始めまして。五行歌八王子会を世話させて頂くことになった那田尚史です。

本部の投稿用掲示板に、一日の仕事を終えて、晩酌をしながらほろ酔いで投稿するのが楽しみなのですが、草壁先生や10月のマルコ様から褒められた歌を忘れないようにここに保存しておきます。思い出しながら多分無意識に推敲しているので原作と少し違うところもあります。

一匹の蛍 藪影を光って消えた
光って消えた 光って消えた
水晶の瞳の子供たち
お前らさえも
光って消えるか
 
徹夜で
武道家たちと語り合った夜明け前
押忍! と挨拶して見上げれば
満月
酒は飲め飲め 母国のために

 
右翼も左翼も関係ない
右と左に地球を回ればどこかで一致する
細かなことを一々言うな
大同団結
それが大和魂 男の心
  
草壁先生は、私の歌を「男歌」、と言って過分にも褒めていただきます。先生は恋の歌(相聞歌というのが昔ありましたね)を詠むのがお好きで(天才だからあらゆるジャンルに大傑作があります。私は先生の枯れた歌が好きです)、恋愛歌はエネルギーが湧いてくる、と仰ってました。
 私はいま超過密スケジュールなので、恋愛する気力も軍資金も時間もなく、酒(黒糖焼酎)を飲んで喋ったり歌を詠んだりするほうがずっと楽しいし、現在進行形の恋歌は詠えませんが、昔の体験を思い出してたまにチャレンジします。

そうそう、こういうのも詠んだ記憶があります。

君の
濡れた瞳 髪を撫でる仕草 息の馨り
気持ちは全部分かっているよ
けれど膝にも触れず 開口一番
マスター このバーボンもう一丁
!!!


俺のこと たまに思い出す?
忘れたことないから 思い出さないわ
初デートで 
港が見える丘公園のベンチに座り
手も握らなかった 君と僕


母方の祖父が「万語読み」と言われた人で、青年団を創設し、助役を努めましたが、こういう歌を、ご飯に日本酒をかけて「お茶漬け」と称し、酔って作っています。五行目は覚えてないので私の創作ですが、意味と流れを考えたら、このように決める筈です。

伊予竹に
土佐紙貼りて
阿波ぐれば(扇いだら)
讃岐涼しき(これほど涼しい)
お四国の風


伊予の人間は昔は中年になると、大抵はどこかの同人になって俳句を詠んでいました。もうそういう文化は、意図的な愚民化政策により、消えましたね。だから、草壁先生の五行歌普及の意図は、歌による世直し、人づくりだと類推しています。
五行以外はルールがないので、自分のリズムで心地よく詠えます。五行歌、最高!

若者の愚民化の中
スポーツマンたちが大和魂を教えてくれる
ハンカチ王子よ 泣かせるな
赤穂浪士か 維新の志士か
枯れ庭に咲く ツワブキの花

(平成20年11月20日)

草壁先生、本歌取りごめんなさい。

最近のパソコンのサポーターは腕が落ちましたね。今日も何社かのサポーターと電話を数時間しましたが、連中が解決不可能なので、結局自己解決しました。知り合いに自作パソコン趣味の人が4人います。久々に投稿します。ああ忙しい。
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[30871] えんた 2010/11/20(Sat) 08:29:05

忙しいのは結構ですね。ツワブキはどこにもあるものなので本歌取りなどと、とんでもないです。維新の頃は三十になるかならないくらいの者が国を動かしました。
今は、私がやろうかと思うくらい。
 結局、自分でやらなくてはなりません。
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[31068] 那田尚史 2010/12/03(Fri) 20:39:57
高校時代
ノウゼンカヅラを見るたびに
心が揺れて息が止まった
赤い赤い毒の花
今宵遭う人 みな狂おしき
 
あのまま生きていたら大変でした
禅と出会い、丹田呼吸で自己治療しました 



[31070] えんた 2010/12/03(Fri) 23:49:33
すごい感受性ですね。そういう方には、禅はいいのでしょう。私などは、禅で呼吸がどうにこうのに従うと、呼吸ノイローゼになります。
 呼吸についてはいっさい考えない、と決意して直しました。いろいろな人がいるもの。双方、それぞれの道があるものと思います。
 しかし、うらやましいほど、強い感性ですね。

草壁先生、先生も相当な苦労なされましたね。呼吸ノイローゼになるから一切やめた、というのは、先生しかいえない言葉です。集中力が強すぎるのは
苦しい。力を抜いて、適当に詠み、いざというときに力を出す。その緩急が私にはまだ出来ません。先生の講評に涙です。


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ああ、忘れかけていた。こんなのも五行歌本部に投稿した。

芸術で世直し出来るほど甘くはないが
子規の子分は秋山真之
天気晴朗なれど波高し
乃木は戦下手でも漢詩は達人

萬人斉しく仰ぐ爾霊山

草壁先生が正岡子規を尊敬されています。伊予出身者としては嬉しい限り

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1296] 那田尚史 2010/12/22(Wed) 15:52:55

そ  曇  凡  さ  子
の  り  夫  れ  の
富  て  に  ど  思
士  も  は  墓  う
山  良  間  石  心
が  し  違  に  に
瓦     い  布  勝
礫  富  も  団  る
の  士  あ  は  親
塊  の  る  掛  心
   山  が  け
         ら
         れ
         ず


 先生
 奮励努力をしています。
 来週は、アッと驚く仕掛けを作りました。
   八王子のケーブルテレビも詫び来たけど、撮影放映部のヘッドが何も知らない。あきれ返りました。F値とかラチチュードの幅とか言っても分から ない。先生の名前を言っても映画の話をしても分からない。とにかく料金を払ってください、だけです。部長から3人も雁首そろえてやってきて、一番共鳴した のは20歳ぐらいの下っ端。私もバカではないので、よしよし、で返しましたが・・・



[31307] えんた 2010/12/23(Thu) 06:10:43

      とにかく、金が欲しい、のが、地方ケーブルテレビなのでしょう。地方の放送は苦しそうです。年の瀬、人はみな「金が欲しい」の色合いを露にしますね。

   富士は登れば斜めの砂漠、美しい形を構成する線もみな、拡大して見れば、でこぼこなのでしょう。しかし、美しく見えるように作られていると ころが救いなのでは? とすると、真善美はわれわれの欲にあるのか。まことに見え、善く見え、美しく見えるのは、私たちに欲があるからである。
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夜中
台所の水滴の音で
目が覚める
握力が弱った母の
命の音


Re: 無題 - かわせみ
2012/07/23 (Mon) 09:31:14
ひさしさん 

これはすばらしい作品
魂を揺さぶります。
結句にすべてが
凝縮されました。

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2013年、草壁焔太先生より年賀状に「月刊五行歌に投稿するように」とあり、それまでは本部のHPへの投稿と八王子五行歌会のネット掲示板に
作品を載せていたのですが、2013年3月号から月刊誌に投稿するようになりました。
月刊誌への投稿の前から会員から同人になり、先生におだてられ、先輩に助言されて毎月の投稿が楽しみになっています。
 尚、巻頭以外の作品は1から6の段階があり、主宰の草壁先生自ら優れた順番に掲載されます。
月刊誌への投稿は、こういう競技性の面白さや、突然誰かが自作を批評する意外性があり、非常に巧く出来ています。
優れた詩人は過去にも多く存在しましたが、組織作りから編集の仕方など全てを考案し実行した詩人は草壁先生一人だろうと思います。
前衛芸術のほうでは日本では寺山修司、海外ではフラクサスのジョージ・マチューナスなどがいますが、中心人物が消えると共に運動もバラバラに
なってしまいました。また前衛芸術そのものが一定の条件が揃わないと滅んでいく構造的弱点があります。
 その点、五行歌運動は子供から高齢者までが自由に歌える幅広い支持層があり、主催者自身が歌を詠むことで人格を磨くというか、非常に強い
ヒューマニズムの思想を持っておられ、後継者の育成にも気を配られているので延々と続いていくと確信します。また私も八王子五行歌会の代表と
して歌と共に人格を磨きこの運動の普及に役立ちたいと思っています。

 それにしても生きた手本があるというのは本当に幸せを感じます。
私は「微笑禅の会」(非宗教)という禅の一派を立ち上げています。しかし、優れた助言者はいても生きた手本がなく、
自分の心身を実験台にして処女雪の中を一歩ずつ進みながら、本物の、生きた禅の普及を目指してきました。
出家せず居士として社会の中で禅の精神を実践すると、今の日本では必然的に様々な組織的妨害に巻き込まれます。
単刀直入に言えば日本を牛耳る権力を敵に回す戦いになります。またそこまで行かないと「社会の中の生きた禅」ではありません。
このために私自身が2週間の意識不明の危篤、ほぼ危篤などで入退院を繰り返し、未だ堅牢な組織作りが出来ていません。
今後は病苦を克服し、先生の足跡を手本として微笑禅の会、世直し運動、人づくりなどの実践的方法論も学んで行こうと思っています。
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以下は、月刊『五行歌』に掲載した作品です。巻頭に選ばれた作品には☆印を付けておきます。
基本的に全部で6首掲載されていますが、気に入った作品だけを書き写します(一部添削した歌があります)

2013年3月号

夜中
台所の水滴の音で
目が覚める
握力が弱った母の
命の音

柱時計の分針が
無言で進む
瞬間を見た
生老病死の流れ
巻き返すこと叶わず

餌食べぬ猫の鳴き声
衰弱する母の寝息
キーボード叩く音
皆大きく聴こゆ
外は雪らし

1ポンから2ホンになり
3ボン4ホンへと変化する
本当にややこしい
ニッポン人の
ニホン語


2013年4月号

善も悪も
みな白骨と
なり果てて
小石混じりの
土に消え行く

固すぎると
折れ
柔らか過ぎると
曲がる
日本刀も人の心も

有り難きかな
寝物語に
父より学んだ
俳句の作法
背中の温もり

2013年5月号

勇ましや
末は切腹
と知りながら
江戸まで歩く
百五十五里

冬の夜の
遠くの火事のように
心の奥に
静かに火照るものあり
いまだ鎮火せず

花も見ず
酒も飲まねば
酔いもせず
浅き夢路に
霧雨の降る

お小遣いちょうだい
から 金よこせ
に変わった反抗期
まだまだミルクくさい
大人への第一歩

2013年6月号

破れ坐蒲(ざふ)に坐り
祈らず願わず
言葉も私も消える時
喜びの果ては
悲しさと知る

ちぎれた凧のように
飛んでいった恋心
大空を結ぶ糸
知らぬか
雀よ

月に一度は
手紙書けとの
ハガキ見つける
消印は父逝去の
一ヶ月前

枯れ木に花が咲くのなら
解けない魔法の恋をして
温泉旅館で朝まで飲んで
三千世界のカラスを殺し
君と添い寝をしてみたい

2013年7月号

ある種の才能があれば
多分誰でも悟れる
より難しいのは
上手にふんわりと
着地すること

私が死んだら
父を
思い出せない
それだけが
寂しい

因果(とき)の円運動か
昔撒いた種が
いま芽を出すように
未来の蕾が
いま開花する面白さ

特攻隊員が
肉片を飛び散らせ
守ろうとしたものは
何だろう 春去れば
見る人も無し山桜

2013年8月号

早稲田鶴巻町三畳下宿
夢ニと志ん朝と
卓球場の美少女と
みなグラスに混ぜて
雨の音を聞いている

あなたのこと
好きだけど嫌いよ
揺れる心の誠実(うぶ)らしさ
なにもかも好きは
ちょっと怖い

子供の嘘は天使のようだ
本当? と言って
じっと見つめると
目を逸らせて
必ず笑い出す

2013年9月号は夏バテのために投稿できませんでした。

注:パソコンのHPデータが外部からフォルダごと削除され長い間更新できませんでした。
新しいパソコンを買いHP作成ソフトを再インストールしたので今日(2014年12月22日)から
少しずつ採録していきます。

2013年10月号


蟻群れて
啄ばみ去れば
身も軽く
空蝉の夜に
月澄みわたる

キンモクセイの下を
白いカーディガンの
同級生の女の子が歩く姿に
ドキッとしたよ
内科医院の帰り道

私が半ズボンだった頃
突然死んだ少女へ
今度いつ逢える?
と五行歌添えて送る
宛先不明の手紙

風吹けば
ふわりと宙に
浮かぶほどの
空洞となって
蝉砕け散る

何につけ
大切なのは
隠れて吸った
初タバコの立ち眩み
のようなもの

テレビで堂々と
浮気は男の甲斐性やおまへんか
と言い放ったバタヤン
燻し銀のギターの音色を残し
春の海へ旅立つ

2013年11月号


狂人に狂人
犯罪者に犯罪者
と呼ばれる人の世に
褒められるは恥よ
蓮の花

秋の遊歩道
夏の名残りを
そのままに
口紅色のカンナ
燃えて人待つ

ファミレスで
競馬新聞と睨めっこ
羅列数字の隙間に
若者たちの悩み
忍び込む真夜中

勧誘禁止のプレート無視して
新聞勧誘員ドアホン鳴らす
嘘の報道には飽きたよ と
開いたドアから
秋風の配達

台風
低気圧高気圧
乱れた天気図の中
辛うじて見分ける
この国の形
2014年1月号
この月は草壁主宰から「作品特集」に16首提出するように言われました。
気に入った作品だけを選びます(過去の作品と重複するかもしれません)

秋雨の一粒ごとに
小さな噴水
咲いては消え
咲いては消える
見渡す限りのアスファルト

ずぶ濡れになって
歩く夜道も
また楽し
空からの手紙
万法を潤す

愛憎半ばして
もつれた糸が
ほどけない
修正液だらけの手紙
明日に持ち越す

大衆食堂で働く
絶世の美女に
息を呑み
しばし思う
芸能界という伏魔殿

餌を待つ
兄弟猫の品の良さ
名君に仕える
若侍二人
両手そろえて姿勢崩さず

初マフラー
それとなく取り出し
首に巻けば
あの夜のことなど蘇る
甘い残り香

酔い潰れ
共に眠った旅の宿
何かあった?
と君に問えば
頬赤くして微笑むばかり

私の運勢は
凍土に燃える炎とか
処女雪に
残す足跡
顧みる暇なし

2014年2月号


剣山の上を裸足で歩く
痛みに耐えて
夜の散歩
無の一文字を
杖の代わりに

ハイハイからヨチヨチになり
ゴムボールのように
弾んで走る子の姿
まばゆく映る
元旦の道

私の子供たちが
ゴムボールだった頃
このまま大きくなるな
と言って抱きしめた
仏から今何メートル?

熱に伏す
不吉な夢の
隙間から
折れた小枝に
新芽出(いず)る見る

専業農家の壊滅
勝ち組負け組み
特アとの一触即発
上を向いて歩けない
極東の冬

霙雨(みぞれあめ)の音を聞きながら
深夜パソコンを開く
革命の起きぬ国に
線香の火
一本ほどの抵抗

2014年3月号


生に気づいたときから
持続しているボク
縁に触れ消滅するオレ
万物と同根の自己
全部ひっくるめて私がいる

無限の空間の中
一粒の星の上で
瞬時に消え去る

を共有する奇跡

法華経の要は因果同時
予知夢(まさゆめ)は因果逆転
善因善果の仏説
どこに漂流(ただよ)う
フクシマの海

大人から
子供へ還る坂道は
九十九曲り言の葉を
切り分け進む
山越えの道

春駒の
競う姿の勇ましく
胸の振子も鳴り響く
跳ねろよ跳ねろ
花散らすまで
(上3首は敢えて難しい漢字を使って五行歌の掟破りを試みました)

2014年4月号


ふるさとへ帰りたい と
母がつぶやく
葛の葉のかなた
海で拾った青い目の猫
庭に眠る ふるさと

母性愛の裏側に
大きな口が開いている
子供たちよ
ママに反抗しなさい
飲み殺されないように

洗濯機の回る音
自動車の走る
人の匂いのする音
次々と胸を刺す
朝の磔

一人酒我慢して
胸に一物
背中に荷物
一歩踏み出す
残雪の峠

2014年5月号


蝶々が舞い降りて
泣いている二人を
翅(はね)でそっと
抱き寄せたまま
蝶番になったよ

掬い取れば
指から零れる清流の
残り水だけ口にして
清流の歌
もどかしさごと詠む

ちょっと動けば
隅々まで
波紋広がる
アメンボウと
水のつながり

降り積もる
雪の試練に
耐えかねて
カーポート倒れる
身代わりのように

「仕組まれた自由」
と歌った青年の悲劇
ふと胸をよぎる
早咲き桜散ったと
ヘルパーさんに教えられ

2014年6月号


今 と言ったとたん
飛び去る 今 を
虫ピンで突き刺したい
と思う 今
すでに飛び去る

私から
肩書きらしきもの
みな消して
かすかに匂う残り香を
風にまかせる葉桜の陰

標準語と南予弁(ほうげん)に
英語が少々
猫語が大体
女の甘言(うそ)がほぼ分かる
一応マルチリンガル

毎朝決まって
枕元で嘔吐する猫
台所で食器落とす母
我が家に二台ある
目覚まし時計

オムツをした
柔らかいチューブから
オムツをした
硬いチューブになって燃やされる
哺乳類ヒト科の一生
(☆の歌は巻頭の二番目に掲載されました。過去最高のランキングです。
草壁主宰から日誌で過分に褒められました。386頁)

2014年8月号



目覚めたまま
大きな死(アクメ)を
存分に味わって
世界が輝き始める
坐禅はいいなぁ

砂時計を逆さまに出来るなら
出会った頃に戻って
今度は一緒になろうね
人妻にそんなメールを送る
自分がまだ残っていた

学者になりたい
詩人になりたい
笹の葉に結んだ少年の夢
風に吹かれて
裏になったり表になったり

何となく嫌な気がして
半歩間合いを外した
その 何となく が
生死の分かれ目
言葉では伝えられない

2014年9月号


街灯の表側を通るか
裏側を通るか ほどの違いで
もう一人の私が
どこかに住んでいる気がする
水面に映る天の川

リアス式海岸の
幾つものトンネルを抜け
父母の待つ奥伊予(ふるさと)の
寂しさに逢いにいった
遠い夏休み

「痛い、と言ったら百円!」
スパルタ師範の冗談に
「痛くない!」の叫び声
傷や怪我など笑って済ます
青い畳の心地よさ

地下10メートルに埋められ
無数の蛆虫に食われて
白骨になった自分を見る
それぐらいの訓練
当たり前だった時代がある

2015年12月号


タガを外せ
底を抜け
破れ太鼓をそのままに
打たずに響く
音を聴け

運命を知りたくて
自転車のハンドルを
デタラメに切ってみた少年時代
街灯の下のカブト虫
拾いもせず

雑草という
草はない
雑木という
木はない
名付けることの尊さ

白光のまどろみから
暗闇に突き落とされ
知らない人に
シモの世話をされていた
母との初対面

埋められ
ウジに食われ
白骨になって
やっと気が付く
本当の自分の姿

2015年2月号


片づけられない症候群の
妻が出て行った
入れ替わりに認知症の
母がやってきた
女難の相

いっそ捨てようか
それとも抱きしめて
心中しようか
逢えぬ息子の
小さな空手着

耳を澄ませば
全てが詩歌
雪の降る音
湖底に響く
オルゴール

2015年6月号


遠くから見れば
丸く
近づけば
トゲだらけ
イガグリの人徳

霧雨が連れてきた
真紅のバラ一輪
唇に香り残して
消えた
あの人

窓を
開くと
春の雪
心の中まで
吹き込む

座禅とは
言葉を捨てた思考法
そんなの無理だよ
無理
無ー

親と寝て
恋人と寝て子と寝て
五十余年
雪降る夜は
猫抱き寄せて寝る

念仏は
三度口を閉じる
題目は
一度だけ
そのぶん威勢がいい

2015年7月号


このごろ巷に流行るもの
ネトウヨ ニワカ保守
安倍信者
ヘイトスピーチ
愛国ビジネス

親友を裏切り
君と密談(デート)した喫茶店
外に出ると
初雪が
燃えながら降っていた

出会いは様々
結果は一つだけ
馬鹿馬鹿しくも
涙ぐましい
恋の営み

五十九歳
自分のことを
僕と言おうか
私と言おうか
迷いながら会話している

先生
愛って何ですか
優しさと経済力かな
結局金ですね
返す言葉が無かった

2015年9月号


途中で濃くなり
必ず消える

まゆずみ
紫煙のゆくえ

手放してこそ
手に入るものがある
逃げ去るものを
なぜ君は
追いかけるのか

メールの件名に
「こではどうでしょう」
と打ってしまった
「て」が
冷や汗をかいている

片手の音を聞け?
両手なしでも
いつでも聞いてるよ
うるさくて仕方ない
耳鳴りの音

ジェフ・ベックの
ギターのように
言葉も意味もなく
ただ心が揺れる
そんな歌を詠みたい

どこまでも
どこまでも
どこまでも
どこまでも付いて行きます
安倍信者

(事情により欠号があります)

2016年3月号

☆いつまでも
探していた
私の使命
音の無い
世界
(いさわおんせん、の折句です)

歯ぎしりするほど
辛いことでも
日々の努力で
乗り越えられる
出来上がった時の喜び
(はつひので、の折句です)

一度だけの
経験でも
大丈夫
誰にでも
才能はある
(いけだだいさく、の折句です)

厳しくても
やる気がしなくても
馬鹿馬鹿しくても
苦しくても
楽になれるよ
(きゃばくら、の折句です)

泣く子も
黙る
日々の鍛錬
寒い日も
シャワーは冷水
(なだひさし、の折句です)

2016年4月号


電線から
小石数十落下して
また
舞い上がる
春の雀か

忘れようとしても
忘れられない
ものがある
浜辺で拾った
桜貝

地球が爆発しても
宇宙が消滅しても
尚、残るものあり
その名前を
言ってみよ

2016年5月号


分母が
無限に小さくなれば
答えも無限に広がる
我執の分母を消し去る
鶯の声

遠くより
君を思えば
大空に
炎のような
赤き雲立つ

2016年6月号


真っ白い
画用紙の上の
真っ赤な
南天のような
西郷星光る

給料は
自分で決める自営業
一運
二段取り
三働き

きっと
見つかるよ
ガラスのように
透き通った
君の微笑み
(きみがすき、の折句です)


泣くことはないよ
だって
血の通った親子だから
過去を思い出してごらん
楽になれるから

(なだちから、の折句です)

2016年7月号


考えない
ということも考えない
ということも
考えなくなるのが
坐禅の秘訣


飲み過ぎの


抱き寄せて
我を慰める

言葉を使うな
という言葉も使わず
という言葉も使わず
やっと
一人前

食って
寝て
食って
寝て
焼かれておしまい

真っ白な
画用紙の
真っ赤な
南天のような
貴女に会いたい


2016年8月号


落語も
大乗仏教も
詮ずるところ
業の肯定
好きなように生きろ

右を見ても
左を見ても
世の中は
色と欲とのせめぎあい
神も仏もあるものか

人生は
思い出ならずや
流れ星
光って
消えた

雨に濡れた
ティッシュペーパーが
溶けるように
消えてしまったあの娘
今はどうしているのやら

逢えぬ子の
凛々しき姿を
一目見んと思いつつ
気付けば既に
還暦となる

(注:月刊五行歌は、仮に6首出すとその中から一番いいと草壁主宰が思われた順番に巻頭から佳作までにランキングされます。
残りの5首は作品欄に1〜6のランキングに配列されます。巻頭に一番終わりが草壁主宰の作品で、作品1のトップが草壁主宰の作品です。
この時は私の作品は草壁主宰から数えて4番目です。かつて草壁主宰の作品から2番目だった記憶があります。この作品はさほど凝ったものではありませんが、
草壁主宰は私に「男歌」を期待されているので上位にランキングされたものと思われます)

2016年9月号


喜びも
真珠
悲しみも
真珠
涙色の


2016年10月号



今日こそは禁酒
禁酒と
繰り返し
気付いた時は
墓石の中


雨あがりの
夜道
魚が濡れて
泳いでいる
私と共に

偶然に
町で拾った
マッチ箱
誰が使って
いたのやら


2016年11月号


トタン屋根を伝う
雀の足音に
涙したことあり
小さきものは
美しきかな

雨あがりの
夜道
魚が濡れて
泳いでいる
私と共に

蝉しぐれから
集くコオロギ
歩いても
歩いても
チチチチチチチチチチ

ふるさとに帰りたい
と母が呟く
海で拾った青い目の猫
庭に眠る
ふるさと

早稲田小町と言われた君に
逢いに行ったね
片手に朝顔と
片手に回り灯篭を
持って

腹が減ったとか
金が無いとか
恋人に振られたとか
心配するな
どうせ死ぬ

2016年12月号


黒と白と
何という
悲しい世の中か
黒だけでも
百の諧調あるものを

秋風に誘われて
川辺に立てば
曼殊沙華
いつか来た道
いつか行く道

天地は

神仏も

他所を見るな

実らぬ
恋が
一番
手に触れると
腐ってしまう

青春 子育て
那田塾 大学講師
全部楽しかったが
もう一度
子育てがしたい


2017年1月号


悪人も
善人も
一気に
海へ流し去る
天地に仁なし (草壁主宰が巻頭1席にしようか迷ったと日誌に書いてあります)

逢えぬ子の姿を
グラスの底に
沈めつつ
一人飲む
ワインのやるせなさ

父母ありて
その父母ありて
父母ありて
延々と続いて
私がある

憎しみは
愛情の
裏返し
取り返しのつかない
無関心

孫と嫁に
裏切られ
食べることだけが
楽しみになった
九十六歳の母よ


2017年2月号


紺色のジーンズが
年を経て
綺麗になるように
人もまた奇麗になると
私は信じたい

花びらを縁が黄ばみ
瑞々しさが無くなった
君の微笑みが
螺旋状の錐となって
私の目を刺す

金木犀の花の香が
鼻を撫でるように
君と話していると
心弾むよ
年の差を越え

人間は顔じゃない
というが
好んで
醜女を娶った男は
滅多にいない

ちょっと難解で
ちょっと猥雑で
出来る限り
具体的なものがいい
詩歌の不思議

胃は焼ける
心は荒ぶ
冬の夜
命捨てるほどの
恋人もなし


2017年3月号


最も弱く
最も小さなものが
最も
強い
赤子の奇跡


煙草

瞬間に
詩歌が生まれる

私の子供
俺の子供と
人は言うが
私たちの子供
じゃないの?

可愛さには
普遍性があるが
美しさには
普遍性がない
私のラバさん南洋じゃ美人

虫も殺さぬ
優しい顔をしていても
世間では
白衣の悪と
いうそうな

あれも詠んだ
これも詠んだ
巻頭一席を
詠みたいけれど
そこが地獄の一丁目


2017年4月号


人も
犬も
猫も
石ころも
突き詰めれば
波動

今この時に
未来も過去もある
時間は
過去から未来に
真っ直ぐ進むものでは無い

苦楽共に
幸せ
生きて
さえ
いれば

女は生涯に
三度泣く
バージンを捨てた時
子供を産んだ時
若い男を買った時

君君足らずと言えども
臣臣足らざるべからず
よほど
悪い上司に
当たったんだね

私の郷里では
悪党を
「偉い人」と呼ぶ
なるほど
名言

2017年5月号

今回は特集の欄に載りました。
題名は re です。さすが草壁主宰だけあってネーミングも配列も上手いですね。

死は
ストレスゼロの
永遠の眠り
なのに何故人は
怖がるのか

プチプチと
肝細胞の
潰れる音がして
迎える朝の
憂鬱

僕の目が
カメラなら
君の笑顔を
脳裡に焼き付け
心のアルバムに
飾って置こう

この知識と経験で
今が二十歳なら
天才だけど
既に還暦
いや、まだ間に合う

ハイボール
胃に染み透る
冬の夜
共に飲みたい
君は病室

初めて
逢った時から
何かが違うと思った
生まれて初めての
本当の恋だから

年も取った
金無し
宿無し
カカア無し
これで本来無一物

風呂敷の一端を
摘み上げれば
全てが動くように
ここはそこ
そこは全て

here
there
everywhere
語尾のreが
いたる所にある

虐められっ子の少年が
怒ると
斬り殺すぞ と叫ぶ
調べると先祖は武士
なるほど遺伝は怖い

同じ空気を
吸ってるだけで
幸せ と言った
あの娘の気持ちがよく分かる
君の笑顔を見ていると

冬の夜の雨
霙混じりの雨
あの日も雨
君が消えた日
頬の上に一粒の雨

あの日は夜
雨の夜
静かな夜
一人ぼっちの夜
貴女のいない夜

前衛芸術家は

ロマンティックなアナキスト
そして
必ず政治音痴

抽象化すれば
ドカンもストローも
チューブ
どんなに大きさが
違っていても

義を貫けば
ゴルゴダの丘
島流し
打ち首獄門
火責め水責め

2017年6月号


水が流れる
水が流れる
滝壺へ
滝壺の底は
生まれる前の家

白玉の
清水の如き
白酒を
一人飲みつつ
五行歌を詠む

川は枯れても
雨が降る
華は散っても
また実を結ぶ
二度と帰らぬ人ぞ恋しき

土砂降りの雨の後
朝日が差すように
冬は必ず
春となる
諦めるのはまだ早い

あれも学んだ
これも学んだ
気が付けば
還暦
人生はこれから

意味の意味は
恣意
無意味は
意味
例えば音楽


2017年7月号


戯れに
白梅折れば
別れた人の薫りして
いつまた逢える
今日の白梅

前世の記憶を残し
生まれ変わっても
同じことをするだろう
人間
この変わらざるもの

恋愛は
失望の始まり
結婚は
幻滅の始まり
祭りの後の寂しさ

男女平等?
馬鹿なことを言うな
男女共同参画?
馬鹿なことを言うな
性染色体が違うのだから

子供の頃の夢
総理大臣になりたかった夢
学者になりたかった夢
結局金とコネ
人の世は夢

勉強しなさい
かたずけなさい
確定申告しなさい
ママ
ボクには無理だヨ
(子供の五行歌風に)


2017年 8月号


女のnoは
ほとんどno
女のyesも
ほとんどno
外面如菩薩
内心如夜叉

風鈴が揺れて
チリン
と鳴った
心が揺れて
五行歌が生まれた

スーパーまで
歩けば日常
踊れはアート
買って来たのは
サンマ一匹

子供は天才
大人は凡才
年をとったら
子供に還り
あの世に行けばみな仏

昨日も飲んだ
今日も飲んだ
明日も飲むが
医者が止めても
やっぱり日本酒

戦後思想は
外国語に強い
ディレッタントの
受け売りばかり
明治は遠くなりにけり


2017年9月号


梅に鶯
松に鶴
柳に燕
出会った頃の
君と僕

金も要る
名誉も要る
もちろん愛も
無執着にも
執着するな

教授教授と
威張るな教授
教授
オタクの
なれの果て

眠れば天国
起きれば地獄
夢こそ真実
この世は全て


女が香水をつけるのは
体臭を隠すため
化粧をするのは
素顔を隠すため
子供はいいなぁ

自公連立は
暗黒の歴史
太宰治じゃないけれど
本当のことを言ったら
殺される


2017年10月号

(今回は巻頭佳作ではなく、作品1の中に納められました)

どうせ死ぬ
思い切ったことをしろ
吉良邸討ち入りも
桜田門外の変も
要人テロ

ビキニ
ノーブラ
ヒモパン
見せたい場所を隠す
女の文化

アラサーまでは
ガキ大将
分別付けば
皺だらけ
乙女の花はいつ開く

波乱万丈の
六十年だった
これからも
大学教授か
生活保護か

離婚して
辛いのは
子供に会えないこと
つまらないのは
不倫できなこと

芸術は
過剰なもの
あってもなくても構わない
遥かに重要な
趣味道楽


2017年11月号


悟りとは
真我を探して
我無しと知り
歓喜爆発して
凡夫にジャンプ

統一教会 工藤会
創価学会 後藤組
アメポチ ネトウヨ
大量移民
さよなら にっぽん

毎日カラーの
夢を見る
左右の親指に
鮮やかな
仏眼相

仏から見れは
人は皆
不完全で
完全
凡夫則仏

酒が嫌いなら
もう一つ
ビルが建っていた
と人は言うが
酒なくて何の己が桜かな

健康なときは
心が体を動かす
大病の時は
体が心を動かす
藤平光一もマダマダ


2017年12月号


新約聖書は
散文詩
日蓮遺文は
論理学
宗旨は違えど共に名文

この街のどこかに
昔暮らした人がいる
この街のどこかに
これから暮らす人がいる
この街のどこかに

人生で
今が一番若い時
そして一番辛い時
南無観世音菩薩
我守り給え

商人文化は
芸術と学問を
残した
サラリーマン文化は
カラオケとゴルフだけ

我日本の
柱とならん
大船とならん
との決意
六十一にして知る

女の恋は
上書き保存
男の恋は
フォルダ別保存
浮気をするのは
当たり前


2018年1月号


枯れ遅れたカンナや
満開のノウゼンカズラの前で
動けなくなった
天から狙撃されらような
詩的感動

最も大切なことは
金では無く
名誉でも無い
恋でも無く
愛でも無い

マンゴーの木も
クルミの木も
大好きな父もいた
古里は
夢の底

従弟たちと遊んだ
母の生家
石垣の上には
茜色の
ユスラの実

死んだ親友の
電話番号を
子機から削除した
共に闘った友よ
天国から俺を守れ

赤ちゃんは
何故泣く?
この世に生まれた苦しさに
オギャアオギャアと
泣くのだ


2018年2月号

今回はすべての作品がランク1に掲載されました。

一人が二人になった
二人が一人になった
無門関第三十五則
清女(清は木辺です)の恋の
いじらしさ


食器の落ちる
音が止み
中陰からの
無言のメッセージ

障子に飛び散った
血糊のような
彼岸花
今年も
川辺を彩る

女の顔は画用紙
化粧次第で
どうにでもなる
男の顔は生きざま
化粧では騙されない

山頭火の
歌と日記は
無頼派文学
心境の奥底に
かなりの迷いがある


2018年3月号

あんないい父は
いなかった
あんないい母は
いなかった
今は骨壺の中

お菊さん
恨みの理由(わけ)を
聞こうじゃないか
差しつ差されつ
朝まで飲もう

どうせ死ぬのに
何故生まれたの
死ぬときは一緒に死んで
と言って両親を困らせた
やっと言葉を覚えた頃

父母の住む
彼岸に
逝きたい
意地だけで
生きている

諸天善神は
この国から去った
私もまた
神仏を貴びて
頼まず

これはランキング2位に乗りました。
この二か月詩情の少ない歌が佳作になり
残りがまとめてランキング1位と2位になっています。
以前は詩情のある歌が巻頭の上位に来たのですが、
加点方式から減点方式に変わったのでしょう。
これも草壁主催の愛の鞭?と思うことにします。
しかし、毎月6首詩情のある歌をそろえるのは大変です。
特に私の場合、酒と煙草の力を借りて五行歌を詠んでいるので。

2018年4月号


学者と芸術家の
裏の顔を
知りすぎた
尻尾を振り続け
千切れたのが人間とか


骨を砕いて
父に返し
肉を砕いて
母に返す
その父母もなく

山奥の
一坪ほどの
池を見つめていた
少年時代
水面には水仙の影

巷の雪は
溶ける
私の心には
溶けない雪
降り積もる

移民法は
日本史を
書き換えるだろう
大和魂も日本精神も
昔話

ヤクザも右翼も
全く怖くない
いつ死んでもいい
人間が
一番怖い

(今回は巻頭に二首、残る4首はランキング1でした)

2018年5月号

雨が四国山脈を
北に流れると
四万十川
南に流れると肱川
鮎は故郷の清流に棲む

寒椿
蕾に紅の
冬優し
父母(ちちはは)と暮らした
ふるさとの家

母に背負われて
聞いた子守歌
「南国土佐を後にして」
昨日のことのよう
今でもカラオケの十八番

人間に生まれたのが
既に不合格
仏教から見れば
せめて菩薩となって
世直しをせよ

もののあはれとは
心揺れること
恋も文芸も
思わぬ出会いも
衣食足りてこそ

比丘は二百五十戒
比丘尼は五百戒
変成男子
女人禁制
お釈迦様はアンチフェミニスト


(巻頭以外はランキング4位でした)

2018年月6号

>★ もうすぐ
> 大悟するぞ
> と
> 猫に向かって
> 言う

> 花鳥風月に美あり
> 蛆虫石ころに美あり
> 折れ釘を詠んだ歌人の
> 名前
> 忘れてしもうた

> 禅も武道も文芸も
> 道楽
> になるまで
> は
> ものにならない

> 奥嵯峨鳥居本
> 平野屋の邦江さん
> 生きてますか?
> 恋の記憶を紐解けば
> あなたが一番
> 好きだった

> 鮎の群れる川
> 梟の棲む大欅
> の横にある
> 料亭に生まれた
> 三味と太鼓が子守歌

> 生涯独身で
> 童貞の
> 日蓮でも見抜いていた
> 妻は弓
> 夫は矢

巻頭は7番目に出ました。残りはランキング2位です。

2018年7月号

★無限にいる先祖の一人が
あの時別の食事を
選んでいたら
私は生まれてない
と思うとゾッとする

タガもない
底も無い
打たずに響く
アラ
不思議

考え抜くより
直観の方が
一番いい答えを出す
理屈に
拘るな

小中学はデキスギ君
高校大学遊び放題
大学院は猛勉強
大学講師は名物授業
六十過ぎで職探し

今はこう思っている
明日は違うかもしれない
愚昧な天皇は取り換えろ
と言った小楠
彼を畏れた海舟

子供への遺言に
ズルく生きなさい
義を貫くと
潰される
とでも書こうか

(巻頭以外はランキング3の最初でした)


2018年8月号

★愚者は簡単なことを
難しく教える
賢者は
難しいことを
楽しく教える

(久しぶりの佳作でした)

無残やな
六十路を過ぎた
作業現場
メットの上に
鶯の声

鉄熊手が
アスファルトを擦る音
ラルジャンの
スプーンの音に
重なる

恋愛は幻想
結婚は忍耐
といって
一人では
寂しい

災害が無い
善人だけが住む
街があれば
仏説は叶うだろう
善因善果悪因悪果

百人切りして
やっと分かったことがある
女は金
けれど男も金
霊長類とはおこがましい
(ランキングの2番目でした)

2018年9月号

★父母(ちちはは)に
逢える日なれば
嬉しさに
胸はずむらん
死出の旅路は

お蔦さんならいいけれど
蔦に絡まれる
工事現場
時給千五百円で
終わるか俺が?

カンナ見に
寄るガラス戸に
君の顔
目尻の下に
小さな黒子

女一人を
全力でお守りするとは
何事か
皇族なら
国民を全力で守れ

田母神閣下の名言
「全国民が幸福なら
宗教は要らない」
自公分裂は
愛国者の悲願

息子恋しや
ホーヤレホー
娘恋しや
ホーヤレホー
只管無言電話を待つ
(巻頭以外はランキング2位でした)

2018年10月号

★明るい歌が詠めなくなった
信仰喪失
恋愛感情喪失
借金を返す
だけの生活

後ろから
君を抱こうとした
台所で
何かが邪魔して
大好きと言えなかった

末は博士か大臣か
公衆便所で
水を飲み
職は墓場の
ゴミ拾い

蔦の葉だらけの
有名歌人の奥津城
カラスの叫び声
卒塔婆が風に鳴る音
かたや梅に鳴く鶯もあり

汚いことはしない
危険なことはしない
言われたこと以外しない
だんだん馬鹿に
なりにけるかも

お釈迦様は
お祈りをする人が多くて
忙しい
無縁仏を大事する方が
御利益がある

(最初の歌は佳作でした。それ以外はランキング1位でした)

2018年 11月号


一念三千とは
ハンカチのようなもの
一端を摘み
持ち上げれば
全体が動く

少年時代
あれ程楽しみにした
蝉の声聞き逃し
夜道を歩けば
コオロギの声

花火大会は
うるさいだけ
恋愛は
面倒臭いだけ
祭りの後の公園

内憂は自公
外患はアメリカ
祖国の回復は
政治と軍事の
独立

秋だね
雨が降っているね
寂しいね
直ぐに冬だねでも
冬は必ず春になるよ

思うな
考えるな
言葉を使うな
只管座れ
これぞ不立文字

(巻頭以外はランキング3位でした


2018年12月号


故郷はタイ洪水で
ダムの底
数えきれない恋が
オルゴールになって
悲しいメロディーを奏でている

父母(ちちはは)に
逢える日なれば
嬉しさに
胸弾むらん
死出の旅路は

うつせみの父母より
生まれ
今ぞ知る
父母未生以前
本来の名目

疲れる
疲れる
飲んでいる時だけ楽しい
また明日から
疲れる疲れる疲れる疲れる

好きな人に
好きと言えなかった
好きな人が
いなくなった
祭りの後の公園

方便品は
理の一念三千
寿量品は
事の一念三千
願いは必ず叶う

(巻頭以外はランキング2位でした)

2019年1月号


言葉から
零れ落ちた
大海を
法とも
如来とも云う

善悪は
後世の判断
善にも強く
悪にも強く
道のためなら非道もせよ

お前を出せ
どっちの私ですか?
貴方には
私が有る
私には無い

歩いても
歩いても
歩いても
コオロギだけが
ジジジジジジジジ

実った恋は
バラバラに
片思いだけが
キラキラと
恋は思案の外とやら

心臓弁膜症で
死んだ女の子に
今度いつ会える
と書いた
宛先のない手紙
(巻頭以外はランキング2位でした)


2019年2月号


子供と
動物と

自我が無い時は
誰でも超能力者

スマホも
テレビも無い
おかげで
タップリの余暇と
想像力がある

生まれて初めて
労働者になり
世間を見た
ベンツにレクサス
道端にリヤカー

母が死んだら
悪口ばかり
書こうと思っていたが
あんなに立派な人とは
思わなかった

日本人の顔が
変わってしまった
白い人 黒い人
そしてハーフ
名前は漢字とカタカナ

巻頭一席も
佳作のラストも
同じようにいい
大悟徹底まで
あと五十センチ

未来のことは
ほぼ分かる
過去のことはよくわかる
現世は当然
三世を知るを仏とか