バイケイソウ花成個体数調査の報告を諸般の事情で2017年度分以降怠っていました。これまで、①2013年に旭川、野幌、箱根で一斉開花があった、②2017年に礼文と箱根で花成個体数が多かったことを報告しましたが、ここでは2018年から2021年までの4年間の各調査地での花成個体数定点観察の結果をまとめて報告します。
1. 礼文島(草原バイケイソウ)
2018年は花成個体数が少なかったが、2019年は大きく増加、2020年は非常に少なく、2021年はやや少ない。
2. 旭川(林床バイケイソウ)
2018年以降、調査地での花成個体数は5個体以下、2021年は花成個体なし。
3. 野幌(林床バイケイソウ)
2018年、2019年と花成個体数は連続して減少したが、2020年は増加、しかし2021年は花成個体なし。
4. 箱根(林床バイケイソウ)
2018年、2019年と花成個体数が連続して減少したが、2020年は大幅に増加、2021年は2017年と同程度であった。
5.兜沼(林床コバイケイソウ)
2018年の花成個体は極僅かであったが、2019年は非常に多くの個体が花成した。2020年、2021年の花成個体数は再び非常に少なくなった。
ということで、何れの調査地においても2018年は前年と比較して花成個体数が減少しましたが、その後の花成個体数の増減は各調査地で異なり、同調性は見られませんでした。
一方で、2021年の北海道の花成個体数は全道的に少ないと感じました。野幌、旭川の調査群生地では花成個体が見られませんでしたし、札幌周辺の群生地においても花成個体は殆ど無かったのではないかと思われます。ちなみに、北大植物園に植栽されているバイケイソウの花成個体はなく、毎年5株ほど花成していたシュロソウも花成していませんでした。
2019年から新たに道北のオホーツク海に面するベニヤ原生花園での定点観察を始めました。ベニヤでは2020年に非常に多くの花成個体数が見られましたが、2021年は大きく減少しました。礼文島とベニヤ原生花園はどちらも草原のバイケイソウではありますが、礼文島では2019年の花成個体数が2020年よりも多く、ベニヤでは2020年が2019年よりも多くなっていました。
2016年から始めたサロベツ兜沼の林床に生えるコバイケイソウ花成個体数調査では、2019年に非常に多くの花成個体があったのですが、2020年、2021年は大きく個体数が減少しました。サロベツ湿原センターの木道から見られるコバイケイソウの花成個体も2021年は少ないように感じられました。よって、コバイケイソウもバイケイソウと同じように一斉開花年があり、2021年は花成個体数が少ない傾向にあったようです。
箱根の調査地は、神山周辺の登山道が立入禁止となったため、以前の定点観察地を放棄して2016年から観察を始めましたが、2020年の花成個体が非常に多かったことから、この年は一斉開花年であったと思われます。よって、2021年は花成個体数が大きく減少するのではないかと想像していたのですが、2017年と同程度の花成個体がありました。
Posted 20 September 2021
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