錦眼鏡余話7:No272
御岳岩石園:その2 

昨年、苔の胞子嚢を撮った大きな岩には、
今年は残念ながら胞子嚢はほとんど見られなかった。
 

昨年は11月頃に来た記憶がある。
時期が違っているので、
胞子嚢は、
ないのではないかとも思った。
そこで、流れの近くの岩を中心に探すことにした。
 

胞子嚢は、すぐに見つかった。
さっそく、腰を据えて撮影にかかった。
絞り込むと、背景がうるさくなり、
胞子嚢という小さくて地味な被写体が目立たなくなってしまう。
 

ここは被写界深度を浅くして、
幾つかの胞子嚢にピントが合う状況で撮影した。
撮影をしていると、
これって、本当に胞子嚢なのかと言う疑問が
湧いてきた。
家に帰ったら、何という名前のコケの胞子嚢かを
調べる必要があるなと思った。
 

 

撮影を終えて、岩石園を縦断しながら。。。
体力がこの1年近くで随分衰えているいることを実感した。
岩石園は、最後急な登り坂になっている。
 

喘ぎながら、ようやく登り切りました。
大きな山道へ出ました。
この道を左へ行くと、大岳山方面へ行く。
私は帰るために右へ進んだ。
 

すれ違う人もなく、静かな山道だ。
頭の中に、「クマの目撃情報」のことが浮かんできた。
自然と早足になった。
 

クマに出会ったら、どうしようかと考えた。
きょろきょろしながら、
振りまわすに手ごろな枝でも、落ちてないかと探した。
でも、そんなものを持つと、
かえってクマを刺激することになるなと考えた。
 

ようやく、長尾平までたどり着いた。
行くときは閉まっていたお店が開いていた。
縁台に数人の人が腰かけて、お昼を食べていた。
時計を見ると、1時半を過ぎていた。
私は、往きに「甘いお菓子をもらった土産物屋」で、
お昼を食べていこうと決めていた。
 

土産物街で、往きのお店に入ると、
お客は一人だった。
私は一番奥の見晴らしの良い場所を選んで座った。
若い女の子が注文を取りに来た。
若い女の子に尋ねた。
「午前中の11時頃、この場所を通ったとき、
眼鏡をかけた女将さんらしい人が店に出ていたけど。。。」
「母です。」
と言って、注文を厨房へ知らせに行った。
しばらくしてから、
「あらっ、寄ってくれたのね。」
という声に振り向くと、女将さんが立っていた。
 

食事が終わってから、女将さんと雑談をした。
最近、外国の方のハイカーが多くなっているということ。
最近、クマの目撃情報が多いこと。
来年のレンゲショウマの時期に会えるといい。
 

 
土産物屋から出て、
ケーブルの駅へ向かった。
途中、秋海棠(シュウカイドウ)を撮影した。
 

 

御嶽駅に座り、電車を待つ間、あれこれ考えた。
 
 
力の衰えを感じさせた岩石園だった。
日々の生活で、今までのようにのんびり過ごすと、
体力の衰えは加速度的に落ち込むだろう。
危機感を持たねばならない。
 

健康年齢を保つには、
それ相当の努力が必要なんだと痛感した一日だった。