インプラント
インプラントとは、歯がなくなってしまったところに、人工の歯の根っこを骨に埋めて、歯を蘇らせる治療法です。
インプラントの最大の利点は、残っているご自分の歯を守り、歯の寿命を延ばすことにあります。
歯がないところに歯をつくる治療は、ブリッジや入れ歯など保険適用の治療もありますが、その両方とも残っている歯にたいへんな負担をかける治療になってしまいます。
そのため、長い期間が経つと、大きな負担がかかっている歯が悪くなり、最悪歯を抜かなければならなくなります。
するとまた他の歯、特にブリッジ・入れ歯を支えている歯に負担がかかり、さらなる欠損を生み出してしまいます。
これに対してインプラントは他の歯には全く負担をかけないだけでなく、他の歯があまりよくない場合には、他の歯にかかる負担を軽くします。
インプラント治療により、歯にかかる負担を無くすことができるため、将来起こりうる歯の欠損のリスクを最大限に防ぐことができます。
インプラント治療は、「歯を失ったところに人工の歯を入れる」という理にかなった治療法で、噛みやすさや違和感において、自分の歯とほぼ同じ機能を期待できます。
そのため、「快適な食事」「違和感のない生活」などQOL=Quality of life(生活の質)を向上することができます。
インプラント治療の基礎知識
インプラントの基本構造として3つの部分に分けられ、人工歯根、土台、被せ物のうちの、人工歯根のことをインプラントと呼びます。
このインプラントはチタンでできており、その最大の特徴は骨と結合するということです。これをオッセオインテグレーションと呼びます。
このオッセオインテグレーションの発見により、インプラントの成功率は格段に上がりました。
近年のインプラントの10年成功率は95%以上といわれており、人工臓器として最も成功率の高い最先端治療といえます。
また、チタンは経年劣化しないため、適切なメインテナンスで寿命15年、20年、それ以上も期待できるでしょう。
当院で扱うインプラント
日本には20社以上のインプラントメーカーが導入されており、それぞれ特徴やコストが異なります。
特にその中で、世界4大インプラントと言われている4社が高い実績があるため非常に人気があります。
当院のインプラント治療では、世界4大インプラントの1つであるアストラテックインプラントを使用しています。
アストラテックインプラントの特徴
免荷期間が6週間
免荷期間とは、インプラントと骨がオッセオインテグレーションするまでに必要な期間のことです。
通常2〜3か月、長いと6カ月必要とされてきた免荷期間が6週間でよいため、それだけ治療期間が短縮でき、患者さんにとって大きな利益となります。
辺縁骨が下がりにくい
インプラントは、天然歯と違って歯ぐき周りの防御機構がないため、インプラント周囲の清掃不良や過度な咬合力により、経年的にインプラント周りの辺縁骨が下がりやすくなります。
辺縁骨が下がると、インプラントの寿命にかかわるというだけでなく、前歯であれば見た目に問題が出ることがあります。
アストラテックインプラントの場合、マイクロスレッドという構造が辺縁骨を下がりにくくしています。
豊富なインプラントの種類
インプラントの選択は、骨の状態、咬み合わせの強さなどにより違いがあるので、その種類が多ければ多いほど対応できる状況が増えます。
一人一人の患者さんの状況に合わせてインプラントを選択できるため、症例の幅が広がり、侵襲の少ない治療をすることができます。
コストがかかる
メーカーごとにインプラントシステムに違いがあるため、コストも変わってきます。
特に4大インプラントメーカーは実績があるため、他のインプラントシステムに比べると割高になってしまいます。
そのため、良いインプラントシステムを導入しながら、患者さんにはできるだけ負担をかけないように配慮しています。
インプラント治療の流れ
@精密検査
ステント(診断器具)を使用したCT撮影をします。ステントを使うことにより、安心・安全で確実な埋入が可能になります。
また、CTによる診断の結果、骨を造る処置が必要になることもあります。
A埋入手術
局所麻酔下で行います。
治療中の痛みがないように行うので、抜歯をした時と同じような感覚です。
骨を造る処置が必要になる場合、インプラントの埋入と同時に行います。
B埋入手術後
術後数日は抜歯をした時と同じような痛みが出ることもあります。
歯ぐきが治るまで消毒を繰り返し、骨としっかり結合するまで1〜2か月おきます。
骨造成を行った際は、3〜6か月必要になることもあります。
C2次手術
局所麻酔下で行います。
土台(アバットメント)を入れるための準備で、歯ぐきの形を整えるために行う手術です。
歯ぐきの形を整えるために1〜2週間おいた後、土台の型をとります。
型をとった後、土台と上部構造を同時に仮合わせをします。
D上部構造装着
上部構造を装着したら、インプラント治療は終了になります。
できることなら一生もたせていきたいと考えており、そのためには定期的なメインテナンスが重要です。
基本的に3カ月に1回のメインテナンスで、歯周病のリスクを大幅に軽減できます。
インプラントは虫歯には絶対にならないので、歯周病のリスクを軽減することにより、長持ちする確率が格段に上がります。
インプラント以外の欠損治療
インプラントは歯がなくなった時に初めて行う欠損治療の一つです。
欠損治療を行う目的は、@咀嚼機能の回復とA歯の移動の防止です。
欠損部分を放置すると、隣の歯が傾いたり反対側の歯が伸びたりして咬み合わせが狂ってしまい、後々の治療が大変になってしまうため、何らかの欠損治療が必要になります。
@ブリッジ
≪利点≫
・保険診療も可能
・セメント固定式のため、取り外しの必要がなく、違和感も少ない
≪留意点≫
・隣の歯を多く削る必要がある
・ブリッジを支える歯に強い負担がかかり、その歯の寿命を縮めることになる
・ダミーの歯の下が清掃不良になりやすい
A入れ歯
≪利点≫
・保険診療も可能
・多数歯の欠損にも対応できる
・ブリッジに比べると隣在歯を削らなくてよい
・取り外し式なので清掃しやすい
≪留意点≫
・取り外し式で口の中に異物が入るので違和感が強い
・入れ歯を支える歯に強い負担がかかり、その歯の寿命を縮める
・咀嚼力が低下する
入れ歯と比べた場合のインプラントのメリット
身体機能の維持につながる
インプラントで食べ物をしっかり噛めるようになると、食事によりたくさんの栄養素を摂取できます
それにより、免疫機能や足腰の機能、内臓の機能を正常に維持しやすくなり、全身の健康維持・増進につながります。
認知症の予防になる
「咀嚼機能が低い人は、認知症のリスクが高くなる」ということが研究により明らかになっています。
インプラントは自分の歯に匹敵する機能を期待できるということから、インプラント治療により認知症のリスクを軽減することができるといえます。
QOLが向上する
インプラント治療により、入れ歯による「会話しにくい」「食事しづらい」など、日常の生活の不便さによるストレスを無くすことができます。
さらには、若々しさをキープできることで自分への自信につながります。
インプラント治療の料金
奥歯と前歯、骨造成の処置の有無で料金が異なります。
≪奥歯の場合≫
@ステント作成、CT診断料:安全なインプラント手術をするための診断装置作成料とそれに伴う診断料
¥10,000
Aインプラント埋入手術料:ステントを使ったインプラント埋入手術料
¥298,000
Bチタンアバットメント:2次手術と土台(アバットメント)製作料(奥歯用)
¥20,000
Cオールセラミッククラウン:奥歯の被せ物
¥69,000
≫@+A+B+C:総額
¥436,700(税込)
≪前歯の場合≫
@ステント作成、CT診断料:安全なインプラント手術をするための診断装置作成料とそれに伴う診断料
¥10,000
Aインプラント埋入手術料:ステントを使ったインプラント埋入手術料
¥298,000
Bゴールドチタンアバットメント:2次手術と土台(アバットメント)製作料(前歯用)
¥30,000
Cオールセラミッククラウン:前歯の被せ物
¥89,000
≫@+A+B+C:総額
¥469,700(税込)
≪骨造成が必要な場合≫
ソケットリフト:比較的狭い範囲の上顎洞に対する骨造成処置
¥60,000
サイナスリフト:比較的広い範囲の上顎洞に対する骨造成処置
¥90,000
GBR:上顎の比較的広い範囲に対する骨造成処置
¥90,000