2007年11月号より

「学研の科学」掲載

 


Q.6才の女の子です。前歯の裏から、大人の歯が生えてきてビックリしています。乳歯を早く抜かないと歯並びが悪くなってしまうでしょうか?


A. ビックリしたのですね(笑)。でも、下の前歯であれば、心配は不要です。下の前歯は、普通、乳歯の裏から生えてくるのです。あわてて早く抜くことも必要ありません。

 子供サイズの小さな顎に大人サイズの大きな歯が生えてきますので、最初は並びきることができません。ですから、重なって裏から生えてくるのはごく普通のことです。乳歯が抜けて(あるいは抜いて)、顎がだんだんと大きくなるにつれて、舌で押し出されてきて、だんだんと前に出てくるものです。

 ただ、4本の大人の前歯が並びきらないうちに、他の乳歯も抜け始めると、要注意です。早めの歯列矯正が必要になるかもしれませんから、専門医への受診をお勧めします。

 でも、これが上の前歯の場合となると、事情が異なります。裏から生えてくることは、あまりありません。永久歯が生えてくると同時に乳歯が抜け落ちるのが普通です。乳歯の色はどんな色をしていますでしょうか?もし、その歯だけ暗い色をしていたら、その歯の神経は死んでいます。神経が死んでいると正常な抜け替わりができないことがありますから、すぐに歯科医院への受診をおすすめします。

 また、先天的に余分に歯がある場合があります。専門的には過剰歯と呼びます。過剰歯は変なところから生えてくることが多いのです。上の前歯の裏から生えてきたら、過剰歯の疑いがあります。この場合は、なるべく早くこの過剰歯を抜歯したほうがよいでしょう。

 下の前歯の場合は、しばらく様子を見てもかまいません。ただし、1ヶ月以上経っても抜け替わらなければ、歯科医院で診てもらってください。上の前歯の場合は、なるべく早く、歯科医院に行くことをお勧めします。



Q.5歳の息子が受け口です。私も夫もそんなことはないのに、どうしてでしょう? 受け口は健康上、どんな不都合があるのでしょうか。見た目以外の理由でも矯正はした方がいいですか。もし、するとすれば、いつ頃からするのが良いですか?


A. 子どもは受け口が多いので、乳歯のときに受け口でも、あまり心配はいりません。両親とも受け口でない場合は、自然に治ることがほとんどです。

 ただ、6歳になって、前歯が永久歯に生え替っても、反対咬合(咬んだときに下の歯が上の歯よりも前に出ている)になっている場合は、なにかしら異常が起きていることが想像されますから、歯列矯正の専門医に診てもらったほうがよいでしょう。ほとんどの場合は小さな異常にすぎませんから、早めの処置なら、簡単に治ると思います。そのままにしておくと問題が大きくなってしまい、治すのにも時間もお金もかかりますので、早めに診てもらってください。また、まれですが、上顎が発達しないという、先天的な異常もあります。この場合でも、早めの対処が功を奏すことになります。

 ご両親が受け口でないなら、治らずにそのまま大人になることは考えにくいのですが、万が一受け口のまま大人になっても、上下の歯がしっかりと咬みあっている場合は、健康上の不都合はまったくありません。

 ただ、思春期になって、見た目という点で、受け口であることを悩むことがないとは言えません。できれば、治しておいてあげたいものです。上下の4本の前歯(合計8本)が永久歯に生え替わって、たとえそのうちの1本でも反対咬合になってしまっていたら、かかりつけの歯医者さんにまず相談してみてください。永久歯に生え替わっても、受け口が治らない場合には早めの対処をおすすめします。


              文:くろさわ歯科医院 院長 黒沢誠人