福岡県のダム歩き

 

3)力丸ダム

思い立って近隣のダム湖を回ってみようと考えた。歩いてゆけるところは限られているが、車でそばまで行き、歩くなら相当遠方のダムでも可能だろう。近くから制覇していく、一応福岡県内にとどめるというしきりを設けた。その第一として宮若市にある力丸ダムを選んだ。

ナビの行き先に「力丸ダム管理事務所」を指定して車で西北へ40分ほど、深い山あいに突然大きな堰堤が姿を見せる。提高43.5、提頭長さ458.8m、昭和40年完成の、既に貫禄のついたダムだ。管理事務所もその近くにあった。早速車を置いて総貯水量1320万立方mというダム湖沿道を歩き出す。

 

 

 

事務所のそばから右回りに進むが、もとは結構な散歩道だったらしいせっかくの沿道が、数年といわず整備がなされていないようで、倒木などをまたぎながらゆっくり進む。とうとう雑草が前途を塞ぎ、道なき道になって工場廃物の処理工場らしき裏手に出た。この先は以前はレジャー施設があったはずで、吊り橋もすぐそこに見えるのだが、そこまでもいけそうになく、異様な臭気が漂う中をようやく一般道路へ脱出し、車で通った道を元の場所へ戻る。

 

 

 

今度は先刻も軽トラックがやってきた左周りの道を進むことにしてまず堰堤を渡り、少なからず野性味ただようラフの沿道を進む。「崩壊箇所があるので注意ください」「通り抜け出来ません」の表示があってぎくりとする。行き止まりになれば引き返すまでだ、と腹をくくる。こちらのほうは確かに車が行き来したあとがある。

突然前方十メートルほどのところにどこからか大きなけものが現れて、一瞬向き合ったあと身を返して走り去った。見事な角を持った雄鹿だった。こんな体験は初めてだ。カメラを持っていたのに体が動かなかった。残念。

 

 

 

 

 

源流のひとつを渡る小さな橋の上に大石がわざとらしく転がっていた。これがあるだけでダム周回の道は車では通過不可能ということになる。あたりは山側の崖の崩落が激しくて、まだ修復の途中のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

近々に大雨が降ったわけでもないのに深い泥の箇所がいくつもあって難儀した。更に上流へ続くダム湖をまたぐ橋を渡ると、ようやく車が頻繁に行き交う県道へ出て、更に進む。歩道がないところが多く、危険度はこの道の方が大きいかもしれない。

廃墟になったホテルや入り口が封鎖された遊園地「十二支苑」、更には30年前私も遊んだスケート場跡を右に見て周回を終えた(このあたりはすでにダム湖の沿道からは遠い道である)。16000歩、悠々2時間余のウォーキングであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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