あなたがこれまでの人生で、一番苦労したことは何ですか?
受験?就職?仕事?....あ、「人間関係」ってのは無しね。人間関係を抜きにして、苦労は語れないから。例えば受験の場合、他人より相対的に記憶力が優ってるかどうかを競うし、就職は人事の人に自分を認めてもらえるようにアピールするでしょ?つまり、どんな悩みでも、根底にあるのは人間関係なんですねえ。
女性の場合は、恋愛、結婚、あるいは出産なんてのが一番の苦労かもしれませんね。前置きが長くなりましたが、あっくんがこれまでの人生で一番苦労したのは、
「ごめんくださーい!」
「何?」
出てきたのが、見るからに気持ちの悪いヒゲぼうぼうの覇気の無いお兄さん(爆)。食事中だったらしく、くちゃくちゃ口を動かしながら玄関に出てきた。いや、せっかくスカちんを置かせて下さるのだから、ここは精一杯の作り笑顔(^^;
「今度車を置かせて頂くことになったKAZと申します。ほんとにどうもありがとうございます」
「はあ?」
「これ、つまらないものですが」
見るからに気持ちの悪いヒゲぼうぼうの覇気の無いお兄さんに、お土産を渡す。
「はあ」
「本当に助かります。これからどうぞよろしくお願い致します」
「はあ」
「先ほど駐車を許可した者なのですが...」
...そうか、あっくんのアパートの大家さんは、このおばちゃんと折衝してたのか。
「ああどうも、この度は真にありがとうございます」
「それなんですが、うちの息子が(駐車を)嫌がりまして」
!!さっきの見るからに気持ちの悪いヒゲぼうぼうの覇気の無いお兄さんは、息子さんだったのか。
「申し訳ないですが、早急に出て行ってもらえますか?」
...どうやら、見るからに気持ちの悪いヒゲぼうぼうの覇気の無いお兄さんと、今までケンカしてたみたいだな。
「わかりました。これから駐車場を探しますので一週間だけ置かせて頂けませんか?」
「息子には逆らえませんので、早く出て行ってください」
こうして、見るからに気持ちの悪いヒゲぼうぼうの覇気の無いお兄さんのご意向で、わずか3日でスカちんは追い出されました。
(1)電車でN町へ
(2)スカちんで買い物して自宅へ
(3)スカちんをN町の駐車場に置く
(4)N町から電車で帰宅
こんな笑っちまうような毎日が一年近く続いた。そうそう、車を遠くに置いとくと、不思議と調子が悪くなるね。フューエルポンプが死んだのもこの時期。錆の進行も早かった。当時スカちんは、新車を買わせたくて仕方のないディーラーに車検を任せていた。そのディーラーでハイテンションコードの順番「1、5、3、6、2、4」を「1、5、3、6、4、2」に間違えられたのもこの頃だった。
「近所のお宅が車を置いてもいいって言ってますよ」
「ほんとですか!?」
あっくんの日常を見かねて、大家さんが探してくださったらしい。今度の駐車場はアパートから徒歩一分、一戸建ての車庫。しかも屋根付き!そこは老夫婦が暮らしている家だった。お年よりの二人暮しなので、車を置いとくと若い人が住んでいると思われるため、心強いとのこと。
「実は息子が帰ってきてくれまして、今度二世帯住宅に立て替えることになったんですよ」
「ええ〜っ!? そっ、それはおめでとうございます」
「今までこの車のおかげで、ほんと心強かったですよ」
「はあ、それはよかったです」(^^;
顔で笑って心で泣くあっくん(>_<)。スカちん、もうニラミを効かせる必要はないぞ。出て行ってくれってよ。早速駐車場探し。時は1990年代前半。やっとこさバブルも弾けてくれて、近所の駐車場にも空きが少し出てきていた。
今度の駐車場はアパートから徒歩5分、住宅地にぽつんとある空き地。なんかここ、すぐに家が建ちそうだなあ。まあ、しばらくはここに停めとくか。
「もしもし、KAZさん?」
「はい」
「私、○○と言いますけど、駐車場あなたの順番が回ってきましたよ」
「えっ?」
「あなた、うちの駐車場の順番待ちに登録してたでしょ?」
「それで、駐車料金はおいくらでしょう?」
「月10.000円ですよ」
ラッキー!今の駐車場代と変わらない。場所的にもほとんど同じ。しかも○○さんの駐車場はアスファルト!
「お願いします!スカち...いや、車を置かせて下さい」
ここの駐車場が、今までで一番長かったかな。4年ちょっと置いてたはず。
「もしもし、KAZさん?駐車場の○○ですけど」
「ああ、こんにちは」
「今月は契約更新なんですけど、2.000円アップします」
「ええっ、前も上がったじゃないですか?」
初めて○○駐車場に入れたときが10.000円。それから更新の度に2.000円ずつアップして、14.000円になっていた。それが今度16.000円になる!どうやらこの時、あっくんが住んでる街の大地主連中が結託して、駐車料金の価格協定が結ばれたようだ。近くには大きな公団住宅があるから、駐車場がガラガラになることはない。そこで地主連合が、
「あの駐車場、新婚の息子夫婦に家を建ててやるから出て行ってください」
「ここの駐車場、家が建つなんてことないでしょうねえ?」
「ははっ、ご心配なく。地主さんは、あの土地には何の興味もないようですから」
「息子に家を新築してやるから、出て行ってください」
疲れるなや... しゃーない、早速駐車場探し。日当たりの悪い6代目の駐車場近くに、1つだけ空きがあるとのこと。速攻で契約。敷金やら仲介料やらで思わぬ出費。不動産屋の話では、あっくんの地元の大きな駐車場が、近日中に1つ潰れるらしい。これからますます駐車場事情が悪化するなあ。
整理してみると、あっくんが自ら駐車場を動いたのは3回。それぞれの理由は、
・駐車場まで電車で行くくらい遠かったため
・アスファルトの駐車場が見つかったため
・駐車場代が高かったため
追い出されたのが4回。それぞれの理由は、
・息子が嫌がったため
・息子と同居するため
・息子に家を建ててやるため
・同じく息子に新しい家を建ててやるため