錦眼鏡余話2:No73
高層ビル解体:その3
 
もう一つの高層ビル解体は、ユニークな技術です。
「高層ビル解体:その2」で紹介した方法とは逆で、
下の階層から上へと解体していきます。

「カットアンドダウン方式」と呼ばれ、K建設が開発しました。
東京は大手町の「りそな・マルハビル」(地上24階・
高さ108m)は、「だるま落とし」のような方法で解体が
進められています。

まず、ビルの柱を切り、
1台1500トンを持ち上げるジャッキ40本に置き換え、
このジャッキでビル全体の重さを受けます。
地上階の解体が終わったら、
コンピューターで同調させたジャッキを一斉に下げ、
1階分だけ低くします。

次に、2階部分を解体していくのですが、
100mもあるビル全体が下へ縮んでいく感じになります。
この工法の利点は、解体作業のほとんどが地上でできることです。
そのため、上から解体をしていくときのように、
重機が上下に動いたり、重機の通路をつくる必要もありません。

昨年10月末にジャッキダウンを始めた「りそな・マルハビル」は、
2月14日に工事を無事終えたそうです。
この解体方法は、工期の大幅な短縮が魅力です。
もちろん、粉塵の飛散や騒音公害なども、
大幅になくすことができたそうです。

海外では、100mを超える高層ビルの解体は、
いまだに爆薬や鉄球を使うことが多く、
リサイクルを意識した分別などあまり例がないそうです。

日本の国内の高層ビルの多くは、人口密集地区にあるため、
環境に配慮した解体方法が求められています。
また、現場周辺にほとんど空き地ないために
ビル外側に大きなクレーンを据え付けることもできません。
また、解体したビルから出てくる建材や膨大な瓦礫をどうするかは
大きな問題です。
こうした日本の事情から、新工法が開発されました。

間もなく、日本にやってくる高層ビルの解体ラッシュで
更に進んだ新工法が開発されるかもしれません。
環境に配慮するだけでなく、解体されたビルの建材や瓦礫などの
再利用化なども進むのではないでしょうか。

そして、
これは近い将来、日本が海外の国々へも
輸出技術として注目を集めそうな気がしてならないと考えるのですが。。。

<高層ビル解体:終わり>