は じ め に



■安全な活動のために

安全について学ぶ機会としてのアウトドア活動

アウトドア活動には、安全について学べる大きな力が備わっています。
すなわち、アウトドア活動は、
自然の繰り出すさまざまな困難を克服しまたは回避する過程を経て、
自然の大きさや奥深さに気づき、ヒトが生きる営みの根源を体感することにより、
生命・人格の尊厳を確認することを目的としています。
多くのスポーツが他の競技者と力比べをするのに対して、
アウトドア活動は自然との力比べを楽しむスポーツであると言えるでしょう。
自ら好んで不条理な自然の中に身を置こうというわけですから、
安全という性質を付帯したアウトドア活動は存在しないと言わねばなりません。
私たちが実施するアウトドア活動は、たいていは事故がなく終了しますが、
それを“安全”な活動だったというのは、
リスクが発生しなかったことを安全と誤認する誤った考えだと思います。
リスクは発生するものだということを念頭に置きつつ、
アウトドア活動を通じてリスクに対応する判断力を養うことにより、
リスクを予見してそれを回避または低減することを学び続けることが、
安全への道だと考えています。

事故の要因となるもの

アウトドア活動で事故を起こすことを望んでいる人は誰もいません。
しかし、残念なことに、時折 事故のニュース見聞きすることがあります。
この要因を整理してみると、
・指導者の能力不足・体制不足・下調べ不足・不注意・軽率
・天候や気象の変化及びこれに伴う増水・崖崩れなど
・器具・装備などの不足・不具合
・野生動物・有毒植物との接触
・不安または浮薄あるいは競争心など心理的な理由による不適当な行動
などが挙げられるようです。
事故を起こさないためには、これらの要因を取り除くことが大切です。
子ども会などがアウトドアプログラムを実施する場合の
具体的な注意事項はこちらに示していますので
ご覧になってください。

「水鳥の教え」

静かな夜明けです。
人里を遠く離れた山間に抱かれた湖でたくさんの水鳥が眠っています。
水鳥たちに差し迫ったリスクがあるわけではありませんが、
彼らは自分たちが安全でないことをよく知っています。
だからどうしているか。
水鳥の群れの中の1羽は眠らずに起きています。
あたりを注意深くうかがい、もし異変があれば大声を出して警告し、
必要ならば真っ先に飛び立って仲間を誘導します。
リスクに目覚めている1羽がいるからこそ、
そしてこの1羽が高いリスク対応能力を持っているからこそ、
この群れはリスクを乗り越えて生き延びることができるのですね。
あなたがこの1羽になってください。





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