Hey Bulldog

少林寺拳法部


私は、高専に入学して、少林寺拳法部に入りました。
特に強くなりたいという事も無く、ただ中学の先輩に誘われたから、なんとなく入ったんです。
中学の時の、ブルース・リー・ブームの影響か、同時に入部した人は三十人を越えました。
入部して、すぐに後悔しました。すごく厳しかったんです。この部が始まって、私たちは五代目。その上、大人数の入部で、先輩方は張り切っていたんです。上下関係は厳しいし、練習は厳しいし、乱取りといって組合をして実際に戦う練習では平気でつき蹴りを当ててくるんです。
何度ぶっ倒れた事か。
そういう事で、三十人いた新入部員は、一ヶ月で半数に減り、一年で十人ぐらい、二年で四人、四年で部の運営を任される時は二人になっていました。
つまり、私とN君です。N君は、体が小さいのに、がっしりしていて、すばしっこくて、強かったなぁ。
最後まで頑張って残った二人ですから、N君とは親友になりました。何でも腹を割って話せる奴です。
ただ、一つだけ許せない事がありました。それは、彼がビートルズを認めないという事でした。N君が言うには、もう古い、あれはロックじゃ無い。彼と議論して、けんかの様になった事もあります。
ある時、これがロックだという事で、ごっそりとテープをくれました。それは、キッス、レッド・ツェッペリン、エアロ・スミス、ディープ・パープル等など、彼が好きなハード・ロックばかりでした。聴いてみて、意外と気に入っちゃったりしたんですけどね。
なるほど、これらはロックだ、認める、でも、ビートルズだってロックをやっているんだ、といっても分ってくれなかったんです。
そこで、今度は私の方からビートルズのロックを聞かせてあげました。ロックンロールを聞かせても古いと言うに決まっているので、斬新な感じがする「Hey Bulldog」を聞かせました。
ところが、それでも分ってくれない分からず屋。彼は、とうとう分ってくれなかったなぁ。
この「Hey Bulldog」という曲、今聴いても新鮮に聴けるんですけどね。


Hey Bulldog
(John)
アルバム「Yellow Submarine」のA面四曲目に収録
1969年1月17日 リリース


このアルバムは、
ビートルズを主人公にした同名アニメーション映画のサウンド・トラック盤。
このアニメーション映画を、ジョンと息子のショーンが見に行って、
ショーンが、「パパはビートルズだったの?」とジョンにきいたんだそうです。
それをきっかけに、育児休業中のジョンの活動再開となったのだそうです。
残念ながら、その後のアルバム発売後、殺されてしまいましたが・・・。


'99.5.16
Minomushi

MIDI提供
Nobuo Takenaka