ふたご座


スパルタ王お妃にレダという方がいました。
ある夜、レダのところに、大神ゼウスが白鳥の姿をして現れました。それから、間も無くして、レダは一つの卵を産みました。そして、その卵からは、双子の兄弟が生まれました。
彼らは、それぞれ、カストルとポリデゥケスと名づけられました。顔が瓜二つで、二人とも、明るく親切で、仲良く育っていきましたが、たった一つ、大きな違いがありました。それは、カストールは普通の人間で、ポリデゥケスは、ゼウスの血を受け継ぎ、神のように不死身であることです。

彼らの従兄弟に、リュンケウスとイダスという兄弟がいました。4人は大変仲良しでした。
4人で力を合わせて、森で牛の群れを捕まえたときのことです。
牛の分け方を、イダスが提案しました。牛一頭の早食い競争で、一番早いものが半分、二等があとの半分、ということでした。みんな承知しました。
そして、早食い競争を始めたのですが、提案をしたイダスは、実はすごい胃袋の持ち主で、あっという間に自分の分を平らげ、次に兄弟の分を平らげてしまいました。従って、牛全部がイダス兄弟の物になってしまいました。
カストール兄弟は憤慨しました。自分の有利な方法で、分け方を提案したのは、公平で無いということでした。
それ以来、彼ら兄弟どおしは、仲が悪くなりました。そして、血なまぐさい戦いが始まりました。
イダスが槍を投げて、カストールを殺しました。敵討ちで、ポリデゥケスが槍でリュンケスを殺しました。さらに、イダスが大きな岩をポリデゥケスに投げつけようとした時、ゼウスが雷を投げつけて、イダスを殺しました。
ポリデゥケスは、父であるゼウスに、兄のカストールを生き返らせてくれるように祈りました。しかし、カストールは人間だから生き返らせないという答えでした。
しかし、ポリデゥケスが、ゼウスのもとに来るのなら、一日おきに冥界の兄の所に行かせてやると言われました。ポリデゥケスは、喜んで承諾しました。
後に、ゼウスは、二人の仲のよさに感心して、空にあげて、ふたご座にしてあげました。



二つ並んだ明るい星のうち、少し暗いほうが兄のカストール、明るい方がポリデゥケスです。
オリオン座の左上に位置します。





Minomushi
2000.4.9

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Taishirou futsuno