錦眼鏡余話3:No117
凄腕

A新聞の土曜日の夕刊に「凄腕:(つとめにん)」が
載っています。
毎回、様々な「凄腕」の人物が登場します。

12月9日の新聞では、「集積回路に描く配線」と題して、
小見出しには「無駄のない配置で<便利>を支える」
とありました。

今回の凄腕は、37歳の女性です。
「ローム」という会社の「LSI(集積回路)レイアウトチーム」の
セクションチーフをつとめているそうです。
 
「ローム」と言う会社をインターネットで検索してみました。
ローム株式会社は、京都府に本社を置く電子部品メーカーだそうです。

主な生産品は、「LSI(集積回路)」「トランジスタ」「ダイオード」
「LED」「抵抗器」などです。
社是は「我々は常に品質を第一とする」だそうです。
 
女性の名前は平尾優子さんです。
彼女は、
たった6ミリの集積回路(LSI)に、
電気信号を制御するトランジスタや抵抗器など3万個の素子を並べ、
配線7万本でつなぐという、そのレイアウトを描く仕事をしているそうです。

1本の配線の太さは、0.13μm(マイクロメートル)。
1μmは、1千分の1mmです。

モニターで1万倍に拡大して作業をしますが、彼女は
「東京ドームに折り紙を敷き詰め、紐で結ぶような感覚です。」
と言っています。
 
彼女の主な担当は、電源を制御する「アナログLSI」です。
この部品はほとんどの電子部品に使われている大事なものです。
スマートフォンやタブレットパソコンの場合は、1台に10個ほどが搭載され、
液晶表示などを制御します。
 
LSI(集積回路)を小さく出来れば、
空いたスペースに他の機能を加えられます。
消費電力も小さくなり、コストも安くなります。
「いかに小さくするかが腕のみせどころ」なんだそうです。
 
設計部門が作った回路図を元に、
コンピューター製図システム(キャド:CAD)で整えます。
彼女は、
単に素子をつなぐだけではないと言います。
熱を発する素子の近くに別の素子を置くことはできないそうです。
素子の向きを整える必要もあります。
 
終盤でエラーが見つかると、最初からやり直しになると言われています。
 
1つのLSI(集積回路)に、
10人以上で2ヶ月以上かかりきりになることもあります。
集中力とチームワークが欠かせないそうです。

最近の仕事では、
米インテルの中央演算処理装置(CPU)の電源LSI(集積回路)を、
チームのリーダーとして担当したそうです。
この電源LSI(集積回路)は、
マイクロソフト社の最新版:基本ソフト「ウインドウズ8.1」が
搭載されているほとんどのタブレット端末にも使われています。

彼女は入社するまで、集積回路(LSI)のことは何も知らなかったそうです。
大学では英文学科を専攻しました。
「英語を使った仕事をしたい」という思いから、
グローバル展開をする「ローム」なら叶うと思ったので入社したそうです。

集積回路(LSI)の微細化はどんどん進んでいます。
素子の大きさは、彼女の入社頃の10分の1以下になっているそうです。
また、集積度は、100倍以上になっていると言われています。

ローム株式会社は海外に開発拠点が増え、
彼女は、
今では外国人と一緒に仕事をするようになっています。
テレビ電話を使った会議などでは、英語でこなすこともあるそうです。
 
彼女には、
「世界中の生活が便利になるのを支えている」という自負があります。
「もっともっと集積回路(LSI)を小さくして、
環境にやさしい製品づくりに貢献したい」という抱負を持っています。