工藤探偵事務所


ここに一冊の本がある。タイトルは「甦れ!探偵物語 〜松田優作にもう一度会いたい〜」。発行日が1994年2月14日とあるから7年前の本。確か秋葉原の書泉ブックマートで購入した。松田優作主演のTVドラマ、探偵物語の特集本である。全27話のストーリー紹介や共演者、制作スタッフのインタビュー、カラーグラビアなどで構成されている。その中に、プロデューサーの座談会が掲載されていて、こんな会話が収録されている。

「あの事務所はどこだっけ?」
「神田ですよ、神田の病院。今はもうないよな」
「ありますよ、あるんです。この間見て、懐かしかったですよ」

神田の病院?秋葉原でこの本を買ったように、当時あっくんの職場は秋葉原だった。神田は隣町、そこに工藤探偵事務所がある!? ご存知のように探偵物語の舞台は、主に渋谷/新宿あたりだったので、下町の神田にあの事務所があるなんてすごく意外だった。神田のどこにあるんだろう?この本を読んだ7年前のあっくんは、無性に工藤探偵事務所に行ってみたくなった。

そこで他に何か手がかりがないか、探すことにした。気分はまさに工藤ちゃん状態(笑)。本からは「神田にある病院」、これしかわからない。他に何か手がかりはないか... そこで探偵物語のLDを取り出し、もう一度見てみることにした。事務所近辺の俯瞰を見るためにはオープニング、それも一番初めのシーンがいい。BadCityのハーモニカのメロディにのって、工藤ちゃんが手拍子で事務所にやってくるシーン。探偵事務所よりはるかに高い所から撮影されていて、回りの街並みが一望できる。まずわかることは、

事務所のすぐそばに、高い建物があること(←当たり前だ!)

あの感じでは、(仮にビルの屋上から撮影されたと仮定すると)15階建てくらいのビルがそばにあるはずだ。でも、それだけじゃ全然わからんなあ。他に何かないかあ〜?

何回かプレイバックしてみる。と、オレンジ色の看板がある家が見える。あの家、探偵事務所から100mくらいしか離れていないなあ。看板がついてるって事は単なる民家じゃない。何かの事務所?それとも商店?................!!

ひょっとして吉野家の看板なんでないかい!?

うんうん、見れば見るほど吉野家の看板に見えてくる。もしそうだとしたら、場所も特定できるはず。但し、今も吉野家のままだったらの話だけどね。で、オープニングを見た限りでは、かなり広い道路の交差点に(吉野家らしき店が)ある。神田で交差点にある吉野家というと....

ある!何軒か知っている。

しかもオープニングの画像には、線路は映ってない。JR神田駅近辺は高架線になっているので、駅前の吉野家だと必ず線路が映るはず。神田の駅前ではないことは確か。ということは.....!!

あそこかあ!

一軒だけ駅から離れた吉野家を知っている。その吉野家は通常の家屋ではなく、ビルになっている。探偵物語が制作されてから15年が経過しているから(注:念のため言っときますけど、これは1994年の話です)、建替えられてても不思議じゃない。もし、ここまでの推理(^^)が正しいとすると、オープニングに映っている吉野家の前の広い通り、

あれは靖国通りだ!

よし、ここまでわかったからには、明日会社に行ってから確かめてみよう。

翌日秋葉原に出社した時、昼休みが来るのが待ち遠しかったこと!(笑)
12時になるのと同時に会社を出て、靖国通りを神保町方面にダッシュ!例の吉野家で大盛りにタマゴを注文する。ひょっとしてこの吉野家、探偵物語のオープニングに登場している超有名店かもしれない。従業員も鼻高々だろう。ならばあっくんも、いつもより大目に紅生姜を頂こうかねえ(←なんのこっちゃ)。
まず牛肉を半分によせて、残りの半分に紅生姜をたっぷりのせる。いわゆる二色丼にするわけやね。そこにタマゴをかけてがつがつ食う。こうすれば、

(1)紅生姜丼
(2)牛丼
(3)ミックス丼

の3種類の味が楽しめる。これが正統派ストロングスタイルの食い方!(爆)是非一度お試しあれ。

食い終わって、歩道橋を使って靖国を渡る。オープニングの映像から推測すると、探偵事務所は吉野家から靖国を渡って100mくらい路地を入ったところにあるはず。靖国通り沿いから駿河台ニコライ堂方面を目指して路地に入ると...

あったあ〜!

間違いない、あの赤レンガの建物!ずいぶん古そうな建物だ。戦前のモダンな建物ってかんじ。大きな煙突が見える。駆け寄ってみると、

「同和病院」

と看板が出ている。玄関はなるほど普通の病院だ。そばへ行ってみると受付があってロビーがあって、ほんと普通の病院だ。そうか、工藤探偵事務所は同和病院の裏口か。建物の俯瞰から容易に察しがついた。裏に回ると小さな路地が...

ここだ、間違いない!

これはたしか1999年に撮ったもの。取り壊される直前のワンショット。レンガなどが落ちる恐れがあるため、ネットが張られている。

工藤ちゃんがべスパに乗って、駆け出していった道!探偵物語のいろんなシーンが甦ってくる。路地に入ると病院の裏口が... ここが工藤探偵事務所の入口!よくここにベスパを停めてたよなあ。病院を見上げると、最上階に事務所の扉が見えた!ナンシーとかほりの部屋もある。工藤ちゃんがハンモック吊したり、ナンシーとかほりが踊ったりしてたベランダもあるなあ。

これが事務所の入口。ゴミが置かれていることからもわかるように、ここは病院の裏口。写真のちょうど左側に、よくベスパが停ってましたね。

よく見るとこの病院、かなり傷みが激しそう。事務所前の手すりはジャリジャリに錆びついている。長年人の手が入っていないことが一目瞭然。どうやら工藤探偵事務所は、屋根裏の物置部屋を使用していたみたいだ。もちろん事務所の中はセットで、あの扉の向こうに工藤ちゃんの部屋があるわけではないだろう。病院の人にお願いして、最上階を見せてもらおうとも思ったが、あれじゃあそこに行くのは無理だな。

病院の回りを歩いてみる。自然とロンリーマンのメロディを口ずさんでしまう。おおっ、この食堂、たしか工藤ちゃんが昼メシ食ってたところだ(注:松栄という有名な洋食屋さん。ハヤシライスが絶品!ビデオをお持ちの方は第21話欲望の迷路をご覧下さい)。病院前の五差路、ここは最終回ナンシーとかほりが雨の中、服部刑事/松本刑事に駆け寄ってきたところでないかい。オープニングは病院横のホテルの屋上から撮影したんやね。

よし、今度カメラ持ってまた来よう。ほんの10分程度、工藤探偵事務所の回りをうろうろしただけだが、自分が探偵物語に出演したようないい気分だった。

路地からはこれだけしか見えない。やや青みがかった工藤探偵事務所の入口が見えます?探偵さ〜ん、いないんですかあ〜?
屋上の右側にバッティングセンターのネット見たいなのが見えますね。あそこでよくナンシーとかほりがゴーゴーダンス(爆)していた。

この後、何回か同和病院まで足を運んで写真を撮った。さらに7年の月日が流れた2001年現在、病院は取り壊され更地になっている。これじゃあの時、病院に無理言って屋上を見せてもらえばよかったかなあ。さらに病院の隣はホテルなんだから、一泊して写真撮っときゃよかった。が、今となっては全てが遅い。世の中、取り返しのつかないことって多いね。

探偵物語が撮影されたのが1979〜1980年にかけてだったから、もう20年以上の歳月が流れている。出演した松田優作、成田三樹夫は故人となられた。ハードボイルドというサブカルチャーが根付かない日本では、こんな作品にはもうお目にかかれないだろうなあ。
考えてみれば、探偵物語が撮影された頃、ジャパンも生産されてたんだ。ずいぶん昔になったもんだねえ。しかし最近もテレビCMで、工藤ちゃんの映像が放送されていたが、全然古くささを感じない。ジャパンもまたしかり!(笑)
西部警察もそうだが、時代に流されないものって探せばあるね。今宵もう一度、探偵物語を見てみるかあ。

そう言えば、探偵物語エンディングに、白いケンメリが映ってるって知ってました?


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