。お受けになった教えが確実なものであることを、よく分かっていただきたいのであります。」と書いているように、キリストの教えを信じた「テオフィロさま」に、イエス・キリストについての、誕生からその教え、そして受難と復活までを、順序立てて詳しく書き綴り、イエス・キリストに関する全ての出来事が確実なものであったということを、証明するために書かれた書物であるということなのです。
「テオフィロさま」とは、おそらく偉い人物、もしくはキリストの教えが広まる上で重要な人物であったに違いありません。「テオフィロ」とは、「神を愛する者」という意味のギリシア語です。そのような人物宛に「福音書」と「使徒行録」という二つの内容の書物を書き送ることによって、ルカ自身が確信したイエス・キリストの教えを、より多くの人々に伝えようとしたに違いありません。
以上の点から、イエス・キリストの生涯とその教え、そしてイエスの復活と昇天後に、使徒たちがどのようにして福音を宣べ伝えていったのかを知るためには、「ルカ福音書」と「使徒行録」を読むことで分かるのです。
ルカという人物は、文献からアンティオキア出身のシリア人で医者を職業とし使徒達、特に宣教活動で最も活躍したパウロの弟子であったことが伝えられています。つまり、ルカは、ユダヤ人ではない異邦人で、現代の医者とは中身に、かなりの隔たりはあるものの、教養が高く語学にも長けた人物であったと推測されます。
全校の皆さん、クリスマスの集いやクリスマスまであとわずかですね。どうぞ、良きクリスマスを迎えるために、せめて「ルカ福音書」の1章から2章と「マタイ福音書」の1章から2章までを読んでみましょう。聖書の中で、イエス・キリストの誕生にまつわる記述は、この二カ所だけにしかないのです。
では、今日も一日、良き日となりますように、神さまのお恵みを願いましょう。アーメン。
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