日蓮聖人座像、桃山時代、寄木造、玉眼嵌入、彩色仕上げ
鎌倉時代に幕府が置かれた鎌倉には、さまざまな宗教が往来して振興の拠点を形成しました。このような中で真言宗や天台宗、浄土宗の教学を母体として、中国から伝わった禅の影響も受けて各種の宗派が発生しました。天台僧として出家した日蓮は法華経が最高のものとして、布教活動を始め、「立正安国論」を鎌倉幕府に奉進しました。当寺に祀られている日蓮聖人座像は、桃山時代の作といわれ、09年10月より神奈川県立歴史博物館の特別展に展示されました。
日蓮聖人座像について
僧綱衣に袈裟、横被をつけ、右手に笏、左手に経巻を持つ日蓮聖人の説法像です。
この像は、相模国の相橋山長福寺という寺に元々あったようです。後ろに書かれた墨書を見ると正応元年(1288年)日法上人により開眼と銘が書かれています。しかしその銘文の形式や作風から見て、ここまで制作年代はさかのぼれず、これは近世の追記と言われています。おそらく桃山時代の制作だろうと言われています。なぜ大阪本政寺に来たのかわかりません。
作風が強い意志的な表情や量感のある体躯などにおおらかな表現が見られるらしく、中世の作風だと推測されているのだそうです。
この像は日蓮聖人像としては法量もあり、本格的な基準作として重要なものと位置づけられています。
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