錦眼鏡余話7:No271
御岳岩石園:その1 

金曜日、抜けるような青空に誘われて、
御岳の岩石園へ出かけた。
昨年、苔の写真を撮ったのに、
ややピントが甘かったので再度挑戦した。
 
JR御嶽駅までの乗換え駅でも、
さして待つこともなく到着した。
JRの駅から滝本駅(ケーブル下)まではバスだ。
列をつくって、しばらく待つとバスが来た。
乗り込んだ人のほとんどがお年寄りだった。
 

バスの終点で降りてからケーブルの乗り場までは、きついな登り道。
100mもない登り道だが、悲しいかな「ハアハアゼーゼー」しながら
登った。
喘いで登っている人は、私以外いないようだった。
それとも、私などより、
ずっと遅れて喘ぎながら登ってきた人がいたのかは
分からない。
ただ、この1年間で体力が落ちた自分を実感したことだけは確かだ。
 

昨年11月、
友人と紅葉を撮りに御岳の岩石園へ出かけた。
ちょうど紅葉の盛りだった。
天気も良く、どこへ行っても、人がたくさんいた。
けれど、歩き疲れた記憶はなかった。
 

 
ケーブルの改札が始まるまで、少し時間があった。
土産物屋の中を覗いたりして過ごしていると、
「クマの目撃情報」というお知らせ記事が目に留まった。
出没したのは、大岳山近くかな。。。と思いつつ読むと、
「9月9日午後2時半ごろ、
ケーブル滝本駅から御岳ビジターセンターの登山道で
ツキノワグマの親子が目撃された」
 

ケーブルを降りて、しばらく歩くと御岳ビジターセンターがある。
御岳ビジターセンターの横を通りながら、
この下あたりの登山道をクマが歩いていたと思うと早足になった。
道は再び急坂になって、そのまま、御岳神社前のお土産屋街に
なった。
6軒ほどのお土産屋が軒を連ねている。
急坂を登ってきて疲れているので、甘いものが欲しくなった。
2軒目のお土産屋さんに入って、女将さんに
「チョコレートか飴玉がありませんか。」
尋ねると、
「ごめんなさい、置いていません。」
と言いながら、
私の手のひらに試食用の小さく切ったものを載せてくれた。
「ありがとう、これを食べて頑張って登ってきます。」
 

御岳神社の左脇の道を通り、長尾平方面へと歩いた。
長尾平の茶店を過ぎると、山道はわずかな下り道になる。
300m程歩くと、左側に岩石園入り口の標識があった。
 
往復で、120分コースと表示されている。
坂を下りると、岩石園への小路が続く。
道幅がぐんと狭くなった。
木の根が出ていたり、石の角が頭を出したり、
浅い溝があった
するので、急がずに歩いた。
左側は谷になっている。
右側は登り斜面になっている。
 

「クマが現れるとすると、右側からかな」
小路の前後に人の影がない。
ゆっくりした足取りは、いつの間にか急ぎ足になっていた。
 

前方に大きな岩がひとつ。
これが「天狗岩」のようだ。
周りに3つのグループが休憩をしていた。
いずれも、若い女性達だった。
 

天狗岩の左側にロックガーデンへの小路が続く。
2mほどの石の急階段があったので、
1段ずつ慎重に降りた。
 

さらに、小路を歩くと、小路が
湿り気を含んできた。
瀬音が聞こえてきた。
いよいよ岩石園だなと思った。
苔むした平らな石を幾つか渡って岩石園に入った。