ウエスタン・ラリアット


ご存じの通り、スタン・ハンセンの必殺技である。今では多くのレスラーが使用しているが、

一般のラリアットとウエスタン・ラリアットは全くの別物!

本コラムでは、これを声を大にして訴えたい。

ラリアットとは、相手の首元や胸に、自分の腕の内側部分を打ち当てる打撃技である。このため、打つ側は自分の腕の内側(上腕二頭筋)を鍛える。上腕二頭筋とは、いわゆる「力こぶ」を作る筋肉、腕相撲に使う筋肉やね。

小橋選手の上腕二頭筋に注目。ものすごい力こぶだね。これが「剛腕ラリアット」の源。

ところがウエスタン・ラリアットは、三角筋を使用する。三角筋とは、肩の外側を覆う筋肉。上腕二頭筋が「引く」時に使用する筋肉であるのに対し、三角筋は「押す」時に使用する筋肉である。

ハンセン、ブロディの三角筋に注目して欲しい。肩の外側の筋肉が発達していることが分かると思う。これは、アメフト選手特有の特長。アメフトのタックルやディフェンスは、相手を押しのける。100kgを越す大型選手が、ヘルメットとプロテクターを装備して、全力でぶつかってくるのを押しのけるため、押す力(三角筋)を鍛える必要があるわけ。

このアメフトのタックルを応用したのが、ウエスタン・ラリアット。通常のラリアットが「腕を振り抜く」のに対し、ウエスタン・ラリアットは「肩でかち上げる」。

一撃必殺の打撃技、これがウエスタン・ラリアット!

相手をロープに振って、自らは助走をつけ、相手の顔や首、胸元をかち上げる。130kgを越えるレスラーが、全体重を腕の付け根(二の腕ではない)に乗せてぶつかってくる衝撃を想像して欲しい。これが「ブレーキの壊れたダンプカー」の正体。


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