Yesterday

Yesterday は、私が最初に好きになった曲でした。


友達にビートルズを教えてもらってから次の正月までは、自分の家でビートルズを聴く事はできませんでした。カセットテープを再生する機械が無かったんです。
その頃は、モノラルのカセット付きラジオ、通称ラジカセですが、これが全盛でした。まだ、ステレオラジカセが無く、CDなんて影も形も無く、ステレオは売っていましたが高価でした。私は、ラジカセが欲しくてたまりませんでしたが、とうとう正月のお年玉のときまで待ってしまいました。
正月にお年玉を貯めて、待望のラジカセを買いました。ナショナルのマック18という型でした。ラジカセのくせに、スピーカーの大きさがが18cmもあったんです。
私は、ラジカセを買ったその足で、友達のうちに行きビートルズを録音させてもらいました。コードでつないでダビングしたんです。
今考えると、その友達の持っていたビートルズの曲は、かなり少なく、ベストアルバムの「赤盤」と「青盤」が主だったような気がします。
ダビングをしている時、友達が妙な事を思い付きました。
「あ」から「ん」までの五十音をサンプリングすれば、ダビングの操作で好きな言葉を作る事ができる、という事でした。なるほど、と思いましたが、それを女の子の声でやればおもしろいと、一人でおもしろがっているんです。それも卑猥な顔で・・・。
そして、やろうと言われました。
(何を考えているんだ、こいつは。)
と、あきれてしまいましたが、口から出た答えは、YESでした。
冬休みがあけて、早速、クラスで一番おとなしい女の子を、学校の帰りに図書館に呼び出しました。
その友達は、スケベでしたが甘いマスクの男だったので、女の子はうれしそうにやってきました。わくわくしているようでした。
「ゆっくり、あ、い、うって録音して欲しいんだけど。」
友人が前置も無く言うと、女の子はしばらく絶句した後、
「帰る・・・。」
と言って、ぷいっと帰ってしまいました。
友達は、すぐ気づかれた事に、すごく悔しがっていましたが、私は、なんてことをしてしまったんだろうと、後悔しきりでした。

友達に録音してもらった曲の中で、大変気に入った曲が、「Yesterday」でした。
弦楽四重奏をバックに、ポールが歌う物悲しいメロディーは、私を虜にしました。
この曲に魅せられて、初めてギターを練習しました。でも、難しかった。いきなり、Fというコードが出てきます。人差し指一本で6弦押さえなければなりません。ジャンという音ではなく、ポンという音になってしまう。Fをなんとかクリヤーしても、つぎにBという難関が・・・。そういうわけで、ギターの「Yesterday」のギターの練習は、その後数ヶ月続きました。
今は、得意な曲ですけどね。


Yesterday
(Paul)
アルバム「Help!]のB面六曲目に収録
1965年8月6日リリース

今や教科書に載るほど、スタンダード曲になった。
当時はロックの新しい展開法だと言われた。
伴奏の弦楽四重奏のアレンジはプロデューサーのジョージ・マーチンによる。ポールは、この曲は朝起きたら自然に出来たと言っている。
て、天才だ。



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1999.3.19 Minomushi