錦眼鏡余話3:No108
パッションフルーツ

今年の6月、
小笠原の友人から送られてきたパッションフルーツの種子を
妻がまいたら芽が出てきました。
妻はそれを大きな鉢に植えて育ててきました。

7月に入り、暑さが本格的になってきたとき、
アサガオの隣にパッションの鉢を持ってきました。
パソコンの部屋の日除けにしようとネットを張り、
それにアサガオとパッションをからませました。

私は、亜熱帯などの気候の温暖な地域で育つパッションが
東京などで十分に育つかどうか疑問でした。
妻はそんなことはお構いなしでした。
 
「余話:3-99」の「日除け」で写真付きで紹介したように
夏の間しっかりと日除けの働きをしました。

 
8月も終わりの頃、妻が
「パッションの花が咲いているわよ」
と言うので、私も庭に出てみました。
 
9月に入って、しばらくすると、
「やっぱり実にならないようだわ。花がみんな落ちてしまうわ」
と、妻はがっかりしたようです。
小笠原では、暖かっくなった3月から4月にぐんぐん伸びて、
5月に花が咲き、6月から7月には果実を収穫します。

パッションの花は、時計草の花だと覚えていました。
私も小笠原に何回も住んだことがあるので、馴染みの花です。
ところが、じっくりと見たことがないので、細部はよく分りませんでした。
下の写真を見ると、なるほど時計草の花だなと思いました。
時計の針や秒針、文字盤に見立てた部品があるような花です。


9月の終わりの休みの日、
パソコンに向かっていた私に、庭仕事をしていた妻が、
「パッションの実がついているわよ」
と外から呼びかけきました。
私も急いでサンダルを履いて、玄関から庭にまわって見に行きました。
パッションの果実は、葉っぱの緑にまぎれて見つけるのに苦労しました。

足の親指大のパッションが一つ実っていました。

一つ見つけると、こんな感じなんだと思い、雨戸の開け閉めのとき、
濡れ縁からパッションの果実を探している自分に気が付きました。
今、五つほど果実がなっています。

一番大きな果実は、ピンポン球を二回りほど大きくしたものになっています。
その大きさで、果実の成長はストップしている感じです。


落ちないで、「おはぎ大」の大きさに育ってくれることを願っています。
紫色に色づいてくれるかも心配です。

これから段々と寒くなります。
そして、厳しい冬を迎えます。
パッションは寒さに耐えられないと思います。
妻は、この大きな鉢をどうすのでしょうか。

小笠原で、
農家の人たちは、毎年新しい種子からパッションを育てているようでした。
昔、小笠原で一緒の職住に住んでいた人が、パッションを育てていました。
彼のパッションは、2年から3年ほどしても冬を越して果実をつけていました。

あきる野と小笠原とは違うので、そのままでは冬は越せないと思っています。
家の中に持ち込むこみ越冬させて、4月頃に外へ出すこともひらめきました。

妻がどんな考えを持っているか、一度聞いておく必要があるなあと思いつつ、
雨戸の開け閉めの度に、無意識に果実が変化したかを探しています。

台風26号で、2階の汚れたベランダを掃除していた妻が、
「パッションの花が、また一つ咲いたわよ」
と、掃除をしながら語りかけてきました。
「これからでは実になるかね」
と、寒くなる季節に果実が実ることに、
パッションは無駄なことをしているじゃないかと思いながら返事をしました。