錦眼鏡余話1:No8 
男の腕まくり:その1  

新年をどのように迎えていますか。

昨年は我が家にも不幸があり、
新年のしきたりを控えました。
暮れの年賀状書きもないため、時間的な余裕がありました。


昨年は未曽有の震災と原発事故があり、
解決には
まだまだ時間がかかりそうです。


世界に目を転じれば、
ギリシャをはじめとするユーロ圏の金融危機は、
今年が正念場になりそうです。
日本も蚊帳の外にいるわけはいきません。
いや、日本こそ、国債発行の天文学的数字を見れば、
近い将来大きな岐路に立つことは必至です。


今年も、またメール通信:「錦眼鏡余話」と「植物備忘録」
を発行していきますので、よろしくお願いいたします。


メール通信◇錦眼鏡余話◇:1−No8


<男の腕まくり>:その1

小笠原での単身赴任から帰ってきて、家でのんびりとした生活が始まりました。
早いもので、3か月が過ぎました。
そんな生活の中で、感じることは、人間って食べてばかりいるということです。

妻は、3度の食事の支度ばかりしています。
8時前には朝食を終わらせるために、
妻は朝7時ごろにはもう台所に立っています。
9時前には、朝食も終わり、ダイニングルームの掃除も終わります。
今しがた、朝食を食べ終わり食器の片づけが終わったのに
もうお昼の支度です!

こんな毎日を繰り返しているうちに、なんだか自分が無為徒食をしているようで、
妻にすまないという思いがしないでもありません。
だからと言って、抜くわけはいきません。
立派にお腹が減るからです。笑


その日の予定があると、妻も私も、支度をしてお出かけです。
二人して、何にも用事がない日が週に2〜3日あります。

妻が家にいると、
「歳をとったら、水分補給が大事」
と言いながら、10時や3時におやつになります。
今までの生活の中で、間食の習慣がない私は、
できるかけ水分補給だけにしています。
水分補給は、お茶だったりコーヒーだったりします。
妻は大きなプラスチックの入れ物から
いろいろなお菓子を持ち出してきて並べます。
目の前に、煎餅だのチョコレートだのと並べられると、
ついつい手が出てしまうものです。

今日も、午前10時、二人して、お茶を飲んでいました。

「そうそう、あなたのパリパリ餃子を食べてみたいわ。
K(下の娘)も食べてみたいと言っていたよ」
と、突然妻が話題を変えました。
「あれは、料理とは言えないなあ。。。」
「じゃあ、カボチャの煮つけは。。。小笠原でつくっていたんだって?」
「まあ、料理らしい料理と言えば、カボチャの煮つけぐらいかな。
あとは、料理とは言えないものばかりだよ」

会話が途切れた後。。。少したって、
「ちょうどカボチャがあるわよ。やってみる?」
妻にそそのかされて、台所に立つことになりました。

小笠原でやっていたように、カボチャを一口大の大きさに
切って。。。鍋の中に放り込みました。
カボチャがようやく隠れるくらいの水を入れてと。。。
ガスの火を点火し、「出汁の素」を適当に入れました。
水の色の濃さで、出汁の素の量を決めます。
煮立ってから、ガスを少し弱火にしました。

やわらかくなってきた頃に、コーヒー用のステックシュガーを2本入れました。
砂糖を入れてから長く煮ると、鍋が焦げ付きます。
ちょっと、味見をしてみると、かなりしょっ辛いです。
「おかしいなあ。。。こんなはずではないのにな。。。」
ひとりで首をかしげているところへ、妻が
「どうしたの?」
と聞いてきました。
「味がかなりしょっぱくなってしまったよ。
そんなに出汁の素を入れたはずではないんだけれど」
「どれどれ。。。」
と、妻が味見をしてみました。
「あなた、調味料、何使ったの?」
「出汁の素だよ。。。」
と言いつつ、冷蔵庫の扉のポケットから出汁の素を出すと、妻が
「それ、醤油よ!」
「わあっ、間違えたよ。。。てっきり出汁の素だと思って使っちゃった。
まずいなあ。。。どうしよう」
「後は、私がやるからいいわ。どいてくれる」

小笠原からの帰還後、
初めての「男の腕まくり」は、無残な失敗に終わりました。

男の腕まくり:その2へ続く

(2012.1.17)