おとめ座


ギリシャの十二神の中に、大地の生産物、農業の女神デメテルがいます。
また、デメテルには、ペルセフォネという美しい娘がいました。

死の国の神ハデスがペルセフォネをたいへん気に入ってしまいました。そして、全能の神ゼウスに、ペルセフォネと結婚させてくれるように頼みました。
ゼウスは、死の国の神にへそを曲げられるとまずいので、渋々了解してしまったんです。
ある日、ペルセフォネはシシリア島のエンナの谷という所で、他の娘たちと花摘みをしていました。
娘たちから一人離れて森の中を歩いていると、一輪の不思議な光をはなつ水仙の花を見つけました。
その花に駆け寄った時、突然地面が二つに割れて、四頭の黒馬に引かせた馬車に乗ったハデスが現れ、ペルセフォネをさらって地の底に連れ去りました。

ペルセフォネがいなくなり、デメテルは大変悲しんで、世界中を探し回りました。そして、ゼウスが勝手にペルセフォネをハデスにやってしまった事を、太陽の神から聞いてしまったんです。
そして、怒りと悲しみのあまり、エレシウシースの自分の神殿に、仕事をしないで閉じこもってしまいました。
そうすると、地上では、なんの実りも無くなってしまい、人間が飢え死にしてしまう危機が起こりました。
ゼウスは困り果て、デメテルに使いを出して、なんとかなだめようとしましたが、デメテルは聞いてくれません。
ゼウスは、今度はハデスの元に、ゼウスの使いであり商売の神であるヘルメスを行かせました。ヘルメスの懸命な説得に、ヘルメスはペルセフォネを返す事に、渋々了承しました。
そして、ハデスは、ペルセフォネにざくろの実を三粒食べさせて、デメテルの元に返したんです。
デメテルは、ペルセフォネが帰ってきて喜んだのもつかの間、ざくろの実を食べた事を知り、また悲しみの淵に落とされました。
ざくろの実は、結婚の印で、二度と結婚を取り消す事ができないしきたりなのです。
デメテルは、悲しみのあまり、また自分の神殿に閉じこもってしまいました。
ゼウスは、ペルセフォネについてハデスと話し合い、一年のうち四ヶ月はハデスの元で暮らさせる事にしました。
ただ、その四ヶ月の間は、やはりデメテルが閉じこもってしまう為、実りが無く、冬の季節になってしまうとの事です。
春になり、ペルセフォネが帰ってくると、デメテルは姿を現します。天空のおとめ座は、そのデメテルの姿なのです。



北斗七星のひしゃくの柄のカーブに沿って南に見ていくと、頭上のあたりでオレンジ色に輝くうしかい座のアルクトゥルスがあり、さらに南に見ていくと一等星の明るい白い星スピカがあります。
そのスピカは、デメテルが左手に持つ麦の穂の先にあたります。
全体を見るのには、わかりにくい星座ですが、崩れたYの字を横に寝かせた様な形ですので、見当をつけて星を追ってみてください。





Minomushi
'99.5.16

MIDI提供
Taishirou futsuno