錦眼鏡余話4:No157
ツマグロヒョウモンの幼虫 

今年もまた、「ツマグロヒョウモン」が我が庭にやってきています。
 

 
(2014年)9月12日、妻が庭から私を呼んだようです。
急いでサンダルを履いて、玄関から外へ出てみると、
「毛虫がいるわよ。ほら、例のチョウの毛虫じゃない?」
と言いながら、玄関わきの草むらを棒で指しました。
 
私は妻が「例のチョウ。。。。」と言っただけで、
「ツマグロヒョウモン」の幼虫だなと思いました。
覗き込むように草むらを見ると、からだに1本、それも縦に橙色の
筋をもった幼虫が動いていました。
からだ全体に鋭い刺を持っています。
 
(2014・9・12:自宅庭)
 
蛹になる場所を探しているのでしょうか。
しきりに動き回っています。
 
「ツマグロヒョウモン」は、温かい地方のチョウで、
私達が子ども時代には東京付近では見ることが出来ませんでした。
ところが、
地球温暖化が叫ばれ出した頃から見ることが多くなりました。
 
私があきる野市で見たのは、今から8年ほど前のことでした。
多摩川の河原へ散歩に行ったとき、
見慣れないチョウがひらひらと飛んでいるので姿を追いました。
運よくカメラを持っていたので、出来るだけ近づき写真撮影に成功しました。
 
多摩川の河原で見た「ツマグロヒョウモン」のメスでした。
オスもいて、交尾したところなどを撮影できました。
ところが遠すぎて、オスの翅の模様は、よく確かめられませんでした。
 
家へ帰ってから、インターネットで調べてみました。
◇成虫(チョウ)は、雌雄で模様が違うこと
◇食草は、家庭の花壇や公園の花壇に植えられているスミレやビオラの
  仲間だということ
 
この程度の知識を頭に入れると、
「ツマグロヒョウモン」のことは、すっかり忘れて普段の生活に戻りました。
 

 
ところが、小笠原での仕事を終えて、約3年前の9月下旬に家へ
もどってきてから「ツマグロヒョウモン」を見る機会が多くなりました。
我が家の花壇の花をしきりに訪れ、
吸蜜している「ツマグロヒョウモン」のメスがいました。
マリーゴールドやキバナコスモスなどの花に長々ととまって吸蜜しています。
 
カメラと三脚を持って、庭に出て写真に撮る準備をしました。
秋の爽やかな陽ざしが大好きなようです。
我が家の庭を訪れるときは、大抵良く晴れて風のない日です。
どこかへ行ったなと思うと、また我が家の花壇で吸蜜していました。
 
 
やってくるのは雌ばかりでした。
 
ところが、とうとうオスもやってきました。
オスはメスに比べて、やや小さめでした。
見た感じは、「キタテハ」に似て地味な感じでした。
 
(2011年10月21日:自宅庭)

 
ツマグロヒョウモンの蛹を見た驚きと感動を、今もはっきり覚えています。
 
2011年10月5日のことでした。
庭仕事をしていた妻が、
「おもしろい蛹を見つけたわ」
と言いながら、根の付いた15cmほどの枯草を持ってきました。
枯草には鎧を着たようなごつい蛹が付いていました。
妻が黙って、蛹の胸部を指さしました。
妻の指の先に、全体が銀色に輝いている刺が並んでいました。
ところが腹部の刺は、からだの色と同じでした。
そのかわり、長く鋭く先が尖っていました。
 
蛹は、とても自然の造形物とは思えませんでした。
メタリックな輝きをもった刺を数えてみました。
全部で2列5段の計10個ありました。
銀色に輝く刺の上には、
メタリックな輝きをもたない長い刺が2列6段の計12個並んでいました。
 
(2011年10月5日:自宅)
 
この蛹は、10月13日に無事羽化して大空へ飛び立ちました。
きれいな翅を持ったメスでした。
 
数年越しですが、「ツマグロヒョウモン」の幼虫も見ることができました。
生きていると、不思議なことや興味の尽きないことに出会うものですね。
 
なお、「ツマグロヒョウモン」については、
「錦眼鏡余話」No1:その3・4「ツマグロヒョウモン」に出ています。
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