錦眼鏡余話2:No78
TPP参加:2
 
平成23年(2011)の10月の新聞に、
日本の将来の農業の進むべきひとつの道を示す記事が
掲載されていました。
私はこの記事を切り抜いて保存しています。

タイトルは「TPP恐れぬ農業経営の旗手」と
43歳の千葉県の有力農家92戸を組織する代表理事が
紹介されていました。
組織された農業者団体の名前は「和郷園」(わごうえん)だそうです。
2ページ目には
「黒船を心配するのではなく自ら黒船になればいい」
と大変力強いタイトルが踊っていました。

代表理事のHさんは実家の農業を継いだのが20年前。
作った野菜を携え、
東京のスーパーを片っ端から飛び込み営業をしました。

Hさんは、強い農業者を育てようとせず護送船団方式を続ける
農協の傘下に安住する気はありませんでした。
農協などが猛烈に反対するTPPなどの自由貿易協定も、
恐れる必要はないという立場です。
どう守るかではなく、どう攻めるかが大事だという考えです。
日本の農政は、貿易自由化から逃げ続けています。
こうした「鎖国農業」未来はないと言い切りっています。

Tさんの信念は、
「黒船を心配するのではなく自ら黒船になればいい」
言葉に現れています。

TPPで特例品目に挙げられているコメを例にとると。。。
高い関税で守られている日本のコメも、
戦略の描き方次第では、高関税で守らなくても生きていけると言う。

「和郷園」では、現在香港で年間100トンのコメを売っているそうです。
自ら黒船となって世界へ打って出れば言いと。。。。
この背景にあるTさんの考えは、
日本のコメは世界一うまいコメであるという特性を最大限に生かすことだそうです。
残るは価格競争力をつけることです。

減反政策が日本のコメ農業をダメにしてきたと言えます。
コメを作らない減反政策で、補助金を貰ったほうが楽です。

果物を例にとると、
日本の果物は、世界に誇れるものです。
青森や長野のリンゴ、山梨のブドウやブドウ酒、山陰の梨、
福島の桃、千葉のスイカ(おっとスイカは野菜に入る)等々、
挙げたら切りがありません。
日本の農家が品種の改良を加えてきています。

昔、海外赴任した市場で、
日本のリンゴが宝物ように扱われていました。
一番高い、それも奥で目立つところに飾られていました。

世界は日本食ブームにわいているそうです。
健康志向は、日本だけでのものではありません。
余裕のある人々がよい食材を求めているのは
何も日本だけではないのです。

TPPを最も待ち望んでいるは、
日本の技術力を支えてる製造業です。
大企業の下請けに甘んじている中小企業なのです。

貿易立国の日本が自由貿易協定を否定しては、
残念ながら日本の将来はありません。

TPP参加(終わり)