ヘルクレス座


ヘラクレスは、勇者ペルセウスとアンドロメダ姫の孫娘にあたるアルクメネに、大神ゼウスが生ませた子供です。
ゼウスは、ペルセウスの血を引く英雄となる事を予感し、今度アルゴスに生まれる子供はアルゴスの国の王とする事を宣言しました。
ところが、ゼウスの妻である女神ヘラの謀略で、違う女性が違う子供を産んでしまいました。そして、ゼウスの宣言通り、アルゴスの人々はエウリステウスと名前を付けて、王にしてしまいました。
そして、アルクメネはひそかにヘラクレスを産みました。ところが、ヘラが怒っている事を知り、ヘラクレスの身を守る為に、ヘラクレスを泣く泣く野原に捨てました。
運命のいたずらか、そのヘラクレスを助けたのは、ヘラでした。知らずに拾ってしまったのです。
ところが、そのうち、自分が助けた赤ん坊がヘラクレスだと言う事を知り、ヘラはヘラクレスが寝ている乳母車に毒蛇を二匹投げ入れました。しかし、赤ん坊のヘラクレスは、その毒蛇をいとも簡単に握り潰してしまいました。

ヘラクレスは、立派な若者に成長し、コリントス王の娘メガラを妻にして、三人の子供をもうけました。しかし、これもヘラの呪いで、妻と三人の子供を火の中に投げ込んで、殺してしまいました。
その罪を償う為に、ヘラクレスはアルゴスへ行き、あのエウリステウスに仕え、十二の大仕事をしなければならなくなりました。
十二の大仕事とは、以下のとおり。

1、 ネメアの大獅子退治
2、 レルネのヒドラ退治
3、 黄金の角と青銅の足を持つ、ケリュネイアの牡鹿の生け捕り
4、 エリュマントス山の大猪退治
5、 三千頭の牛小屋の大掃除
6、 鉄のくちばしや爪を持ったステュムパリデスの怪鳥退治
7、 クレテの牡牛の退治
8、 火を噴くディオメデスの人食い馬の生け捕り
9、 女だけの国アマゾンの女王ヒッポリュテーの帯を奪い取る
10、頭が三つ、手足が六本ずつの怪人ゲリュオーンの赤牛の生け捕り
11、竜が守る、ヘスペリスの園の黄金のリンゴを採ってくる
12、頭が三つ、尻尾が蛇という、地獄の番犬ケルベロスの生け捕り

十二の大仕事を、ヘラクレスはみごとにやり遂げましたが、勇者ヘラクレスも死ぬ時が来ました。
上半身が人間で下半身が馬のケンタウロス族の、悪いネッソスの謀略で、恐ろしい毒にあたってしまったのです。
死期を知ったヘラクレスは、友人や家来に、オイテの山の頂上で自分を焼くように言いました。友人や家来は、一度はためらいましたが、ヘラクレスの毒による苦しみを見兼ねて、ヘラクレスが横たわる薪に火を付けました。
突然、そこに雷が落ちました。そして、火が消えて、ヘラクレスが消えてなくなっていました。
ふと、空を見上げると、そこにはヘラクレスの勇姿が、美しい星々で描かれていました。



ローマでは、ヘルクレスといったので、星座の名前はヘルクレス座といいます。
天の川の西側、頭の真上あたりに輝いています。
全天で四番目に大きい星座ですが、暗い星が多いのでわかりにくいです。
まず、α星ラス・アルゲチという赤い星を見つけます。そして、それより上へひしゃげたH型に連なる星座を見つけます。赤い星を頭として、ヘラクレスはさかさまになって輝いています。





Minomushi
'99.8.1

MIDI提供
Nobuo Takenaka