錦眼鏡余話2:No72
高層ビル解体:その2

皇居の西にそびえる「グランドプリンスホテル赤坂」
(地上40階、高さ139m)が昨年6月から解体工事
が始まっているそうです。
バブル景気に沸いた1982年に完成したので、
昨年築30年目に入ったために解体されたそうです。

現在、半分まで解体されていますが、取り壊しにつきものの
大きな騒音やビルの周囲を覆うシートも足場もありません。

環境に配慮した全く新しい解体工法を用いているんだそうです。
騒音や粉塵を出さずに解体し、ビルに使われている建材も
なるべく再利用できるように解体していくのだそうです。

ある意味で、画期的な解体工法と言っていいでしょう。
世界の国々へ、この解体工法を売り込むことができるのでは
ないでしょうか。

どんな解体方法なのでしょうか。
一緒にイメージしてください。

屋上から数階部分を、
T建設会社が開発した箱型の足場「テコレップ」が覆います。
簡単にいうと、ビルの屋上から数階部分に箱型の蓋を
被せるのです。
箱型の内部にはクレーンなどが備えられ、さながら天空の
解体工場となっています。

重さ1500トンの「テコレップ」は、長い仮設柱15本で支えられています。
その仮設柱は、ビル本体の床を支えに立っており、
作業階の解体が終わると、仮設柱に内蔵されたジャッキが縮むことにより
一つ下の階まで下がってきます。
こうして、地上階まで解体が終わると、
「テコレップ」自体も解体して工事が終わると言う仕組みなんだそうです。

「テコレップ」で工事現場を密閉するため、コンクリートを砕く際に出る
粉塵の量は、最大90%減らすことができるということです。
また、作業で出る音も交通騒音と大差ないレベルまでになったそうです。

1番の関心事は、コスト面です。
雨水がビル内に入らないため、断熱材などの建材のリサイクル率が
高まったそうです。
また、悪天候による工事の中断もないため、工期を短縮できるそうです。
その他、ビル内部に空けた穴からクレーンを使って地上まで解体材を
降ろす力で発電もしているそうです。
何といっても、費用面で、高さ120mを超えるビルでは、
通常の工法で解体する費用に比べて安く上がるということです。

説明してきた方法は「上部閉鎖式解体工法」と呼ばれ、
近年使われ始めたそうです。
大阪市の「旧ホテルプラザ」もこの工法で解体を進めているそうです。

建設各社とも、ビルの解体ラッシュを視野に技術開発に積極的に
取り組んでいるそうです。

次に、もう一つの解体工法を説明します。