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高坂制立師を偲ぶ

人寿百歳蘭香四時の掛軸が掛かる躅飛山光徳寺の内部
静寂な空間のなかにひときわ目立つ“人壽百歳蘭香四時”の掛軸。

高坂制立師を偲ぶ
 人壽百歳蘭香四時とは何と大きくおおらかな言葉であろうか。躅飛山光徳寺第十九世住職高坂制立師のコレクションである。この見応えのある掛軸は中国山東省泰山の岩肌に刻まれた泰山金剛経の拓本を組み合わせて表装したものである。朱墨の拓本はひときわ目立つ。これを初めて見たのは輪島の塗師故奥田達朗氏に連れられて光徳寺を訪れた1972年のことであった。第十九世住職高坂制立師と初対面となった日である。以来意気投合し深い親交を結ぶこととなったのであるが誠に残念なことに長い闘病の末2005年7月に帰らぬ人となってしまった。長寿では無かったけれど文字通り蘭香四時を地でいった人であった。師は先代住職高坂貫昭師の志を継いで日本民藝協会の理事として、また地元礪波民藝協会々長として民藝運動と深く関わってきた人でもあった。
 光徳寺は富山県南砺市法林寺(地名)に存る文明3年(1471年)に建立された浄土真宗の古刹である。蓮如上人直筆の書やおそらく数万点におよぶ美術品を所蔵、一部展示公開している。第二次大戦中、版画家棟方志功がこの寺に疎開したことはよく知られている。日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見出し、それを活用しようという日本独自の「民芸運動」の創始者である柳宗悦を始め同運動に共鳴した河井寛次郎、富本憲一、浜田庄司、バーナード・リーチたちが第十八世住職高坂貫昭師を慕って集まった寺として知られている。
 ともすれば音楽だけに偏りがちな演奏家という職業の私に音楽以外にも様々な素晴らしい世界があることを教えてくれた得難い人であった。合掌。



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