2008年3月号より
2008年3月号より
「学研の科学」掲載
Q.いろいろな歯ブラシがあって、選ぶのに迷ってしまいます。どういうのを選べば良いでしょうか? 歯医者さんで売っているものなら間違いありませんか? また、歯と歯のあいだは糸ようじを使わないといけませんか?
A. 歯ブラシは、植毛部の大きさはやや小さめで平切りカット、柄はまっすぐのものがよいでしょう。歯科医院で販売しているものは、ほとんどが、こういうタイプのものです。市販品には、毛が段切りカットになっているものや、毛先に球がついていたり、柄が曲がっているとかいろいろありますが、だからといって、汚れがよくおちるということはありませんから、注意して下さい。
毛の材質は、ナイロンが良いです。毛の硬さも、極端に固いとか、極端に柔らかいとかいうことではなければ、あまり気にする必要はありません。毛の固さよりも弾力のほうが、歯の汚れを落とせるかどうかを左右します。弾力を失うと汚れが落ちなくなりますから、1ヶ月に1本の頻度で交換することをおすすめします。
最近は、電動歯ブラシも数多く販売されています。もし購入するなら、やや高価ですが、音波歯ブラシというタイプのものがおすすめです。音波歯ブラシは、1分間に3万回以上の高速振動させることで260Hzの音波を発生させ、ブラッシングに加えて音波振動でより多くの歯垢を落とします。この音波の振動効果はものすごいもので、通常の歯磨きよりも、断然きれいになります。音波歯ブラシで磨いた後、舌で歯を触ると、ツルツルになっていることがわかるでしょう。通常の歯磨きでここまできれいにするのは、容易なことではありません。歯周病で悩んでいる方には、特におすすめです。
歯と歯のあいだは、虫歯や歯周病にかかりやすい部分です。できれば、デンタルフロス(糸ようじ)を使うことをおすすめします。また、歯と歯の間に食べ物がはさまる場合には、食後に必ずとるようにしてください。このような時にも、是非、デンタルフロスを使ってください。
Q.良い歯医者の選びかたを教えてください。
A. むし歯になって歯に穴が開いてしまったら、自然治癒しません。そこで歯科医が治すわけですが、治した後どれだけ長持ちするかは、すべて歯科医の「技量」にかかっていると言ってもいいでしょう。
歯科医の「技量」には、ふたつの要素があります。診断と技術です。診断と技術のどちらか一つでも劣っていれば、用をなしません。たとえば、診断が的確でなかったら、間違った治療法を採用してしまいますし、技術が悪いと、治療法が正しくても治りません。歯科医を選ぶには診断が的確で、かつ技術が優秀な歯科医が1番のおすすめです。
でも、実際に患者さんの立場から見ると、なかなかわからないですよね。いくつかポイントを挙げておきます。
まずは「診断」のほうですが、患者さんが困っていることをきちんと聞いてくれるか、あるいは、患者さんが言いやすいような配慮をしてくれるかということが目安になろうかと思います。患者さんからの訴えは、なにが原因か、どんな治療法が適切かなどを診断するのに、とても重要な情報です。正しい診断をしようとする歯科医は、患者さんの訴えに真剣に耳を傾けるはずです。
このような歯科医は、診断を下したらその結果について、患者さんに説明をしてくれるでしょう。説明には二つの目的があります。一つは、患者さんに正確な医学的な情報を伝えること。そしてもうひとつは、患者さんの話をどのように理解したかを患者さんに伝えることで、聞き漏らしていることがないか、再度確認することです。こうしたプロセスをふんで、診断が間違いないと判断されたら、今度は、その治療方法について、説明してくれるはずです。
次に「技術」のほうですが、これは、通っている人に実際に聞いてみることが1番わかりやすいでしょう。治療前と治療後では、どんなふうに改善したかを聞いてみてください。また、一回あたりの診察時間も判断の基準となります。患者さんとコミュニケーションをとりながら、きちんと処置するためには、それなりの時間がかかります。一回当たりの診察時間が30分以上か否かをひとつの基準と考えて良いと思います。それから、技術が優秀な歯科医であれば、虫歯や歯周病がほとんど完全に予防できることも知っているはずです。どのように予防したら良いか、きちんと指導してくれるかどうかも重要なポイントとなるでしょう。
文:くろさわ歯科医院 院長 黒沢誠人