四日目(その2)


さてと、お次は日本海へ抜けませう。北の稚内を目指すには、内陸部を通って国道40号を北上するのが最短。が、目的地への移動そのものを楽しむあっくんの旅は、景色がいいであろう海岸線を北上する。あらかじめルートは決めてあった。道道118号線→119号線経由で天塩(てしお)方面へ抜ける。例によって、国道は極力避けて走る。地図を見ると恩根内(おんねない)という町から道道118号に入ればいいみたい。

山岳地帯を抜けると平野(盆地?)が広がってきた。ここが美深(びふか)。いったん国道40号を使って北上すると、道道118号への標識ハケーン。右折して恩根内を走る。住宅地を走るため、40km/hの低速走行。道路わきに小さな案内板が見えた。

....この先通行止めだって!?

「冬季通行止め」という標識の「冬季」の文字が消されていた。単なるいたずら?それとも、ほんとに通行止めなんか?
住宅地の片隅に停車、辺りを見回す......

おーい、誰かいないかあ〜っ!

山岳救助隊の気分で見渡しても、人っ子一人いない。洗濯物が干してある民家もあるが、人の姿は皆無!どっかの家を訪問して訪ねるか?...... いや、仮に訪ねたとしても、主婦が道を知っているかどうか保証は無い。この先、本当に通行止めだったら引き返さねばならず、大幅に時間をロスしてしまう。ただでさえ、予定時間をオーバーしてるし、迷ってる時間ももったいない。

......うん、その方がステキ!

ステキも何も、他に選択の余地は無い。ここはひとまず国道40号線経由で佐久(さく)まで走ろう。その後、道道119号に入ればいい。空き地を利用してUターン、再び国道40号に戻り、恩根内を後にした。

右下の恩根内から道道118号を使おうと思ってたわけ。が、本当に通行止めだったら困るので、国道40号に戻って佐久まで走る。

再び国道40号を北上する。そろそろ音威子府(おといねっぷ)が近くなってきたな。50km/hでゆっくりと走る。一昨年のレポートで、「公務員の行動には一定のパターンがある」って書いたけど、ここはそのパターンにピタリ合致する。このため、低速走行を続けてるんですねえ。

音威子府を通過、ここからは天塩川沿いに西へ走ることになる。なかなかきれいな渓谷、高倉健が金の受け渡し場所に指定しそうだな(爆)。(←新幹線大爆破っていう映画知ってます?)

 

天塩川沿いに走る国道40号。このまま走れば豊富まで72km、稚内まで111km。

....あべしっ!

500m先の橋から、白黒ツートン車両が合流するのが見えた。十分に車間距離を取って様子を見る....... ほう、80km/hで走っても、前方の白黒車両との間隔は開く一方。向こうは90km/hは出てるな。

.....うん、その方がマジでステキ!

速度計とにらめっこしながらの50km/h走行より、普通に走った方が事故る確率は低いど。しばらく5速80km/hで走ってたが、それ以上の速度で走る白黒車両は見えなくなった。

佐久に到着、道道118号線への標識が見えてきた。この道、本当に通行止めだったんだろうか?まあいいや、おかげできれいな渓谷を見ることができたし、結果オーライやね。左折して、いったん118号線に入り、すぐに道道119号線に右折。地図を見ると、119号線は一部ダート区間があるらしい。よかよか、ダートを避けてちゃ北海道は旅できないぜ。

クゥオオォーーーン!

スカちん以外は一台も走ってない道道119号線、5速90km/hの単独走行が続く。この道路、舗装して間もないな。きれいなアスファルト、わだちが全く無いんで走りやすいこと!結局、ダートを走行することはなかった。どうやら、全線舗装が完了してたようやね。

山間部を抜けると、一気に視界が開けた。磯の香りがする。日本海に遭遇、ここからは海沿いに北上するど!右折して国道232号線に入る。道南の海岸道路と比較して、かなり道幅が広い。90km/hで走行できる。基本的に海岸沿いの道路は道幅が狭く、曲がりくねってて走りにくいんだが、ここは全然違う。

海岸通りの一直線道路なんて初めて!

国道232号線に出たらスピードダウンしなきゃならんと思ってたが、その必要は全く無い。むしろ、今まで以上に走りやすい。

ヴオオォーーン!

なんだあ、90km/hで走行してても、次々と追い抜かれるど!あいつら、何キロで走っとるんじゃ?ちょっとついて行ってみるか。

90....100....110....

110km/h以上で巡行してる!いくらなんでも一般道で100km/hは出しすぎ。燃費も悪くなるしね。あっくんはアクセルを緩めた。

天塩(てしお)に到着、時刻はPM0:30。予定ではPM1:00到着だった。ラッキー!海岸線をこれだけの速度で走れるとは思ってなかった。うれしい誤算(^^)。さてと、時間には、うんと余裕ができるな。おまけに朝メシをたらふく食ったので、この時間になっても腹が減らない。食堂には寄らずに天塩を通過、漁港を抜けてさらに海岸線を北上する。今度は道道106号、いよいよサロベツ原野に突入!右手に手付かずの原野、左手に日本海、そして地平線の果てまで続く直線道路、

これぞまさしく北海道!

 

北海道にはたくさんの観光地がありますが、その真の魅力は、人を寄せ付けない大自然にある。そんなところには、基本的に観光名所は無い。延々と、だだっ広い原野が広がっているだけ。そんな北海道を味わいたいのなら、道北か道東を旅することをお勧めします。今回、道北を初めて旅して分かったんだが、(道北は)観光客が少ない。ということは、必然的に「わ」ナンバーが少なくなるんで、非常に走りやすい。今年は、(去年走った)大雪山回りの内陸部をカットしたが、そのかいがあったようだ。もちろん、大雪山回りも魅力的ですけどね。とにかく、あっくんは一気に道北フェチになってしまいますた!

道路脇に小さな食堂ハケーン、ちょっと休憩するか。食堂の駐車場に停車、ボンネットを開けて十分なアフターアイドリング。

...うわあ、これはひどい!

フロントマスクはもちろん、ラジエータにたくさんの虫たちが貼り付いている。トンボにチョウ、ハエ、ハチetc..... バッタの屍骸が特に多いな。ナンバープレートやバンパーは、バッタの血で赤黒く変色している。たくさんの虫たちをひき逃げしちまったなあ。かわいそうだが、こればかりは避けようが無い。

グリル、バンパー、スポイラー、至るところに虫たちの血がついている。ナンバープレートをお見せできなくてよかった(苦笑)。いや、ほんと血だらけなのよ。......あ、ハイビームにバッタの屍骸が......
一通り屍骸を落としてから撮影したんだが、ハイビームの屍骸には気づかなかった。

 

北海道を走ると、フロントウインドウはこうなります。

エンジンを止め、ラジエータに張り付いた虫たちを落とす。スカちんにもずいぶん傷が入ったなあ。ラジエータの「放熱用のひだ」は、何箇所もひん曲がっている。ヘッドライト横のモール、甲虫がまともに当たったな。一部メッキが飛んでいる。コーナーラバーも傷だらけ。ボンネットも何箇所か、色が剥げちまった。ただでさえ食いつきの悪いワインレッドを再塗装しているため、虫たちが当たっただけで傷が入ってしまう。北海道を走ったら、仕方の無いことやね。何度も言うけど、汚れても傷ついても壊れても走るのが、GTカーの宿命。飾りじゃないのよ、GTバッジは。

「あらあ、車壊れたの?」

食堂のおばちゃんから声をかけられた。

「いえ、そういうわけじゃないんですよ。ちょっと虫の屍骸を落としてるんです」
「あらそう、水使ったら?トイレの横にバケツと水道があるよ」
「ああどうも、ラジエータ部分に張り付いた虫を落とすだけだからいいですよ。それより、ちょっとここに車を停めてていいですか?海岸を散歩したいんで」
「かまわないよ、今日は利尻島が見えるから、ゆっくり行ってらっしゃい」

親切なおばちゃんや。お礼を述べて海岸へ歩く。

...ほう、これが利尻富士かあ!

薄く雲がかかってて見えにくいね。

 

この写真の方が分かりやすいかな?きれいな利尻富士を見るのなら、午前中がお勧め。午後は逆光になってしまう。でも、ここに午前中に来るのは至難の業やなあ(苦笑)。

ずいぶんと北まで来たもんだ。北の果て、稚内までもう少しやな。さて、そろそろ行くかあ。

時刻はPM1:30近い。あんまし腹減ってないが、親切にして下さったおばちゃんに、あいさつ無しでは旅立てない。あっくんはソフトクリーム、かあちゃんはかぼちゃ餅を購入、食堂のおばちゃんにお礼を述べて出発する。どーでもいいけど、北海道に入ってから、わしよりかあちゃんの方が食っとるぞ。それでどーやって痩せるんじゃ?

再び道道106号線を北上、5速90km/hで走行する。そうそう、今走ってる道道106号は、天塩〜稚内の約70km間、ガソリンスタンドが無い。てゆーか、民家も無い原野。走る場合は、ガス欠に十分注意しませう。

道路脇に停車して一枚パチリ。手つかずの原野が延々と続きます。こんなところで、スカちんがトラブったらOUT。北海道を旅するなら、信頼できる車で走らねばなりません。

利尻富士が大きく見えてきた。その奥からもう一つ島が見え隠れする。あれが礼文島か。

 

左は利尻島、右にうっすらと写っているのが礼文島。

 

 

北上すると、運転席側には終始サロベツの原野が広がります。ようやくカーブが見えてきた。稚内までもう少し。それにしても、汚いフロントウインドウやなあ(苦笑)。稚内で洗おっと(^^;