サイドマシン空爆道路


BLITZENで砂丘の東側へ。5分ほど走ると、目的地の直線道路が見えました。砂丘温泉の駐車場に停めて写真撮影。

ご存知、ダーク破壊部隊がサイドマシンを空爆した直線道路。バイクスタントの室町健三さんが、あまりの爆風に左手を挙げたシーンは、ここで撮影されました。背景の山は、砂丘で紹介した駟馳山。

こんな直線道路こそ、ベタ踏みがふさわしい。BLITZENで走ってみる。

ヴオオォーーン!!

プシューーッ!

ほう、レッドゾーンの7000回転まで、楽に吹けるね。ブースト計は1.0kgf(kilogram-force:重量キログラム)を指している。

アイドリング中のブースト計。ブースト計は、単なる飾りではない。ターボ車の必須アイテム。

 

ここでターボとインタークーラーについて、説明しましょう。ミツ子さんがロボット工学を勉強しているように、私も自動車工学を勉強しています。

当たり前の話ですが、車のエンジンは、空気を吸い込んで(吸気)、そこにガソリンをスプレーのように噴射、混合気を作り(インジェクション方式)、エンジン内のシリンダに送り込みます。そして混合気をピストンで圧縮/点火/爆発させ、駆動力を得ます。爆発させた混合気は、排気ガスとして排出します(排気)。

これがBLITZENの心臓部(良心回路はオプションです)。
水平対向ボクサーエンジンは、インテークマニホールドの下に隠れて見えない。水平対向とは、ボクシングの打ち合いように、ピストンが水平に動く。
このため、エンジンマウントを低くする(= 重心を低くする)ことができる。

 

ところで、吸い込む空気は1気圧、すなわち1,000ヘクトパスカル。これより高い1020ヘクトパスカルを「高気圧」、低い980ヘクトパスカルを「低気圧」と、天気予想屋気象予報士は呼んでます。
ターボとは、排気ガスの流れを利用してタービン(過給機)を回し、より多くの空気(酸素)をエンジンに送り込む仕組みのことです。タービンとは、2枚羽の扇風機と思ってください。2枚の羽はシャフトで繋がってて、一枚が排気側、もう一枚が吸気側に組み込まれてます。

排気ガスの流量に比例して、扇風機の回転数は上がります。同時に吸気圧(加給圧)、つまり吸い込む酸素量も多くなる。より多くの酸素をエンジンに送り込むことで、より多くの爆発力を得て、パワーアップするのがターボ車です。この加給圧を示すのがブースト計。ブースト圧1.0kgfの場合、通常の1気圧プラスもう1気圧、2気圧分の空気を吸い込んでいることを示します。単純計算で、通常の2倍の酸素を取り込むことになります。

但し、ブースト圧を上げすぎると、エンジンが壊れてしまう。このため、吸気量を逃がす抑止弁が取り付けられてます。
逆にブースト圧がかからないと、吸気系の異常やタービンの故障などが疑われる。このためターボ車は、常にブースト圧を管理する必要があるわけです。

しかしながら、ターボ車には2つの欠点がある。

欠点その1:ターボラグ

タービンは、一定の排気ガス流量(= 一定のエンジン回転数)が無いと回りません。従って、アクセルを踏み込んでも、すぐには加速しない。ところが一定のエンジン回転数を上回ると、急激に加速します。昔はこれを「どっかんターボ」と呼んでました。だから、ターボの特性を知らずにアクセルを踏み込むと、大変なことになります。現行車は、急激な加速がかからないよう、コンピュータ制御されてます。

欠点その2:熱膨張

タービンは排気ガスで回します。排気ガスは爆発後の空気ですから高温。従って、同軸シャフトで回す吸気温度も高温になります。これはマズイ!
せっかく吸い込んだ空気が熱膨張してしまいます。空気が膨張すると、酸素量も減ってしまう。そこで考え出されたのがインタークーラー。吸気口とは別に、もう一つの吸気口を設け、その空気で吸い込んだ空気温度を下げてやる。これが空冷式インタークーラーです。

直線道路を走って到着したのが駟馳山のふもと、岩戸海岸。

堆積岩が斜めに隆起してますね。この辺は「山陰海岸ジオパーク」に認定されてます。
昔、日本列島は、大陸の一部でした。そこに海嶺(かいれい)が現れ、大きな湖ができました。この湖が日本海となり、日本列島が「島」になったわけです。
この痕跡が、山陰海岸には数多く残されています。堆積岩とは、水中に様々なものが沈澱して岩になったもの。つまりここは昔、海(湖)の底だったんです。
それが海嶺活動によって、斜めに隆起しました(堆積岩は沈殿物で形成されるから、水平に地層が形成される)。

この岩戸海岸から砂丘を見ると、こんな風に見える。


 
 

サイドマシン空爆道路はこの海岸線。右の建物が砂丘温泉。

 

それでは、砂丘温泉に浸かりましょうかね。

ここが砂丘温泉ふれあい会館。

 

今日はホント汗かいた。入念に体を洗ってから、温泉にザブーン!

うひゃあ、気持ちいい!!

温泉からの眺めも抜群!
なんたって、サイドマシン空爆道路を見ながら、温泉に浸かってるんだからねえ。写真を撮りたいが、温泉にスマホを持ち込むと、「ウホッ!」な男と勘違いされる恐れがある。

「すいません、ここに前の道路が見える場所が、他にないですか?」
「隣りの温水プールから見えますよ」

聞いてみるもんね!

関係者から話を聞いて、隣の温水プールへ。

「すいません、ここから前の道路を撮影したいんですけど、お願いできますか?」
「構いませんよ、二階にどうぞ」

言ってみるもんね!

「ありがとうございます!」

そこで撮った写真がこれ。

この風景を眺めながら、温泉に浸かってました。詳細は、砂丘温泉ふれあい会館のHPをご参照ください。

最後に、温水プールの係員にお礼。

「どうも、ありがとうございました。ところで一つ、伺いたいことがあるんですが」
「何でしょう?」
「私のように、ここに写真を撮りに来た人はいませんか?」
「いえ、全然」
「そうですか… 実は前の道路、昔のテレビドラマで撮影された場所でしてねえ」
「そうなんですか…」
「道路わきに爆薬を仕掛けて、大爆発させたシーンが、ここで撮影されたんですけど、ご存知?」
「いや、全然」

やっぱ、通じんわな〜 (^^;

この温泉、キカイダーとタイアップした方が良いと思ふ今日この頃でありんす。