A Day In The Life

ビートルズのプログレッシブ・ロック


中学生の時、ラジカセのエアチェックでビートルズの曲を集めていた頃、ビートルズを紹介してくれた友達以外にも、音楽を聴く事が好きな友達がいろいろとできました。
「音楽鑑賞」が趣味です、なんて堂々と言えた時代です。今じゃ、笑われるかもしれません。でも、その頃は音楽を聴いている事自体がすばらしい趣味のように思えていたんです。
私がビートルズに狂っている事を知り、自分が好きな音楽を聴かせてみたいと思ってか、自宅に招待してくれた友達が数人いました。
八百屋の息子もそのうちの一人でした。
普段はあまり話をしない仲だったのに、急に家に来る様誘われました。
行ってみると、まさに八百屋でしたが、八百屋の間口の土地しかなく、その二階と三階が住居でした。階段はスペースを取らない様に、鉄の螺旋階段という変な家でした。東京の浅草などの下町近辺は、持っている土地が狭い為、そんな家が多いんです。
聴かされた曲は、クィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」でした。多分デビューしたてだったと思います。その曲は、ボーカル、ハーモニー、曲の展開、演奏、どれを取っても聴いた事が無い様な素晴らしいものだと思ったものです。
その友達は、目を輝かせて、
「いいだろ、いいだろ」
を連発。さらに、
「こいつらのレコードを集めるんだ。」
と力説していました。

ある日、FMラジオで「プログレッシブ・ロック・ベスト・テン」という放送がありました。直訳すると、「先進的なロック」となります。時は、’70年代半ば、新しい名称だったと思います。
どんな曲が出てくるんだろう、とわくわくして聴いていると、クイーンがランクインしていました。なるほど、こういう音楽を「プログレ」と言うのか、と納得したものです。
他のアーティストは、カンサスや10CCなど、’70年代に入ってから活躍したグループばかりでした。
でも、その中にちゃんとビートルズが食い込んでいたんです。
その曲は、「A Day In The Life」でした。
左右に移動するジョンのボーカル、曲の展開、なるほど「プログレ」だなぁ、とまた納得。’60年代に既にやっていたんだと、感心しきりでした。
DJのコメント、
「ビートルズは、どんなベストテンをしても、何かランクインするでしょう。」
そのとおりだと思いました。


A Day In The Life
(John and Paul)
アルバム「SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」のB面六曲目に収録
1967年6月1日リリース

初めのパートはジョンの作曲、
オーケストラの後のパートはポールが作曲して付け足した。
オーケストラは、ジョージ・マーチンの指揮の下、
Eから一気に駆け上がれと指示されて演奏された。
なんだか、ジョンが左から歩きながら歌っているように聞こえるし、
リンゴのドラムもカッコ良いし、
好きな一曲です。


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1999.4.1 Minomushi