ぎょしゃ座


エリクトニオスは、鍛冶の神へパイストスと大地の女神ガイアの間に生まれた子供です。ガイアは、この赤ちゃんを、月と狩猟の女神のアテナに、育てるようにとあずけました。
アテナは、エリクトニオスを、アテネの王様ケクロポスの三人の娘に、ちょっと出かけている間に、あずけました。エリクトニオスを、丈夫な籠に入れて、しっかりと蓋をして、絶対に開けないようにと念を押して、アテネは、出かけました。
しかし、三人の娘は、籠の中の赤ちゃんが気になってしょうがありません。しっかり者の一番姉のパンドロソスがいない隙に、下の妹二人は、とうとう籠を開けてしまいました。そして、籠の中をみるなり、妹二人は、叫び声を上げてそのまま気を失ってしまいました。
籠の中には、赤ちゃんがいたのですが、その足元には、恐ろしい蛇がいて、蓋を開けるなり、鎌首をもたげたのです。この蛇は、アテナが赤ちゃんを守るために入れておいたのでした。
二人の妹は、それっきり、気が触れてしまいました。

アテナは、エリクトニオスを、自分の神殿で育てました。そして、若く育った彼を、アテネの王にしました。
彼は、父親のヘパイストスと同様に、足が不自由でした。しかし、大変な学問好きで、いろいろと研究を重ねて、外を自由に走り回れるように、二輪車を作り上げました。
アテネは、野生のすばらしい馬を、その二輪車用に捕まえました。そして、4頭を二輪車につけられました。立派な二輪馬車になったのです。
エリクトニオスは、その後、アテネの王として、アテネを栄えさせるために立派な仕事をして、国民誰からも尊敬されるようになりました。
大神ゼウスは、立派な二輪車を考案したエリクトニオスを、ぎょしゃ座という星座にしました。



おうし座の北に、一等星など五つの星が、大きな五角形を描いているのが、ぎょしゃ座です。





Minomushi
2000.4.23

MIDI提供
Nobuo Takenaka