伝説のTVドラマ


5代目スカイライン「ジャパン」という車は、4代目「ケンメリ」が無ければ生まれなかった、というより全く違った車になっていたと思います。ケンメリを剃刀で削ぎ落としたというデザイン、つまりケンメリがジャパンの「原型」となった訳ですね。

同じような例がTVドラマ「西部警察」。20年以上前のドラマですけど、再放送を契機に新たなファンを獲得しています。この西部警察の「原型」となったのが大都会シリーズ。これはよくご存知のことだと思います。

同様に「あぶない刑事」。館ひろしと柴田恭兵のコンビで一世を風靡し、その後映画まで制作されました。

・場所は港街横浜
・二人のはみだし刑事タカとユウジ

このシチュエーションにも「原型」があるってご存知でした?
この原型となったTVドラマはかなり特異なもので、その後刑事ドラマとは全く異なる青春ドラマシリーズの「原型」にもなりました。つまり刑事ドラマ、青春ドラマという2種類のシリーズの原型となったドラマが存在したわけです。わかる方はもうピンときてると思いますが、このドラマのタイトルをサーチしてみると少ないこと少ないこと。インターネット上でこのドラマを扱ったページは皆無に等しい。ここでは、あっくんが中学生だったころ夢中になったこの「伝説のTVドラマ」についてご紹介しようと思います。

番組販売資料(東宝株式会社資料より)

みどころ:

相模県警捜査一課に「はみだし刑事」が二人いる。中野祐二27歳、射撃の名手で不死身の男。刑事は犯人を容赦なく逮捕するものという、頑固なまでの信念の持ち主。そして五十嵐貴久24歳、射撃に自信なく無手勝流。刑事の仕事は犯罪の防止にあると考える、心の優しさが信条。
(あっくん注:ユウジとタカという名前まであぶ刑事は踏襲している!)

中野祐二も五十嵐貴久も、あまりに純粋で妥協を知らず、並外れた仕事熱心さゆえ、ともすれば行き過ぎ捜査に走るあまり、警察組織からはみだした。彼らは、まだるっこい警察のルールを無視するばかりか、物事の善悪を法律によらず、自己の信条に照らして決め果敢に行動する。たとえ合法的であれ、人を傷つける奴、騙す奴は悪人であり、人を愛する奴、寂しい奴、悲しい奴は善人なのだ。
(あっくん注:どうですこのシチュエーション。当時はこのようにストレートにコンセプトを表現できた時代だったんですねえ)

中野祐二は、聞き込みのためならとことん相手を打ちのめす、人込みの中でも平然と拳銃を撃つ。また、五十嵐貴久には、かつて麻薬事件を担当、自ら麻薬中毒となった過去がある。同僚から煙たがられるのも無理はない。

彼らの上司である野上係長は、二人の扱いに困り果てたあげく、名案を思いついた。誰もが尻込みするような、危険で厄介な事件が各県警に発生するや、体のいい厄介払いとばかり、二人をそこに派遣することにしたのである。

かくて「助っ人刑事」の誕生!中野と五十嵐は「またドサ回りか」とぼやきながらも、喜々として知らない街の事件のど真ん中へ...
ドラマはそんな若者の生きざま、青春を燃やし、そして傷ついて行く姿をユーモラスに、しかも地方ロケを多用したスピーディなアクション仕立てのうちに描いて行きます。

人気タレント中村雅俊、松田優作の異色コンビで描くユニークな刑事ドラマとして登場する「新しい青春ドラマ」!!
どうぞご期待下さい。
 

作品名 俺たちの勲章
放送日時 昭和50年4月2日
午後8時〜8時55分(NTV系列)
放送回数 19回
脚本 鎌田敏夫、桃井章、播磨幸治 他
監督 斎藤光正、沢田幸弘、山本迪夫、降旗康男
音楽 吉田拓郎
制作 東宝株式会社
キャスト
中野祐二 松田優作
五十嵐貴久 中村雅俊
野上係長 北村和夫
宮本 柳生博
上野原 山西道広
雪子 坂口良子
香子 結城美栄子
健次 佐藤蛾次郎

脚本、監督を見てお分かりでしょう。俺たちの旅、俺たちの朝、俺たちの祭と続く「俺たちシリーズ」の原点にもなったのがこのドラマでした。これは中村雅俊が牽引役となったためでしょう。

一方松田優作は、この後大都会PARTII、探偵物語と刑事ドラマ路線を歩んで行きます。接点の無い二人の役者が若き日に、ほんの一瞬だけ共演した希有なTVドラマ、音楽を何と吉田拓郎が担当したドラマ、それが俺たちの勲章です。

全19話と2クールにしては少ない理由は、日本テレビ系で放送が水曜日の8時台だったため。つまり雨傘番組となってしまったためです。しかも第18話「狂乱のロック」は、水曜8時に放送されることなく、再放送で初めて日の目を見たという逸話まであります。
また、第12話「海を撃った日」は、もっとあぶない刑事最終回(つまりあぶない刑事TVシリーズ最終回)のシナリオそのままです。何のひねりもなく、俺たちの勲章の脚本が、そのままあぶない刑事最終回に使用されました。つまりそれだけ「海を撃った日」は秀作だったわけです。
著作権がありますから写真は公開できないですが、みなさんのリクエストがあれば、後日もっと詳しくご紹介したいと思います。


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