錦眼鏡余話7:No258
北陸縦断:その3 

私が「本家上時国家」(ほんけ かみとき くにけ)で注目したのは、
伝統的に
受け継がれてきた
昔ながらの台所と
農機具、
それに
玄関及びその横にある格子戸です。
農作業をするときは、
玄関横のこの格子戸を開け、土間で様々な作業を行ったのだろうか。
 

格子戸は、表の暑い日射しを遮ってくれるので、
家の中は涼しく感じられました。
昔の人の知恵を感じました。
 
(「本家上時国家」の玄関の格子戸)
 

(「本家上時国家」の台所)
 

(「本家上時国家」の農機具類)
 

「本家上時国家」をあとにして、バスは海岸線を走り始めました。
次の観光地は、揚げ浜塩田(昔ながらの塩田)です。
塩田は、観光開発のためにつくられた場所のようです。
 

2か所あった塩田の片方を見ている間、
最初におとずれた塩田で、実演があったようです。
海から汲み上げた海水を、長年その仕事に従事してきた人の実演を
是非とも写真に撮りたいものだと考えていました。
いわゆるプロの技だからです。
 

ツアー客の中には、実演を見てきた人もいました。
それを聞いて、私は失敗したなあと思いました。
 

私が塩田の実演がどこで行われるのかを、
係の人に尋ねようとする前に、
揚げ浜の塩田を説明する係員につかまり、
ビデオ室のような場所へ無理やり連れ込まれました。
思い切って部屋の外へ逃げ出そうかとも思いましたが
諦めました。
 

海から汲み上げた塩水を、塩田の砂に振りまくところを
写真におさめることを楽しみしてきたのに。。。まことに残念!
 

(実演をする塩田:塩水を砂の上に均等に撒くには技術が必要のようです)
 

バスは再び海岸線を走りました。
能登半島の先端を回り、
「青の洞窟」と「空中展望台」、「見附島」を観光しました。
「青の洞窟」は、海岸線まで降りなくはなりません。
疲れた体に鞭を打って、
海岸線まで降りても、
「青の洞窟」のコバルトブルーの波の
写真が撮れるわけではありません。
つまらない洞窟の写真が撮れる確率が高いのです。
 

私が洞窟前に降りたとき、
ひとりの観光客が誇らしげに
自分のカメラの液晶モニターを私に見せながら
「こういうふうに撮れるんだよ」
と言うので、さっそくカメラを用意しました。
 

ところが何の変哲もない洞窟の写真しか撮れません。
 

さっきの観光客が、
「撮る場所を少しずつ変えて撮るのがコツだよ
と教えてくれました。
20枚以上、撮った写真はみな黒々とした洞窟写真ばかりでした。
絞りやiso感度などを尋ねようとしたけれど、
その観光客はもういませんでした。
 

ようやく撮れたのが下の写真です。
 

 

帰りに「空中展望台」から
「能登瓦」の美しい家並みを写真におさめました。
家々は、それぞれ民宿や旅館を経営しているようです。
 

 

能登瓦は、陽の光に反射して艶やかに光る黒い瓦です。
一見、濡れているような光沢を放つ瓦は、
昔から能登の民家で使わてきたそうです。
 

ガイドさんの説明によると、
「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらい、
能登は雨の多いところだそうです。
冬は湿気を含んだ重たい雪がたくさん降るそうです。
そんな厳しい気象条件でも、家屋を雨雪から守るのは、
この耐久性に優れた「能登瓦」なんだそうです。
 

能登瓦は、高温で焼くだけでなく、
表面だけでなく裏面にも釉薬をかけて、
全体をガラス質のコーティングで覆うそうです。
こうすることで、表面がなめらかなために、
雪が滑り落ちやすくなるそうです。
 

耐久性に優れた「能登瓦」は、能登の人達の生活へのこだわりを感じました。