錦眼鏡余話6:No214
水が飲みたい:その1 

残暑が終わったころ、
我が家のミーヤ(老猫)の様子が変わりました。
10月10日の誕生日が来ると、満21歳になります。

(若かりし頃のミーヤ:おとなしい静かな猫でした)

 
急に元気がなくなりました。
1回に食べる食事の量も少なくなりました。
 
1年ほど前から、妻に
「ミーヤは耳が聞こえていないようよ」
と言われていました。
そう言えば、呼んでも振り向かないし、物音にも驚きません。
水が欲しいとか、トイレに行きたいとかは
鳴いたり動作で知らせてくれました。

妻も私も、ミーになんとか元気になってもらおうと、
餌など、いろいろなものを与えました。
人間の食べ物も、欲しがるものはあげました。
鳥の皮を捨てずに甘辛煮にしたものも好物になりました。
卵の黄身の半熟、さば缶詰、チーズ、生クリーム、サバの皮などなど、
いろいろなものをたくさん食べるようになりました。
ペットフードも各種いろいろと与えました。
なかには、封を切っただけで、見向きもされないペットフードもありました。
 

10月10日の21年目の誕生日を迎えてから、
ミーもいよいよ老衰に入った
ようです。
いつも、ミーを診てもらっているI動物病院の先生は、
 
「痛みだけでもとりましょう」
と言って、注射を打ってくれたのが9月中旬のことでした。
注射のおかげで食欲はでましたが、食べる量は回復しませんでした。
それでも、一応、元気に過ごせるようになりました。
 

21歳を過ぎて22年目を迎えると、
衰えは、はっきりと目に見える形で出てきました。
(猫の21歳は、人間だと102歳に相当するそうです。
毎年4歳ずつ増えていくので、22歳は106歳です)
 

10月中旬、
食欲がないので、どこか痛いのだろうと
今1度注射をしてもらいました。
やや元気になりましたが、今度は長続きしませんでした。
 

10月29日(金)、
朝、珍しくおいしいものが食べたいとおねだりしたので、
「サンマのかば焼き」の缶詰を開けてあげました。
騒いだわりには、ひと塊の3分の1程度、食べただけでした。
 

これがミーの最後の食事でした。
 

この日の朝から、餌さに興味を失ったようです。
餌場に置いてあるカリカリやカップ式の餌に見向きもしなくなりました。
餌の匂いを嗅ぐしぐさもみせなくなりました。
 

逆に、水はよく飲みました。
お風呂場の水道の前で、
ミー専用の水色の洗面器にぬるま湯を入れてあげると、
時間をかけて水を飲みます。
ときに、あれ、まだ飲んでいるのと思うほどです。
観察していると、休み休み、飲んでいるのです。
 

トイレへ行きたいと鳴くのですが、
ミーヤ専用のベッドから1人で起き上がることが出来なくなりました。
そのサインを、我々が見逃してしまうと、
ミーヤはおもらしをしてしまいます。
 

ミーヤの嫌いなおむつをすることにしました。
 

汚れたおむつを付けていては、かわいそうです。
そのために頻繁におむつの中を見ます。
おむつをしていても、おむつの端からもれることもあります。
ペットショップに行ったら、おむつの中に敷くものが売っていました。
これは、吸収力があり、大変よく出来ていました。
 

水しか飲まなくなり4日ほど経つと、
今度は水まで受け付けなくなりました。
困って、ミーヤをI動物病院へ連れていきました。
病院で計測した結果、
2.5キロあった体重が
2キロちょっとに減りました。
I先生は、注射を打ちながらつぶやきました。
「老衰からくるものですね。」
ミーヤちゃんは、昔5キロまで太った猫でした。
 


 

昼間はうつらうつらしています。
このところ、晴天が続くので、日向でよく寝ています。
夕方近くなると、風呂場通いが始まります。
30分から1時間に1度の割で、水を飲みにお風呂場へ行きます。
よたよたよろよろと歩いていきます。
ときには、お風呂場の手前の洗面所の敷物の上で
横になって寝てしまいます。
 

見るに見かねて、
お風呂場に抱いていってあげます。
ぬるま湯をはった洗面器の前で、飲むことが出来ずにじっとしています。
そのうち、その場で寝てしまうこともあります。
諦めて、途中までもどり、洗面所で横に倒れてしまうこともあります。
I先生の話だと、「老衰による嚥下機能の衰え」だろうと。。。
 

動物病院の先生から、
こういう場合、
 
口を湿らせてあげることで多少渇きは、癒されることを
教えてもらいました。
膝に抱き、脱脂綿などをぬるま湯にひたし、
 
それでミーの口をぬぐってやります。
ごくごくと飲む動作をします。
ごくごくと飲むほど、ぬるま湯が口に入ったわけではありません。
口の渇きが少しでも癒されるならと、
ミーが要求すると、お風呂場へ行って、ぬるま湯で口を濡らしてあげました。
口をぬぐってやりながら、悲しみが込み上げてきました。
こんなにしてまで、生きなければならないのかと。。。
妻は泣き泣き、ミーヤの口を湿らせてあげていました。
 

この1週間、夜、睡眠もまともにとれず、
ミーの介護を続けてきた
妻の健康が心配になってきました。
朝5時になると、
私がミーヤを引き取って介護を代わることにしまた。