7日目(12月15日(金))

トランツ・アルパイン列車の旅(クライストチャーチ ⇔ グレイマウス)

今日は、トランツ・アルパイン列車で、一日かけて西海岸グレイマウスまでの往復の旅だ。
当初の計画にはなかったが、3日目のレインガ岬行きで距離を稼ぎ、
一日余裕ができたため実現した。ラッキー!!。
でも、お天気は曇りで今にも雨が降りそう。

朝8時15分発の列車に乗るため、少し早めにロビーに下りてタクシーを待つ。
とその時、後姿がある人にとても似ている人が立っている。
もしや・・・と思い横顔をみると、まさにその人であった。
なんと、高校の先輩で、大学の先輩でもあるS氏だ。
本当にびっくり、なんという奇遇。
先輩もご夫婦でパックのツアーに参加しており、まもなくバスで次の目的地に出発とのこと。
挨拶と短い会話を交わしただけで別れ、それぞれの旅に出発。
南半球の果てのニュージーランドで、しかもホテルで遭遇するなんて・・・。
地球は本当に狭い、It's a small world!と家内共々実感する。

クライストチャーチ駅はそれほど大きくなく、既に大勢の観光客が乗車を待っている。
指定された列車に乗り込むと席は二人掛け。
向いにテーブルを挟んで一人掛けの席がある。
向かいの席にはコートがあるが人はいない。
しばらくして女性が戻ってくる。行きの相席となったブラジル人の女性、名前をマルーという。
実名を教えてもらったがとても長くて覚えられない。

お互いあまり流暢でない英語で会話をする。
南米人特有の明るさがあり、大変楽しい会話になった。
ご主人を亡くし、悲しい思いに沈んでいたがようやく立ち直り、28日間の休暇で旅行中。
1月1日にシドニーからブラジルに帰る、長い旅行をしていると言う。

私たちの客車には、日本人と中国人の団体客が多い。
列車は、しばらくの間は平地をひたすら走る。線路の両側は見事に整備された牧場が続く。
やがて、列車は山間部へと入っていく。
この列車には、窓のない展望車があり、座席との間を自由に行き来でき、写真も撮れる。
窓の外に広がる景色は雄大で、素晴らしい。
トンネルも諸所にあるので、そのときは要注意だ。
ディーゼルなので煙がすごい、ススで充満するからだ。

列車は山々を縫い、峡谷を渡り、川沿いを、そして平原を走り、雄大な景色に飽きることはない。
紫色やピンクのルピナスの群生、黄色の花々が咲き乱れているのも見える。
Tシャツ姿の男性がこの素晴らしい景色をカメラに収めようとしている。
風がもろに当たり、気温も低くかなり寒い。
私たちは冬のコートを着込んでの撮影だが・・・。彼は寒くはないのだろうか?
 近づいてよく見ると鳥肌が・・・。本当は、やっぱり寒いんだ。

列車は、やがて名所のひとつ、アーサー峠(Arther's Pass)に到着、ここでしばらくの停車。
この間、乗客たちは列車を降りて思い思いに写真を撮る。
団体旅行の人たちは、ここでバスに乗り換え別行動。
私たちの客車は、ガラガラになる。

その代わりに、ここで一人の若い女性が乗ってくる。お互い自己紹介をする。
彼女はイギリスから来たという。名前はシャーロット。一人旅をしているとのこと。
マルーと同じバックパッカーらしい。「ロード・オブ・ザ・リング」の話題になる。
私たちは、映画を見ていない。ニュージーランドがロケ地とのこと。
シャーロットは、そのロケ地のガイドブックを持っていた。
クライストチャーチで買ったという。私たちもぜひ手に入れたいと思う。

シャーロットがリンゴを取り出しかじり始める。私たちの朝食は、クッキーとココアだけ。
お腹が何かを求めている。グレイマウスまであと45分、そこで昼食だ。

ようやくグレイマウスに到着。折り返し列車の出発まであまり時間がない。
近くのサブウェイでサンドイッチと飲み物で慌しく済ます。

帰りも同じ席、マルーは別の客車、私たち二人の貸切列車となる。
帰りは往路と全く同じ経路の逆コース。撮り損ねた景色をカメラに収めながら帰る。
午後6時半ごろクライストチャーチに到着。
途中で再び一緒になったマルーと別れ、タクシーでホテルへ。

夕食は、昨日予約してもらったホテル・ジョージのレストラン、
「ペスカトーレ」で、クレイ・フィッシュ(伊勢えび)・ディナー。
ウェイターは背が高くスマートで、サービスが徹底している。
ワインとともに素晴らしいディナーだ。
レストランは上品で雰囲気も良く、とても気持ちの良い優雅なひとときを楽しむ。
ワインが気に入ったので銘柄を教えてもらう。帰国時にはこれをぜひゲットしたいと思う。

同じホテルでの二泊の宿泊は、これまでの旅の疲れをだいぶ癒してくれた。
南島最後の21日の宿泊もここに予約する。



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