錦眼鏡余話7:No274
マメ(豆)の力:その2 

もう1度、マメの3つの大きな利点を挙げると。。。
 
一つ目は、土壌を豊かにすること。
根粒菌という微生物の助けで、
空気中の窒素で自ら「肥料」を合成する力をもっている。
 

二つ目は、低い環境負荷が特徴であること。
生産に必要な水が少なくてすむ。
また、食品廃棄物が少ないという利点もある。
レンズマメを1キログラムつくるのに、水1千250リットルですむ。
ところが、
鶏肉を1キログラム生産するのに
4千325キロリットルの水が必要である。
 

三つ目は、高い栄養価を持っていること。
タンパク質は小麦の2倍、コメの3倍である。
ビタミンBやミネラルも豊富である。
 

マメ科植物は、
世界に約2万種あり、北極圏から熱帯まで広く分布している。
レンズマメやヒヨコマメの農業生産は、
紀元前7〜8世紀にさかのぼると言われている。
 

世界の食料生産は、
温暖化による干ばつや高温、また塩害などで脅かされている。
科学の力で、
マメ科植物の多様性を生かそうという試みも始まっている。
 

アズキやササゲなどが属する仲間の野生種の多様化は、
突出している。
海水がかかるような砂浜でも育つものがあれば、
砂漠の乾燥地域に生えるもの、
また酸性やアルカリ性の土壌に適応した種類もある。
 

マメの特性を生かせば、現在作物が育たないところでも、
農業ができる道がひらける。
 

野生種は、過酷な環境で育つという優れた性質を持つ一方、
実ると、莢が割れて粒が落ちて収穫しにくかったり、
粒が小さかったりするなど、
栽培に適していない性質をもつものが多い。
 

野生種の優れた性質のみを遺伝子組みかえ技術などで、
栽培種に持たせるのが一般的なやり方だが、
安全性の評価などに時間がかかると言われている。
市場に出るまでには10年単位の時間が必要と言われてる。
 

数万年前の人類が行った野生植物の栽培化を、
現代科学を駆使し、新しい栽培種の実現を目指している科学者達がいる。
世界の食料問題解決に「マメ(豆)の力」を利用し、
持続可能な食料生産が出来る社会を目指しながら!
 

アフリカなどの治安や環境の厳しいところで、
新しい栽培種の実現を目指し、
研究を続けている科学者達が
いることを
忘れてはならない。
 

「マメ(豆)の力」完