錦眼鏡余話4:No146
将来対策:その1 
 <新相続税制度>
 
来年(平成27年)1月から新しい相続制度になります。
 
今まで、相続税は我々庶民には払う必要のないものと認識でいました。
現に、私も両親と一緒に住んでいた今の住宅を相続しました。
相続税は一銭もかかりませんでした。
昔だったので、
子どもが多かったので相続税がかからなかった理由の一つです。
法定相続人の数が多かったので、控除額が増えたために、
ひとりで相続しても税金はかかりませんでした。
 
ところが、来年1月以降は、一般の人々も、
両親と一緒に住んでいる土地付きの住宅と両親が残してくれた
資産に対して、相続税が課税される場合が出るかもしれません。
 
我々庶民も相続税対策が必要になってきたのです。
のんびりしていると、
わずかばかりだと思っていた遺産にも相続税がかかる時代になったのです。
 
最初に、現行の相続税の基本を押さえておく必要があります。
そして、次に
新しい相続税がどう変わるかをとらえる必要があります。
 
最初の問題は、「基礎控除額」がどう変わるかと言うことです。
 
まず、現行の「基礎控除額」は、以下の通りです。
★5000万円+(1000万円×法定相続人数)
 
簡単に説明します。
<例>
夫婦に子ども2人家庭の場合(4人家族)
 
そのうちの夫が亡くなったとします。
妻と2人の子どもが残ります。
法定相続人は、妻と2人の子どもの計3人になります。
計算式はこの場合、
「基礎控除額」=5000万円+(1000万円×3人)
になります。
計算すると、「基礎控除額」=「8000万円」となります。
つまり、4人家族では、遺産が8000万円を超えなければ
相続税はかからないのです。
 
次に、来年1月から施行される新相続制度の「基礎控除額」は、
以下の通りです。
★3000万円+(600万円×法定相続人)
 
現行の同じ条件の家族構成(4人家族)で計算してみます。
夫が亡くなったとします。
妻と2人の子どもがいます。
法定相続人は、妻と2人の子どもの計3人になります。
ここまでは、変わりません。
 
「基礎控除額」の計算式が違ってきます。
☆3000万円+(600万円×3人)
となります。
「基礎控除額」の金額は、4800万円となります。
住んでいる住居と預貯金、退職金の残高などを合わせると、
普通の家庭でも、4800万円を超えてしまうと、それに相続税がかかります。
 
現行の相続税は、法定相続分に応じた税率が6段階に
なっています。
最高税率が50%です。
来年1月から施行される新相続税制度では税率が8段階となり、
最高税率が55%になります。
 
仮に、この4人家族の夫が亡くなったとします。
遺産(この場合の遺産は課税価格の合計額)が、6000万円あったとすると、
現行では0円ですが、新相続税では60万円の相続税が課税されます。
計算式だと、
6000万円−4800万円=1200万円
1200万円が相続税の課税対象になります。
1200万円×0.05=60万円
子どもが1人だと、90万円になります。
 
遺産が8000万円だと、
子ども2人の場合(法定相続人数3人の場合)は、175万円になります。
子ども1人の場合(法定相続人数2人の場合)は、235万円になります。
金額がばかになりませんね。
 
我が家の場合、土地と家屋の固定資産税の評価額が約1600万円です。
4800万円−1600万円=3200万円
預貯金などの合計が3200万円を超えた金額に相続税がかかることになります。
 
具体的な対策をする必要性が出てきます。
 
一つは、「自宅などの小規模宅地等の特例」です。
相続の直前まで居住していた宅地等を、
配偶者(妻)や子どもが相続する場合に特例が生じます。
宅地等の課税価格が最大8割減額される制度です。
また、この特例が適用される敷地面積の上限が
現行の240uから330uに引き上げられます。
 
もう一つは、保有資産のチェックをしておくことです。
@自宅の土地・建物の課税価格
A預貯金・株式・債券などの金融資産
B金などの資産
 
三つ目は、夫婦間贈与特例による非課税枠:2000万円を利用します。
20年以上夫婦いることが条件だそうです。
 
最後に、
「いま贈与できるもの」と「いずれ相続するもの」を区分し、
贈与出来るのもは、今から行っておくことも必要です。
贈与は、「暦年課税制度」の基礎控除額を活用するのがいいです。
受贈者ひとり当たり年間110万円を超えなければ、
贈与税がかかりません。
毎年、通帳に入れて、印鑑と一緒に渡すのは、一括贈与となるそうです。
贈与の仕方に気をつけないと。。。あとで、痛い目にあいます。
 
資産家は、「孫やひ孫へ教育資金一括贈与」や「不動産の活用」、
「暦年課税制度」、「生命保険の活用」などをあらゆる手段を使って、
親族へ遺産を譲っているのです。
 
我々庶民も、ボンヤリしていてはいられません。