2007年12月号より

「学研の科学」掲載

 

Q. 小学校2年生の息子がいます。5歳頃から乳歯が抜け始め、4本永久歯に入れ替わったところで、その後、乳歯がぱたりと抜けなくなってしまいました。他の乳歯はいつ頃抜けるのでしょうか。全部が抜け替わるのは、何歳くらいなんですか? 近所の6年生の男の子は、まだ乳歯がたくさんあるとのことですが、遅すぎませんか?


A. 成長には個人差がありますので、単に、ちょっと生え替わりが遅くなっているだけだと思いますが、なにかしらの原因があって、生えて来られないという場合がないとは言えません。たとえば、過剰歯(本来はないはずの余計な歯)が邪魔をしているとか、永久歯がとなりの乳歯にひっかかって、なかなか生えてこられないとかということもあります。歯医者さんに実際に診てもらい、レントゲン写真を撮影してもらってはいかがでしょう。小学校2年生でしたら、歯肉の中で着々と生える準備をしている永久歯の様子が確認できるはずですから、そろそろどの歯が生え替わりそうだ等ということが一目瞭然にわかります。

 実際のところ、抜け替わりは遅いほうが、虫歯の予防という面から考えると有利です。あまり早く生え替わると、唾液腺が未発達なので唾液の性能が上がっていませんし、未就学児のほうが小学生よりもおやつを食べる頻度がどうしても多くなるので、虫歯の危険性が一般に高いからです。

 乳歯が全部抜け替わるのは、だいたい12歳から13歳です。近所の6年生の男の子はまだ乳歯がたくさんあるとのことですが、遅すぎるということは、まったくありません。異常がなければ、15歳までには、抜け替わるはずです。15歳を過ぎても乳歯が残っている場合は、その歯の替わりとなる永久歯が生まれつきないか、なんらかの原因で生えてこられないことが推測できます。その場合は、かかりつけの歯医者さんに相談してみることをお勧めします。



Q.3年位前に、子どもが前歯をぶつけてしまい、今ではその歯だけ暗い色になっています。大人の歯には影響ありませんか?


A. ぶつけた衝撃で、その歯の神経が死んでしまったのでしょうね。神経が死んでしまうと、歯は暗い色になってしまいます。子どもにはよくあることです。痛むことなく神経が死ぬことが多いので、気がつかずにそのままでいることがほとんどかと思います。

 永久歯との抜け替わりの時期になると、乳歯の神経はその乳歯の根を溶かし、そして、永久歯を正しい方向に導くという重要な役割を果たします。

 神経が死んでしまうと、他の歯よりも早く永久歯が生えてきたり、逆に遅くなったりします。そして、生えてくる場所も、少しずれたりします。反対側の歯が生え替わったのに、いつまでも生え替わらないのなら、歯医者さんに診てもらったほうがよいでしょう。生えてくる位置が多少ずれてしまった場合でもたいていは治りますから、しばらく様子を見ても構わないと思います。

 また、神経が死んでしまうと、死んだ神経が腐って、その歯の根の先が膿んでくることもあります。この場合、その歯の歯肉に、直径3mm程度のおできのようなものができますので、すぐにわかります。そのまま放っておくと、永久歯が生えないうちに虫歯になることさえありますから、すぐに歯科医院に連れていってください。

 歯をぶつけて神経が死んでしまっても、それだけで、大人の歯が困ったことになることは稀です。たとえ、多少の問題が出たとしても、早めに対処をすることで、充分ばん回できます。あまり心配せず、もし変だと思ったら、躊躇なく、かかりつけの歯医者さんに相談してみてください。


              文:くろさわ歯科医院 院長 黒沢誠人