二日目(その2)


長万部市街地を迂回して、数年前完成したバイパスを走る。高速道路情報の掲示板が見えた。やっぱ洞爺あたりは通行止めになっている。数年前に高速が長万部まで開通したので、何となれば長万部→洞爺→室蘭→苫小牧と一気に抜けることもできる。それが今年は伊達あたりまで国道を使わないと無理らしい。元々高速を使う気は無いのだが(だってせっかく北海道まで来たんだから、景色を楽しんで走らなきゃもったいないでしょ?)、過去通ったことのある道路が通れないのはちょっち悲しい。このまま5号線を走ると札幌方面へ行くことになる。ここで右折して、37号線に入り海岸沿いを走る。ラジオをつけ、北海道の放送局をサーチする... 入った、STVラジオかな?欲しいのは洞爺湖あたりの道路情報。そのうち放送するでしょう。

海岸線に別れを告げ、山間道路に入る。たしかこのあたりに牧場があったはずだが...無い!? いつも放牧されていた牛の姿が見えない。心なしかサイロの色も煤けて見える。まさか!?
今まで何度も、かつて牧場だった土地が荒地になっているのを見てきた。だからといって、ここもそうだとは限らない。牛たちは小屋に戻ってる時間なんでしょう、きっと。

ワインディング道路を進むとすぐに、40km/hそこそこで走る軽自動車に捕まった。さっきスカちんが追い抜いた後続車軍団も追いついて来てじゅじゅちゅなぎ(おい!)... 数珠繋ぎ状態。いつまでたっても中央分離線は黄色いまま、登坂車線も無い。60km/hとは言わないから、せめて制限速度の50km/hで走ってくれや。

「...ここで道内の交通情報です。虻田(あぶた)、洞爺湖間の国道230号線は、有珠山噴火の影響で通行止めになっています。尚、洞爺湖外周道路は走行可能です」

ラジオから欲しかった情報が流れる。携帯持ってたら、iモードなんかでこんな情報も手に入るのかな?でも、運転中にiモードはできないしなあ(特に困らないから、あっくんは携帯を持っていない)。それはそうと、いつも通る虻田〜洞爺湖間のルートが、予想通り通行止めになっている。あそこは洞爺湖を一望できる展望台があって、きれいなんだがなあ。まあ、あの道の近辺(有珠山の西側)で噴火したんだから無理ないか。ということは東側ルート、昭和新山あたりから洞爺湖入りできるんでないかい?よし、今度の信号待ちのときに地図で確認してみよう。ところで前の軽自動車、

いつになったら抜けるんじゃい!

虻田町に到着、市街地を走る。信号待ち時に地図をチェック。よし、確かにこの先に昭和新山に抜けるルートがあるな。地図から大体の方向、距離感を把握する。いつも左折する洞爺湖へのルートは、案内標識にまで通行止めと書かれていた。15分ほど直進、そろそろ左折する道路があるはずだが... あった!多分この道だろう(←けっこういいかげん)。道に迷った時は迷った時、それも楽しか。ナビ持ってたら、こんな楽しみ無いでしょ?(^^;

左折すると、すぐにまた交差点が... ええい、また左折じゃ。方向感覚には自信がある。上り坂になった。3速、いや2速!急カーブを回ると目の前に昭和新山がどーんと広がった。どや、見てみい!この道で間違いなかったやろうが!(←誰に威張ってんだ?)

それにしても、この角度から昭和新山を見るのは初めてだ。う〜ん... 予定には無いけど、ちょっと寄って行こうっと。予定とは壊すためにあるなり〜。

新山の駐車場に到着。あれっ?ここは駐車料金400円だったはずだが... いつの間にか無料になっている。ラッキー!

今回はビデオを回してたので、写真は撮らなかった。この写真は1991年に撮影したもの。

ビデオを回しながら、おみやげ屋さんを散策する。木彫りの熊がいっぱい。とうきびやジャガイモを焼く匂いが漂う。以前と何も変わらない光景に安心する。でも、半年前はこの辺も大変だったんだろうなあ。おお、有珠山ロープウェイも動いとるやないけ!久しぶりに乗ってみるか。ロープウェイ乗り場に行くと、順番待ちのすごい行列が... そういえば今日は日曜日だっけ。乗るのや〜めた。ただでさえくそ暑いのに、あれだけの大人数でロープウェイ乗るのはきつい。

今回は乗らなかった有珠山ロープウエイに乗って、上から見た昭和新山。1991年撮影。

さらに散策すると、奥に熊牧場があった。そういえば、昔もあったなあ(←当たり前だ)。入ってみっか。入場料800円と熊のおやつ(クッキー)を買って入場。いっぱいいるなあ。ヒグマだけでなく、アライグマまで飼育されている。へえ〜っ、年齢別にブロック分けされてるんだ。人の顔が見えると、みんな手を上げて餌を催促する。中には手首を振ってアピールする輩もいる。なかなかいいスナップやないけ(笑)。クッキーをそこに放り込むと、戦闘開始!

「ガアアーッ!」

こらこら、ケンカすんな。またあげるから。次々とクッキーを放り込む。あっという間に無くなった。自販機で、またクッキーを購入して放り込む。狙って投げてやっても、いつまでもクッキーにありつけない、鈍くさいクマもいるんだなあ(笑)。

一際、クマ達の声が大きくなる。見ると団体客がリンゴを投げている。そうか、クッキーよりリンゴのほうが好物なのか。そういえば入り口でリンゴも売ってたなあ。よし、来年はリンゴをたくさん買ってあげよう。それにしても、何頭のクマがいるんだ?100頭以上は飼育されてるんじゃねえか?これじゃ入場料800円とっても維持管理は大変だろう。もし牧場閉鎖なんてことになったら、人間に餌もらうことを覚えたクマを自然に返すわけにもいかんから、つぶすしかないんだろうなあ。みなさん、昭和新山熊牧場をよろしく!

いやいや、なかなか楽しい寄り道だった。今度はほんとに洞爺湖を目指し、一気に坂を下る。この辺は木々が多いので、道路全体が日陰になっていて、とても涼しい。窓を全開、木漏れ日の中をスカちんは走る。視界が開け、前方に洞爺湖が広がった。180度の大パノラマ、いやいや絶景!左側を見ると、有珠山の中腹から2本の噴煙が出ている。テレビのニュースで何度も見た光景。思った以上に温泉街に近い。写真を撮ったんだが、逆光かつ露出オーバーでうまく撮れなかった。すんまへん。

雨に煙る洞爺湖。1993年パノラマ撮影。2000年の今回は、真夏の太陽が照りつけていた。

洞爺湖畔をゆっくり走る。ちょうどいい木陰を見つけて停車、しばし湖畔で休息。2本の噴煙以外は去年と同じ光景だが、あの時は大変だったんだろうなあ。がんばれ洞爺湖温泉街!影ながら応援致しております(←ホンマに影やな)。

さてと、クマ牧場で遊んだんで、時間的にも体力的にもきつくなってきた。次は温泉じゃ。洞爺湖畔を離れ、支笏湖方面へ壮瞥町を走る。途中オロフレ峠への右折標識が見える。地獄谷から登別へ抜けるルートだな。この辺の地理にはだいぶ詳しくなったぜ。オロフレ峠、西部警察ファンの方にはなじみのある地名でしょう。クライマックスシーンで、何回もしつこいくらい同一フィルムを焼き回してた(爆)、あの爆破やパトカーぶっ飛びシーンが撮影された場所です。

あっくんの旅はそっち方面ではなく、支笏湖を目指して直進。関係ないけど、この辺の公衆トイレの案内板を写真参照してください。昭和新山を描いているのは分かりますが、これはどー見ても...(^^;
毎年のことながら笑ってしまいます。

そんなこんなで、とある温泉に到着。観光案内にはまず出ていない穴場。宿泊もできるし、入浴のみだったら500円。去年偶然見つけた。本レポートを書くにあたって、この温泉名をサーチしたのだが、一件もヒットせず。訳ありだと困るので、この温泉の名称や場所の詳細はご勘弁を。

受付で500円払って温泉へ。昨日はフェリーでシャワーだけだったんで、シャンプー/リンス、石鹸で全身を洗う。かなり汗かいてたんで、さっぱりするぜ。そしてまずはジャグジーやね。ここのジャグジーは、あたしが知ってる温泉の中では一番!凄い勢いで全底から泡が噴出している。気持ちよかあ〜(^^) 仰向けになると、おおお〜っ!泡の勢いで体が浮く。まさに全身マッサージ。歌でも歌いたくなるねえ。

「ジャグジー♪、ジャグジー♪、ジャグジーOHジャグジー♪」

それってレットイットビーだろうがよ!

さらに、少々温度の高い露天風呂に入る。木漏れ日に舞い散る一葉... 夏の終わりの北海道。ここで一句。

「露天風呂、ああ露天風呂、露天風呂」

お粗末(←お前、俳句の才能ねえだろ)。

ああ〜気持ちえがった。庭園の木陰で一服。まだ気温は30℃近くあるだろうが、近くを流れる小川から涼しいそよ風が吹く。さあ、疲れもとれたことだし、行こうかねえ。

「どうも、お世話様でしたあ〜!」

受付のおじさんにお礼を言って出発、一路支笏湖へ。スカちんの窓を全開、リアクォータウインドウ上部のフックにハンガーをかけ、使ったバスタオルを干す。険しい峠を越え、日の傾きかけた山岳地帯を走る。快調快調、目だって遅い車に捕まることもなくスカちんは走る。ところがこの頃、既にあっくんは、ある禁断症状に悩まされていた。

ビール飲みてえ〜〜っ!!

温泉の後は、やっぱビールでしょう。しかしながら、苫小牧のホテルにたどり着かないことには、ビールは飲めない。飲酒運転はしない主義だ(←いばるな)。ビールをとるか、支笏湖をとるか... 0.3秒で答えは出た。予定変更、一気に苫小牧へ一直線。まあ、支笏湖畔沿いを走ることだし、スカちんの車窓から湖面を見ることができる。この辺はキャンプ場も多いし、野生の鹿やキタキツネに出会えることもあるんで、アウトドア派の方にはお勧めの場所です。

霧がかかった支笏湖畔。1995年撮影。

てなわけで、ナウいシティボーイ派あっくんは(←お前、恥ずかしくないか?)、支笏湖から苫小牧へ伸びる一直線道路へ。北海道の原野を文字通り地平線の果てまで20km近く進む一本道。あっくんお気に入りのルート。夕暮れに長く伸びるスカちんの影。気分はスカイラインのCMモード(笑)。この一本道を抜けると、そこはもう苫小牧市街。片側4車線(!)の国道36号線に入る。目指すは駅前のダイエー。ここでビールとつまみ、簡単な惣菜を購入。忘れちゃいけない焼酎とミネラルウォーター。

サクサクと買い物を済ませホテルへ。今日の宿はホテルイーストジャパン。36号線沿いにある帽子被ったホテル。ホテルの名前にまで「ジャパン」が入ってるとはまいったね。ホテルの広い駐車場に停車、本日の走行距離281km。アフターアイドリングと同時に、ホテルに持ち込む荷物をまとめる。トランクを閉めエンジン停止、ドアロック。スカちんお疲れ!明日まで寝てろや。チェックインを済ませると、早速クラシックの缶を開ける。

プシューッ、ゴキュッ、ゴキュッ、ゴキュッ...
「ぷはあぁ〜〜っ!この一杯のために生きてるな!」(←こればっか)

さっき温泉に入ったので、今度は簡単に風呂に入る。さあ、夕飯に出かけようかねえ。このホテルに泊まるのには訳がある。ここから徒歩5分くらいのところに、毎年必ず立ち寄る炉端焼きの店がある。

「こんばんわ〜」
「いらっしゃい、よく来たねえ!」

一年に一度尋ねる店。いつも暖かくおかみさんが迎えてくれる。

「頼んどいたホッキ貝入ってる?」
実は1週間前に電話して、ホッキ貝を予約しておいた。
「いいのがあったよ」

大きな生のホッキと、焼いたホッキの2種類用意して下さってた。

「...うっ、馬すぎるっ!」(←大鉄オヤジか、お前は)

コリコリしてアワビみたい。ほのかに甘くて焼酎に合う。新鮮な貝は専門家に調理していただくのが一番。
とうきび、ジャガイモ、ホッケ... 北の大地の恵みを次々とおかみさんに料理していただく。酒もすすむぜ。

「最近、景気はどう?」
「食べていくだけで精一杯だよ。でも、出稼ぎに行かなくていいだけ、まだマシかねえ...」

北国の生活のこと、東京の暮らしのこと、去年の北海道旅行のこと... 話しは尽きない。ゆっくりと時間が流れて行く。
...ふう、酔っ払っちまったぜい。

「どうも、ごちそうさまでした」
「気をつけて旅するんだよ」
「ありがとう!」

おかみさんにお礼を言って、ホテルに戻る。毎年毎年ほんとにありがとう。また来年行くからね。どうかお元気で!
それにしても飲みすぎた。昨日は昨日でロングドライブ、あんまし寝てないし、今日は今日で遊びすぎ&飲みすぎ。こんなんで明日大丈夫なんかいな?