今年の3月12日の夕刊に、大きく
ー「燃える氷」ガス採掘成功ー
と言う活字が躍っていました。
サブタイトルに
「メタンハイドレート世界初」とありました。
ここで、「メタンハイドレート」についての新聞記事の説明を引用します。
ハイドレートとは、水と物質が結合した「水和物」という意味。
メタンハイドレートは、メタンと水が結びついて結晶化し、
シャーベット状になっている。
これを分解すると、170倍の体積のメタンガスが発生するという。
シベリアやアラスカの永久凍土層や深海500mより深い海底の下にあり、
日本では太平洋の東海沖から九州沖にかけての「南海トラフ」に
世界有数の埋蔵量があるとされる。
経済産業省から、愛知県の渥美半島沖の海底の地下にある
「メタンハイドレート」からガスを取り出すことに成功したと発表がありました。
世界最初だそうです。
6日間で12万立方mのメタンガスを掘りだしたそうです。
現在の価格で換算すると、840万円ぶんだそうです。
このことは、テレビ等でも報道されたので、ご存知の方も多いと思います。
新聞記事によると、日本近海のメタンハイドレートは
日本の天然ガス消費量の100年分あると推定されているそうです。
渥美半島沖の海底には、11年分があると言われています。
新聞記事を読んで、まず頭に浮かんだことは、
「南海トラフ」は大地震の震源海域なので採掘して大丈夫?
という素人の心配です。
これからの課題は、
海底深くにあるガスをどれだけ安い費用で
安定的に取り出す技術を確立していくことができるかです。
石油や天然ガスをほとんど輸入に頼っている日本。
大きな期待が寄せられています。
2013年3月25日のA紙の科学欄では、
地下資源についての現状が詳しく紹介されていましたので紹介します。
国が所有する三次元物理探査船「資源」が
日本の海域(排他的経済水域)の資源調査をしています。
エアガンと呼ばれる装置を使うそうです。
圧縮した空気を海中に放ち、
海底面や海底面下の地層に反射させるそうです。
反射した波は、
長さ6キロ、幅900mの範囲に広げて引航するケーブルに取りつけた
センサーでキャッチして地層の立体的は構造を解析するそうです。
昨年6月、
この調査で佐渡島の南西約30キロ、水深約1100mの海底を更に
約2700m掘った場所に有望な地層を発見したそうです。
地層の広さは、約135平方キロもあるということです。
これは、中東の中規模油田とほぼ同じ規模になる可能性があるそうです。
この4月にも、98億円を投じて試掘を始めることになります。
海底下には、鉱物資源も眠っています。
2010年、国がまとめた報告書では、
伊豆・小笠原海域の熱水鉱床からは1トンあたり金11.5グラム、
また銀290グラムなどの金属を含む鉱石が採れたとあります。
海底には、他にレアアースなどの希少金属を豊富に含む「マンガン団塊」などが
あると報告書にあるそうです。
南鳥島付近の海域ではレアアースの泥も発見されています。
最近、金価格が高騰しています。
そのため、世界の熱鉱床の開発が盛んになっています。
韓国、中国が探査権を獲得し、採算性をあげることを視野に
南太平洋やインド洋で活動を活発化しています。
しかし、海底資源の開発には、大きな課題があります。
そのひとつは、熱鉱床には微生物が光合成ではなく、
熱水に含まれる硫化水素などの科学物質をエネルギー源として活動しています。
生物の起源の研究に欠かせないこうした生態系を壊さない採掘法、
また、環境に負荷を与えない探査法の開発などが十分とは言えないことです。
国をあげての資源獲得競争が一層激化しているなか、
自然保護の視点を失わないでほしいと願わずにはいられません。
◇海底資源◇終わり
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