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過去の日記帳 2017年1月 〜 3月

写真ははずしました。

 2017年3月14日(火) 東日本大震災から6年目の3月11日に催された逗子弦楽アンサンブル第3回演奏会
 逗子弦楽アンサンブルを主宰するヴァイオリニストの前沢均さんはN響で30年以上一緒に演奏をしてきた仲間である。前沢均さんは現在シュトス弦楽四重奏団で活躍する傍ら逗子弦楽アンサンブルの他にも湘南ユースオーケストラサファリオーケストラなどのアマチュアオーケストラの指導を行っており、湘南では貴重な存在となっている人である。新聞でウィークデーの昼間に練習に出られる事を条件に公募して集まったメンバーで構成されている逗子弦楽アンサンブルの発表会は今年で3回目だそうである。会場となった逗子のなぎさホールは嘗て前沢さんと演奏をしたことがあり響きもよく、気に入っているホールである。立地条件も良いことから確保するのが大変ときく。土曜日の午後2時に始まった逗子弦楽アンサンブル第3回演奏会のプログラムはビゼーのアダージェット、モーツァルトのディヴェルティメントニ長調K.138、それに私がソリストに迎えられてバッハの管弦楽組曲第二番ロ短調、そして最後はホルストのセントポール組曲という内容だった。前沢さんがプログラムにアダージェットを選曲したのも東日本大震災から6年目の日に因んでのことであったが、私もアンコールにはバッハのアリオーゾを用意していた。そして組曲二番の演奏が終わってからアンコールを演奏する時になってホールの壁の時計を見たら、まさに震災が起きた午後2時46分その時であった!胸にこみ上げてくるものがあった。東北を思い浮かべながら弦のピッツィカートにのってBWV1056の調べを歌い上げた。演奏会が終わってからはホールからすぐ近くの居酒屋で打ち上げ会があった。演奏を終えたメンバーたちの顔がみんな嬉しそうに輝いている!練習の時には会話もままならなかったけれど、この時ばかりと話が弾んだ。この日の演奏には喜びがあった。それは「音学」ではなく「音学」であった。音楽好きな善人の集まりなのだ。これは何ものにも代え難いものだろう。これからは技術も磨き、更なる発展を期待する私である。


 2017年3月9日(月) ああ、へインズ!この素晴らしいフルートの響き!
 去年の3月に練馬の光が丘美術館でのコンサートを終えてから約16年間吹いていなかったヘインズを今吹いている。なんとこのフルートの素晴らしいこと!別にパウエルの響きが気に入らなくなったわけではなく、いやむしろ未だに無かったほど最高に響いていたのに、どう言うわけかへインズを出して吹き始めた。日頃からほったらかしているのが可哀想だという気がしていたからかも知れない。吹いてみるとヘインズの響きはふくよかで、口の中が響きで溢れそうだ。前にも書いた事だけれど、秘密めいた「あること」を施した結果がずばり大当たりで、更に人間で云えば体内にあった異物を摘出したのが良かった(これは驚くほどの変化があった)。タンポも左手から右手のFのところまで全て自分で張り替えてあったから。
 私の毎日は、まず起きてから最初に吹くのは頭部管だけだ。その日の口の状態を知ることから始める。よくリード楽器の人がまずリードだけで音をだしているが、それと同じ事である。マウスピースにあてがう唇の角度、穴の大きさなどを確かめてから、次ぎに胴部管を繋いで吹く。足部間がない状態で吹くと、響かせ方がとても良く分かるのである。納得がいってから足部間も繋いでフルートとして完成させてからは丁寧にロングトーン。色々な息の入れ方を試しながら「その日の音」を完成させていく。
 7日は尾高忠明指揮のN響団友オーケストラでN響卒業以来久々にサントリーホールで吹くことが出来た。曲はベートーベンの五番運命である。久し振りに吹いてみてこのホール、こんなに良かったんだ、と思った。実に素晴らしいホールだ。前よりも良く響くように感じた。ホールも楽器と同じく育ってくるらしい。自分が吹いた音が一番遠くまで行ってから再び自分のところに戻ってくる快感を楽しみながら吹いた。この楽器でこれから吹く予定の曲、ベームのエレジー、ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲、ルーセルのアンダンテとスケルツォ、ボルヌのカルメン幻想曲、バッハの組曲第二番、フリーデマン・バッハの2本のフルートのためのソナタ、などを音を楽しみながら気の済むまで練習している。吹きながらいつも心にあるのは哲学者マルティン・ブーバーの「孤独と愛」のなかに出てくる言葉だ。吹くものと吹かれるものが一対一の深い深い深淵な関係を結ぶことが出来ないと響いてはくれないのだ。フルート、この素晴らしい楽器!好きでたまらない!




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